2008.09.12

【突撃!隣の研究者】本郷和人先生

第四回目の【突撃!隣の研究者】は、M1の池尻が担当致します。
今回ご紹介する方は、東京大学の情報学環と史料編纂所で准教授をなさっている本郷和人先生です。

■経歴
本郷先生は、1988年に東京大学の東京大学大学院人文科学研究科博士課程を経た後、同年東京大学の史料編纂所で助手をされ、『大日本史料』の第5編の編纂をされました。その後、史料編纂所で助教授になり、2007年には東京大学大学院情報学環の准教授をされています。

専門は日本中世史で、主に政治史や古文書学の分野でご活躍されています。ちなみに奥様の本郷恵子さんも史料編纂所准教授をされており、ご夫婦揃って日本の歴史学を担っています。同じく歴史学を専攻している私としては、何とも羨ましい環境です。

■お人柄
 歴史学の先生というと、物静かで小難しい顔をしていると思っている方もいらっしゃると思いますが、本郷先生は、ホームページを見ていただいたらわかるように、とても明るくユーモアに富んだ方です。

 一方で歴史学には熱く、「何とか普通の人にも歴史に興味を持ってもらいたい」「引いては歴史を好きになってもらい」という考えの下、研究に精を出されているそうです。現在は、歴史に興味を示してくれない女性の学生に対して、どう興味を持ってもらおうかという点に苦悩しているそうで、少女マンガを読みつつ女性の感性を勉強しているそうです。

■研究活動
 中世の政治史を中心に、朝廷における訴訟の研究や、中世の王権についての研究等、幅広く業績をあげています。歴史学の本というのは元々あまり売れないのですが、本郷先生の『吾妻鏡』は通例の20倍近く売れています。これも一般の人を意識している本郷先生ゆえの結果なのだろうと思います。ただ本郷先生は、「なんとか売れる本を書いてみたいと念願しているが、いまのところ実現のめどはたっていません」と笑っていました。

 また、最近は人物を中心にして日本中世史を再構成するという新しい試みもされています。今年の4月には、福武ホールで開催しているUTalkで、豊臣秀吉と織田信長の女性関係から、当時の身分の違いを明らかにするというお話もしていただきました。学校の歴史科と違い、人間味あふれる歴史の見方を展開していて非常に面白く聞かせてもらいました。

■今後やっていきたい活動は?
 本郷先生は、現在『吾妻鏡』全16巻の現代語訳をされているのですが、ゆくゆくは英語訳や中国語訳も行い、世界に日本の歴史を広めていきたいと思っているそうです。そして、『吾妻鏡』をもとに一般の読者を集い、カフェのような形で、みんなで歴史を語り合う。そんな活動をしていきたいと思っているそうです。

僕も歴史教育を志す者として、本郷先生のように一般の人々の視点を忘れないようにしつつ、歴史の面白みを現代に伝えていきたいと思います。今後も色々とお世話になると思いますが、よろしくお願いします。

[池尻良平]

関連リンク
本郷先生のホームページ
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/personal/kazuto/index.html
UTカフェでの本郷先生の様子
http://online.iii.u-tokyo.ac.jp/fukutake/2008/04/

著書
『人物を読む日本中世史―頼朝から信長へ』講談社選書メチエ、2006
『新・中世王権論―武門の覇者の系譜』新人物往来社、2004
『武士から王へ―お上の物語』ちくま新書、2007

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