2008.09.09

【エッセイ】職人としてのAnn Brown

日曜日から火曜日まで、偉大な業績をあげた研究者についてレビューする毎年恒例の夏合宿でした。今年の人選は、Skinner, Piaget, Vygotsky, Dewey, Ann Brownです。
Ann Brownは今年はじめてとりあげました。この方は、AERA (American Educational Research Association)の会長もつとめた有名な教育心理学者ですが、教育業界以外にはあまり知られていないかもしれません。幅広く学際的な活躍をしたDeweyやBrunerに比べ、教育を変えるビジョンのような大きな主張をしなかったからでしょうか。
しかしながら、業績を追うと、たくさんの実践的な知見をベースにした学習方法の提案をしています。有名なものとしては、相互教授法ジグソーメソッドなどがあります。
経験・探索・発見を基盤にした学習の重要性は、多くの研究者が指摘しています。しかしながら、それを安定して実現するための方法の確立は、いまだ道半ばです。
惜しいことに1999年に56歳の若さで亡くなりましたが、大きな言説で方向性を示すよりも、再現性のある有用な学習方法の確立を目指したAnn Brownの業績の数々に、職人のような静かな情熱が見えました。

[山内 祐平]

PAGE TOP