2008.06.27

【山内研と私】協調学習と教師のふるまい(坂本)

シリーズ「福武ホールの歩き方」も一回りし、今日から新しいシリーズに変わります。
新シリーズは、題して【山内研と私】です。
自分が山内研究室に来るまでにどのような道を歩んできたのか。今の研究テーマにたどり着くまでにはどのような紆余曲折があったのか、研究室のメンバーに語ってもらいます。


1番バッターは例によって僕、M2の坂本が、なぜ自分の研究テーマが、協調学習や先生の振る舞いなのかについて、少し昔を思い出しながら語ってみたいと思います。

僕は、学部時代は静岡の大学で情報教育や学習科学の勉強をしていました。
もともとは教師が効果的にICTを活用した、わかりやすい授業作りについて考えるといった勉強をしていて、その後、CSCL(Computer Supported Collaborative Learing)という、コンピュータ・テクノロジを使って協調学習を支援するシステムに出会いました。
「Knowoledge Forum」というシステムでした。
(Knowoledge Forumについては、BEATのメルマガ、Beating第23号に説明が載っています。)

そこで、ベテランの先生が、Knowoledge Forumを駆使して素晴らしい授業をしている姿を目の当たりにしたのです。
僕が感動したのは、システムのすばらしさはもちろんですが、それを見事に活用してその効果を2倍にも3倍にも引き延ばしている先生の授業の「ウデ」でした。

子どもたちがコンピュータを使って調べたことを整理したり、友だち同士で議論しているところに先生が入り的確なアドバイスをしたり、事前にデータベースに子どもたちがまさに欲しいと思っている情報を入れておいてさりげなく支援している姿を見て、「鬼に金棒」とはまさにこのことなのだろうなと思いました。

僕は、協調学習場面でのテクノロジの「使い方」という、議論を盛り上げる先生の「不思議な力」に興味を持つようになりました。

情報学環の山内研究室への配属を希望していた当初は、このような協調学習場面での先生の「テクノロジの使い方」に焦点を当てていたのですが、1年を通して吟味していく中で、そもそも協調学習を支援すること自体が非常に複雑な行為であると思うようになり、今では純粋に先生の力そのものに焦点を当てています。

本当は、問題の関心や研究の焦点も、議論そのものや子どもたちの学習へ揺れたりもしたのですが、やっぱり最後は先生の「ウデ」に落ち着いています。
今こうやって振り返ってみると、「協調学習を通じて起こる学習のすばらしさ」と「それを見事に支援する先生のウデ」の2点への興味関心はずっと持ち続けていたのだと思います。

以上、僕が今ここにいる理由について、今のこだわり(?)がどこで生まれ、育ってきたのか、簡単に振り返ってみました。
色々と紆余曲折してきたようにも思いますが、戻るところは初めに抱いた興味関心なのかもしれません。

[坂本篤郎]

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