2009.08.11

【エッセイ】アーリーアダプター

知り合いでTwitterをしている人が増えてきたので、私も始めました。5月ぐらいからユーザーが増えている感じがあったのですが、この3ヶ月でイノベーターからアーリーアダプターに確実に広がっているようです。

イノベーターやアーリーアダプターという概念は、ロジャース(1962)がその著"Diffusion of Innovations"で提唱したもので、技術革新の普及が以下の順に広がっていくというものです。

■イノベーター(革新的採用者)2.5%
冒険的で、最初にイノベーションを採用する
■アーリーアダプター(初期採用者)13.5%
自ら情報を集め、判断を行う。多数採用者から尊敬を受ける
■アーリーマジョリティ(初期多数採用者)34%
比較的慎重で、初期採用者に相談するなどして追随的な採用行動を行う
■レイトマジョリティ(後期多数採用者)34%
うたぐり深く、世の中の普及状況を見て模倣的に採用する
■ラガード(採用遅滞者)16%
最も保守的・伝統的で、最後に採用する
@IT情報マネジメント用語事典より引用)

この理論は広く利用されていますが、その中に、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に深い溝があり、そこを乗り越えられれば一気に普及するが、乗り越えられない場合も多いというキャズム論があります。

学習におけるイノベーションにも同様の現象が見られます。研究者は主にアーリーアダプターに属しており、実践家の多くはアーリーマジョリティに属しています。研究者が変革の可能性を認識するだけで研究を開始できるのに対し、実践家は、自分の実践の付加価値を確実に向上できるという確信がないとイノベーションを導入しません。

この深い溝を乗り越えられるかどうかが、研究が社会に貢献できるかどうかのポイントになります。万能解はないでしょうが、この問題について考えていきたいと思っています。

[山内 祐平]

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