2008.08.28

【突撃!隣の研究者】佐藤優香さん

第二回目の【突撃!隣の研究者】は、M2牧村が担当致します。
国立歴史民俗博物館で助教を、情報学環で特任助教をなさっている佐藤優香さんをご紹介させていただきます。
いつお会いしても柔らかい雰囲気の素敵な佐藤優香さんに10個の質問をさせていただきました。


■どんなお仕事をなさっていますか?
■小さい頃の夢は何でしたか?
小さい頃は小学校の先生と絵本作家が夢だったという優香さん。
現在の博物館のお仕事は、その両方を味わえる仕事だそうです。博物館では、共同研究のコーディネートや、学校の先生と一緒に博物館教育のプログラムデザインをされたり、教員研修や博物館実習などで「博物館における学び」についてワークショップスタイルで講義をされたり雑誌の編集をされたりと、多岐に渡っています。

■どんな研究をなさっていますか?
「博物館の学び」について、「歴史」と「実践」の二側面から取り組んでこられました。
研究のスタイルは、「研究者」と聞いて想像するようなものとは少し違うかもしれません。博物館で実際に教育プログラムづくりをされながら、実践的に研究をなさっています。
現在の関心は、博物館におけるコミュニケーションや、研究を社会にひらくことだそうです。その言葉通り、東大では研究と社会をつなぐUTalkと呼ばれるカフェトークのコーディネートをされています。

■東大ではどんなお仕事をなさっていますか?
情報学環・福武ホールにあるUT caf BERTHOLLET Rougeで月に一度行われるUTalk。東大の研究者と参加者の方々が、カフェでお茶をする感覚で気軽に会話できる場です。優香さんは、このUTalkの企画と当日のモデレーターをなさっています。
このお仕事は山内先生と一緒にされているということで、「隣の研究者」とお呼びしていいのではないでしょうか。

■山内先生との出会いは?
学部4年生の頃、学会での山内先生の発表と、シンポジウムでの質問を聞いたのが最初の出会いなのだそうです。話をされるようになったのは、その後少し時間が経ってから。山内研究室で、ワークショップにおけるスタッフの動きと情報の共有についてプレゼンテーションをされてからだということです。
未来の「隣の研究者」になる人に、学生時代に出会っていたのですね。

■経歴について
では、学生時代から現在に至るまで、どんな道筋をたどっていらしたのでしょうか。
学部卒業後3年間働いた後、「博物館の学び」を研究するため大学院に戻られました。まずは博物館について徹底的に研究しなさい、という先生の助言に従い、修士課程、博士課程を通じて日本の博物館教育史について研究されました。
同時に、修士1年の頃から国立民族学博物館でのアルバイトを通して実践に関わっていらっしゃいました。その後国立民族学博物館で機関研究員をされていた3年間は、ワークショップのデザインやアウトリーチキットの開発、学校連携を担当されました。そして、国立歴史民俗博物館に就職され、館内の教育サービスに関する業務に携わっていらっしゃいます。

■研究者になろうと思ったきっかけは?
修士1年の頃からアルバイトをされていた国立民族学博物館で、たくさんの研究者に囲まれていた優香さんは、自然と研究者になりたいという思いを持つようになったそうです。それに加え、周りの研究者の方々と仕事をしていく上で、対等に議論する必要性を感じ、その力をつけ、博士の学位を取得しようと考えられたそうです。
学部の頃から「どうすれば楽しい学びが可能になるのか」ということに関心があった優香さんにとって、研究者という立ち位置が、最も自分が好きなことができるものだと感じたそうです。

■研究をしていてよかったと思うことは?
では、実際はどうだったのでしょうか。
研究をしていてよかったなぁ、と思う瞬間がどんな時か、伺ってみました。
いい実践ができたとき、ちゃんと文章でまとめられたとき、研究していたことを背景に自分の思いを人に伝えられたとき、という3つのお答えをいただきました。
実践的に研究をされ、研究を社会にひらくことに関心を持たれている優香さんならではのお答えをいただいたように感じました。

■実践と研究のつながりについて
では、優香さんにとって、実践と研究はどのような関わりを持っているのでしょうか。
ワークショップをデザインする際には、現場で参加者から発信される言葉や雰囲気から、瞬時の判断で場を作りあげていきます。その緊張感が実践の楽しさであると同時に、自分を成長させてくれるものでもあるのだそうです。
優香さんにとって実践とは、理論を確かめるための仮説検証の場というよりも、理論や仮説を生み出すための場としての性質を持っているそうです。実践を通して得られる参加者の反応が、優香さんの研究へとつながっていくのです。

■どこに行けば会えますか?
そんな佐藤優香さんには、毎月第二土曜日、東京大学 情報学環・福武ホールのUT caf BERTHOLLET Rougeで行われているUTalkで、普段は国立歴史民俗博物館で、会うことができます!

[牧村真帆]

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