2008.12.25
山内研メンバーが各自で利用している教材サービスなどをご紹介する【クローズアップ教材】。第3回はわたくし人生も永遠の3番手,林向達がお送りいたします。
この時期,ベリー・クルシミマスという駄洒落も流行らなくなってきましたが,まさか洒落が洒落にならないホリデーシーズンを迎えるとは思いもしませんでした。
自分の遅筆はわかっていたつもりでしたが,論文を書いていると,大した分量を書いたわけでもないのに,あっという間に時間が経過しています。かなり焦ります。
少年の日にはあれほど長かった1日や1年が,大人になるにつれて短く感じられるのは何故でしょうね。そのことに法則名がついていたのを,「なんだっけ?」と悩んでいたのですが,先日ラジオでそれが「ジャネーの法則」であることを教えてもらいました。ああ,気になっていたことが一つ減って良かった...。
というわけで,この同じ場所で新年のご挨拶をしたかと思ったら,早くも年の瀬ご挨拶の季節となりました。
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私が勉強や研究に使っている教材をご紹介せよ,ということなのですが,なんか有名で紹介しやすいやつは,書かれちゃってません?ん?
なんとかペディアの活用術をご紹介するのもよいと思いますが,まだまだ書き手が後ろに控えているので,ここで書きやすそうなネタを消費するのも申し訳ないし...。
さて,困った,何かないかな。とりあえずYouTubeでも眺めてみるか。なんかこの時期危険な行為だが...。はははは,モンティ・パイソンは40周年なんだよねぇ,何度見てもばかばかしいなぁ。
いかんいかん。これじゃ論文書けなくなっちゃうじゃないか。えらい落とし穴を掘られたものである。仕方ないので,棚から一掴みでもしましょうか。
今回ご紹介する教材は,TED (Technology, Entertainment, Design)というカンファレンスから配信されている様々なスピーチ映像です。
TED
http://www.ted.com/
もともと1984年頃から年1回開かれていたカンファレンスで,名前の通り,テクノロジー,エンタテイメント,デザインに関係した各分野のスピーカーを迎えて,次々に講演してもらう会員内輪のサロン的集まりだったようです。
それがインターネット上にもスピーチを公開するようになって,私たち外部の人間でもいくつかのスピーチを見ることができるようになったというものです。毎週新しい講演が追加公開されます。
非常に多彩な講演が並び,興味を持てるもの持てないもの,話が難しくてついていけないもの,話していることはわからなくても見ているだけで面白いもの,いろいろです。私の感想はともかく,こうした知的なリソースが無償で提供されることは,良いことだと思います。
それにしても多くの講演者が魅力的なスピーチをしています。しかもそれぞれユーモアたっぷりにスピーチをするので,それが楽しい。
これを書いている時点で最新の講演は,TED自身のカンファレンスではなく,Taste3と呼ばれるワインと食と芸術のカンファレンスの講演ビデオ。
ニューヨークタイムズ紙の記者であるJennifer 8. Leeさんの「Who was General Tso? and other mysteries of American Chinese food」は,アメリカなどで独自に進化してしまった中華料理の謎についての楽しいお話。フォーチューン・クッキーの意外な始まりを知ったりできます。
その他,100ドル・パソコン計画のその後の報告を見ることもできますし,いろんな研究をしている研究者の粋なスピーチを聞くことができます。「最後の授業」という故ランディ・パウシュ教授のスピーチが日本でも有名になりましたが,TEDで公開されているスピーチを眺めると,優秀な人々はみんなあれくらいのしゃべりができるのだなと思えます。
いわゆるプレゼンテーション能力というものが特別なものでなく,当然のものとして共有されているような感じです。
私は,楽しいスピーチの教科書としてTEDの映像群をたまに覗きにいきます。英語のリスニングの練習にもなるし(これが実力に結びつかないのは,私の努力不足なんだなこれが...)。
とうとう高等学校の学習指導要領案も公開されて,外国語(英語)は基本的に英語で授業をするように明記されました。小学校での外国語活動も原則は英語の言語活動をしなさいということで「英語が使える日本人」に向けた行動計画が着々と進んでいるわけです。
それとは関係なく次期大統領オバマ氏の演説CDブックが好調な売れ行きをみせるなど,英語に対する関心も高まり,英語に触れる環境も充実してきたように思います。
この年末年始は,自分と世界との関わりについて思いを馳せてみてはどうでしょう。世界的な金融危機といった暗いニュースはありますが,もしかしたらそれは同じ問題を共有する世界の中の自分として,世界の人たちとつながり合う良いきっかけなのかもしれません。
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というわけで,今回ご紹介したのはTEDの講演映像集でした。2008年も残りわずかとなりました。来年は日本教育工学会の大会が東京大学で行なわれるなど,ますます皆様にお世話になる年かとは思いますが,引き続き山内研をよろしくお願いいたします。
私自身は...,まあ,ご縁があればまたどこかでまたお会いできると思います。それでは,今年一年ありがとうございました。よいお年をお迎えください。
[林向達]