2007.11.08
今回の【研究に役立つウェブサイト】は,すこし趣向をかえて,「未来の学習って何だろう?」という想像を膨らませてくれるウェブページとして,dezain.netを紹介したいと思います.
普段から私たちは,まだ見ぬより良い学習/教育を求めて,いろいろと考えます.
こんな学習はあるだろうか,こういう学習はどうだろう?
こういう風に教えてみてはどうか,こんな教え方は?
でもそんなとき,私たちが想像出来るのは,私たちが見たり聞いたりした範囲に限定されてしまうことが多いのではないでしょうか.考えてみることの重要な要素の一つに,今までの見方を変えてみる,という行為があるように思うのですが,言うは易し行なうは難し,でなかなか難しいですよね.
そこで少し堅くなった頭にスパイスとして,デザイン方面のウェブサイトを覗いてみてはどうでしょうか.今回ご紹介するウェブサイトは,日本のデザイン動向を多く盛り込んだデザイン関係ウェブサイトへのリンク集的な色彩の強いサイトで,詳しい方には不向きかもしれませんが,ちょっとしたアイディアのため,日々の情報収集の一環に向いているのではないかと思います.
え?デザイン,なんて思われる方もいるかもしれません.でも,ちょっと待って下さい.先日,かの有名な教育工学者,Papart先生のもとで学んだ経験もおありになる同志社女子大学の上田先生から,Papart先生が常々"you can't think about thinking without thinking about something."と仰っていられたという逸話を聞くことが出来ました.ちょっと意訳してしまうと,「なにか考える対象がなければ,考えることについて考えることは出来ない」といったところでしょうか.私たちにとって,なかなか自分が経験してきたスタイル,場,道具以外の状況における学習を想像することは難しいように思います.その原因のひとつに,想像する対象が限られているから,という要素もあるのではないでしょうか.世界の最先端デザイナーの作品を考える素材にすることで,ちょっとだけ見方が変わることも,あるかもしれません.
ひとつだけ,具体例を挙げてみたいと思います.もしお時間があれば以下のサイトを覗いてみて下さい.
URL
http://www.3xn.dk/
【操作方法:左のメニューバーから"architecture"を選択→上から5行目,左から3列目の"Orestad College"を選択】
この建物はデンマークはコペンハーゲンの高校だそうですが,これまでに学習や教育を考える,想像するうえでの素材となってきた所謂"学校"とはかなり趣が異なるのを感じていただけるのではないかと思います.
他にもMITのMedia Labratoryから,StanfordのSCiL(Stanford Center for Innovations in Learning)等多様な学習環境が世界では増えつつあるように思います.
もちろん,これは先進的な海外の事例にとどまりません.我らが研究室も来春には国内有数の学習環境を持つことになりそうです!
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_171212_j.html
今後さまざまな場面で,今まで以上に,デザインされた場や見たことも無いデザインが,学習や教育に関わっていきそうなことだけは確かでしょう.
秋の夜長に,最新のデザインを見ながら,ここでならこんな学習が,こんな道具を使えばこんな教育が,なんて想像を膨らませ,知的好奇心を刺激しながら研究について考えてみるのは如何でしょうか.