2009.11.24

【エッセイ】Personal Learning NetworkとTwitter

最近、Connectivist系統の人たちが"Personal Learning Network"という言葉を使っています。

RT @yuuhey @Twitter_Tips How to turn Twitter into a great personal learning network: http://j.mp/7ZM8VV

Personal Learning Network(以下PLN)は学術用語というよりFacebookやTwitterによって生まれた学習ネットワークを指す自然発生的な言葉ですが、ここではSocial Mediaによって接続された相互に学習資源になりうる人的ネットワークと操作的に定義しておきたいと思います。

PLNは、従来オンライン上の学習の分析でよく使われてきたWengerの「実践共同体 (COP:Communities of Practice)」の概念ではとらえられない事象を指し示しています。実践共同体には「領域・実践・共同体」という3つの次元がありますが、PLNはその枠ではおさまらないからです。

例えば、理系の大学生が子どもたちを集めてサイエンスクラブを作ったとしましょう。放課後にワークショップを行って、家に帰ってから実験の結果についてオンラインでディスカッションする場合、領域は科学、実践は実験、共同体はクラブメンバーという定式化ができます。この場合、共同体への参画の中でアイデンティティや知識がどう変容するかをCOPの枠組みで考えることができます。

ところが、Twitterでつながっている人々は、単一の関心領域によって強固につながっているわけではなく、さまざまな関心によって織物のように構成されています。またRetweetや返信は行われても、大規模な共同プロジェクトを実践として展開することはほとんどありません。共同体のメンバーについては、フォローしている人・フォローされている人々が違いますので、個人によって異なっています。

PLNにおける学習は返信による直接対話型の知識交換よりも、観察・比較・内省によって生起する「見ることによる学び」の方が多いように感じています。PLNが学習の全ての要素を包含する訳ではありませんが、COPと連結させることによって、学習をより豊かにするための仕組みとして利用することは十分可能だと考えています。

[山内 祐平]

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