2009.05.26

【エッセイ】未来への繭

先日、取材で公立はこだて未来大学を訪問しました。はこだて未来大学は2000年に開学した情報系単科大学で、開放的な建築をベースにした学習環境で知られています。

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お世話になった美馬のゆりさんは、「未来の学びをデザインする」(東京大学出版会)の共著者です。4年ぶりの訪問でしたが、教員研究室の前にあるオープンスペースに常駐型の机が置かれるようになり、以前より人が増えたようです。学生がいきいきと活動している姿が印象的でした。

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この学習空間をカリキュラム的にささえているのがプロジェクト学習です。美馬のゆりさんが今年関わっているプロジェクトは、「はこだて国際科学祭」。学生はこの科学祭にかかわる様々なデザイン(ロゴ・ウェブサイト・イベントなど)を担当する中でコミュニケーションデザインに関するスキルを身につけていきます。

夕方に外から見ると、吹き抜けの建物の中で学生が活動している様子が照明の中に浮かび上がります。楽しそうな学生たちを眺めながら、ふと「繭」という言葉が頭に浮かびました。ひとりひとりが、やわらかな空間の中で羽化を待っているようです。そういう居心地の良さが、学習空間の一番基本的な部分なのかもしれません。

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[山内 祐平]

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