2010.02.05

【ylabと私、この1年】やりながら考えること(大城)

皆様、こんにちは。
メンバーがそれぞれの目線で4月からの1年間を振り返るシリーズ【ylabと私、この1年】第2回はM2の大城がお送りいたします。

------

修士1年の間、私は「大学生」「講義」「ノートテイキング」というキーワードにこだわり、先行研究の調査を行いました。そのうちに、バックチャネルという、学会等のプレゼンテーションの裏で行われる、聴講者間や聴講者―発表者間のコミュニケーションの存在を知り、大学講義でのバックチャネルの利用に関心が移って行きました。

修士2年の4月の段階で、研究タイトルは「大学の講義型授業においてデジタルバックチャネルの利用を学習に結びつける方法の提案」となりました。そして、ここから「バックチャネル」と「ノートテイキング」とが混在したまま迷走する日々が続きました。

今年1年を振り返って最もまずかったな、と思うことは、「まず試しにやってみる」ということに対するフットワークの"重さ"です。

フットワークが軽い例を出すと、たとえば同じく修士2年の池尻さんの場合は、カードゲーム教材を作っては、身の回りの学生、あるいは対象である高校生に実際に使ってみてもらってフィードバックをもらい、教材を作り直すということを、かなり早い段階から何度も何度も繰り返していました。

私の場合、実際に模擬講義のコンテンツを作って、周りの仲間に頼んで協同ノートテイキングなりバックチャネルなりを試してもらい、自分がノートテイキングやバックチャネルでやりたいこと、実際にできること、できないことを、1つ1つはっきりさせていくべきだったのですが、なかなか腰を上げられずにいました。試しの段階なので、「まずやってみる」ということが一番大事な時期だったのに、勝手に「難しい」と思ってハードルを高くしていたのは自分の頭の固さだったと、今は思います。

時間はどんどん無くなっていって焦る。でも、どうにも足を踏み出せない。そうしてまた時間が無くなっていく。そんな時、山内先生はずっと「立ち止まって考えてはいけない。やりながら考えること。」とアドバイスしつづけてくださいました。

「やりながら考えること」

これは、この1年で最も印象に残っているアドバイスの1つです。特に、修論提出まで2か月を切った時点での本実験の前後は、ずっと頭の中を回り続けていた言葉でした。

実験で用いるシステムにしても、模擬講義の内容にしても、文字通り「やってみて初めて分かること」がたくさんありました。

たとえば、3回行ったプレ実験のうち1回では、ありがたいことに実際に大学の授業で、既存のオンラインワープロを使って受講者にノートをとってもらうという取り組みをさせていただけたのですが、システムトラブルで受講者のほとんどすべてのノートの保存に失敗するというショックな出来事もありました。自分の準備や下調べが足りなかったことで、実験がうまくいかなかったことに悔しさを感じる以上に、受講者の書いたものが失われてしまったことに対しては、本当に申し訳なく思いました。結局、実験で使用するシステムを変更するという大幅な方針転換を決めました。

また、3回のプレ実験では、全て異なる分野・内容の講義を使って実験を行いましたが、参加者の専攻や背景知識を考慮しながら実験に用いる講義内容を検討することの難しさを感じました。最終的には、プレ実験の1つで用いたテーマ「インストラクショナルデザイン」を本実験で採用することに決めました。

このように、次の方針を決める時に、その決め手になるのは、「やってみてわかったこと」でした。文献調査はもちろん大事ですが、実際にやってみてわかる手ごたえは、それに負けないものだということを強く感じました。

これからは、もっとチャレンジ精神を持って「まずやってみる。やりながら考える」ということを実行していきたいと思います。

------

先月、「講義における外的関連づけを支援する協同ノートテイキング方法に関する検討」というタイトルで修士論文を執筆することができました。
実験参加にご協力いただいた学生の皆様、研究相談に乗っていただいた先生方、研究室の皆様に心より御礼を申し上げます。

[大城 明緒]

PAGE TOP