2007.12.25

【エッセイ】教材の条件としての"Cognitive Tools"

12月20日に、BEAT客員教授でカーネギー財団 上級研究員でいらっしゃる飯吉透先生に、ご自身の研究の歴史を聞く会を持ちました。
おもしろかったのは、博士研究になった日本を代表するマルチメディア教材「マルチメディア人体」と、今やっていらっしゃる教師向けの授業リフレクション・シェアツールである「KEEP Toolkit」をつなぐキーワードとして、"Cognitive Tools"という言葉が出てきたことです。
"Cognitive Tools" は、認知的道具と訳されることもありますが、人間が概念的な操作を行う際に有用な役割を果たす道具です。
マルチメディア人体は、NHKスペシャル「人体」をそのままデータベース化したもののように見えますが、文脈の中で知識を獲得できるようにゲームが用意されていたり、履歴やレポート作成ができるようになっていたり、各種の「仕掛け」が組み込まれています。それが"Cognitive Tools"として機能して、学習を支援しているわけです。
飯吉先生は、最近Open Educationにも積極的に関わっていますが、リソースを公開するだけではだめで、それが教育に役に立つことが重要だと一貫して主張していらっしゃいます。単なる「コンテンツ」でなく、「教材」である条件として"Cognitive Tools"が必要なのだということを再認識することができました。飯吉先生、ありがとうございました。

[山内 祐平]

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