2008.09.16

【エッセイ】デューイと学習空間

デューイは、あまり知られていませんが、体系的に学習空間の機能について検討したはじめての教育研究者です。主著のひとつである「学校と社会」には、次のような図があります。
Dewey_1907c_3.gif
http://www.brocku.ca/MeadProject/Dewey/Dewey_1907/Dewey_1907c.html
より引用(日本語版は岩波文庫で出版されている)

この図は、デューイが考えた学校が持つべき学習空間を模式的にあらわしたものです。中央に図書室があり、工作室・裁縫室・食堂・厨房がそれにつながっています。この構成は、社会で行われている労働と学習活動を切り離さないためのものです。工作室で大工仕事をしながら、構造に関する物理的な問題について考えるために図書室で調べるということが想定されています。社会とのつながりが強調された図ですが、本文中では子どもの表現や内省に関してもふれられており、社会と内面のバランスが重要だと述べられています。

この本が出版されたのは1907年であり、複雑化した現代社会ではこのモデルをそのまま適用することはできないでしょう。しかしながら、学習空間デザインの原理を考えるための素材という観点で読めば、何回読み直しても発見がある古典的作品だと思います。

[山内 祐平]

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