2009.09.03

【山内祐平のゼミズバッ!】研究の道を志す外国人留学生

院生の研究テーマに関連して、山内先生に研究のトレンドをインタビューする【山内祐平のゼミズバッ!】第6回は修士1年のテイがお送りします。

母語の異なる学習者が相手から学び合うランゲージエクスチェンジを研究する私も、この東京大学においては、ひとりの外国人留学生です。そこで、本日は日本の大学院で研究の道を志す外国人留学生という切り口で、先生にお話をお聞きしました。

【テイ】今年度は、大学院新入生のうち、留学生が500人もいると聞いていますが、この数値についてどう思いますか。

【先生】外国人留学生は確かに増えていますが、東京大学が世界から優秀な頭脳を集め国際的な競争に勝ち残っていくことを考えると、この数値は十分とはいえません。MITでは外国人学生の割合は4割近くになります。東京大学も将来的に3割近くになっても不思議ではありません。

【テイ】MITのような英語を使う大学とは違い、日本の大学に来る外国人には日本語が要求されるのではないでしょうか。

【先生】必ずしもそうとは言えません。東京大学はGlobal 30プログラムに参加し、入学から大学院修了まで英語で指導を受けられる体制を整えつつあります。理系では、このような傾向は今後顕著になってくるでしょう。ただ、文系の、文化や言語に依存する領域では、日本語の重要性は下がらないと思います。
実際に研究室に配属された場合は、日常会話の壁を乗り越えても、大変なことがあります。それは、論文を読んだり、書いたりすることができる学術日本語の能力です。日本人学生にも専門用語がよく分からずに入学してくる学生がいますが、やはり母語ということで、慣れるのが早いようです。留学生にはこの点でハンディがあります。

【テイ】専門用語をマスターするだけではなく、専門領域で人のつながりを読み取るのもなかなか難しいと思いますが、何かご意見、アドバイスいただけないでしょうか。

【先生】確かに、人のつながりは研究を進める上でとても重要な情報です。人のつながりは横と縦と分けることができます。研究プロジェクトのネットワークである横のつながりは、論文をたくさんと読むことによって、だんだん分かってきます。読み取りにくいのは縦のつながりですね、つまり誰がどの先生のもとで学んだかという情報です。これは学会などで懇親会に参加し、話のはしばしから手に入れるのがよいでしょう。

【テイ】外国人留学生のなかには、自分の母国と日本の対比で研究する人がいますが、研究テーマが重なる可能性も高くなりますね。オリジナリティを求める際には、どうすべきだと思いますか。

【先生】研究を進めるために、それぞれの人が持っている有利な条件を生かすのは外国人留学生には限りません。ですから、留学生が母国との比較研究をすること自体は問題ないと思います。ただし、対比そのものに研究のオリジナリティを求めるのではなく、新規性の高い研究テーマを設定した上で、実現するための方法として考えるべきでしょう。

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