2009.09.08
9月5日(土)に 「日本の教育オープン・イノベーション:世界に貢献できる人財づくりと教育富国を目指して」と題して、マサチューセッツ工科大学教育イノベーション・テクノロジー局 上級ストラテジストである飯吉透氏、立命館副総長(新戦略・国際担当)の本間政雄氏、京都大学教授・高等教育研究開発推進センター長の田中毎実氏を迎えてBEAT Seminarを開催しました。
3人の講演者からは、大学教育の未来像について熱いお話しをいただき、恒例のグループディスカッションももりあがりましたが、最後に私がパネラーのみなさんに投げかけた「イノベーションやそれに付随する改革のメリットを学習者に向かって説明してください」という質問に少し面食らっていらっしゃったようです。
この質問は会場のディスカッションから出てきたものですが、私自身すぐに答えてくださいと言われたら困っていたと思います。自戒をこめて、こういう問題は供給側の論理になりがちで「学習者にとって」という議論にならないからです。
その上であえて自分なりに答えるとしたら「学びの機会が多様になります」ということでしょうか。MIT Go Global プログラムのような国際研修プログラムは、学習者に自らのキャリアと学習の関係を考えてもらう絶好の機会となるでしょう。国際化というと留学生を受け入れる方向に目が向きがちですが、本当に重要なのは受け入れと同じ量の学生を「外に出す」プログラムだと思います。
また、OpenCouseWareをはじめとするITを利用したオープンイノベーションは、今受けている授業の"Second Opinion"を創り出したといえます。長期的にはリアルタイムの国際共同授業も展開され、大学の垣根は徐々に低くなっていくでしょう。これにより、学生が受けられる授業の幅は格段に広がります。
もちろん、現時点での多様性は「学習機会」に関するものであり、学習の質が保証されているわけではありません。今後大学では、オープン化によって得られる機会の多様性を学習者の成長につなげていくための、コーディネーターの役割が重要視されるようになっていくと考えています。
[山内 祐平]