2007.12.16
大学院を出た後のことを考えたことはありますか?
近年、大学院へ入学し、研究することを希望する人は、多彩な動機を持っているようです。
昨今、既に様々なメディアを通じて語られているように、大学院で学ぶことの意義、大学院の位置づけそのものにまつわる言説も、また多様です。あらゆる視点から様々な問いが投げかけられています。
実際、様々な人々が大学院に在籍しています。もはや大学院とは、学部から進学した人だけが「学究の徒」を目指し、研究に邁進し続けるというだけの場所では、最早無くなりつつあると言っても過言ではないかと思います。
働きながら学ぶ人、仕事を辞めて学び直したいと思う人、仕事と家庭を持ちながら学ぶ人等々が集まり、散じて、また繋がる場として機能し始めています。
そのように集う人々の動機も様々であれば、その後の進路選択も様々です。
特に修士課程で大学院を修了せず、博士課程に進学し、高等教育機関・他研究機関への就職を希望されたり、検討されたりしている方には、「修士・博士論文を如何にして書くか」という問題が何よりも切実に感じられることでしょう。
しかし、一方で、それと同時に「大学院をどう去るか?(=その後のキャリア形成)」を常に考えておくことが、非常に大切なことであると思うのです(自戒を込めて)。
このデータベースは、所謂、研究者のための「求人情報サイト」です。
研究者が就職活動を行う際に、どのような基準・業績を満たしていれば、就職活動をすることができるかの諸条件、つまり「公募情報(=応募資格の情報)」が各大学から示されています。
毎日、全国津々浦々、どこかの大学で、「誰か」を求める公募情報がアップロードされています。
このサイトを注意深くチェックすることが、自己の純粋な研究動機、純粋な問題関心から見えてくるものとは、また違った研究活動の現実的側面を知らせてくれるかもしれません。
修士・博士の学位論文を書く意味とは何か。研究者にとっての業績とは何か。学会誌に論文を投稿する意味とは何か。本を書くとはどういうことか。研究者にとっての教授経験とはどのような価値を持つのか。研究者として生きるには何が必要か。何を、どのように積み重ねていくべきなのか。研究活動を続けるとは何を意味するのか-。
早い段階で、これらの情報を知り、そこから考え新たに見えてくるもの、大学院で学んだ先に見える世界の片鱗にふれることが、よりよい研究活動、または、個人にとってより相応しいキャリア形成を考える上での一助となると思われます。
[酒井 俊典]