2007.08.11
大島純・野島久雄・波多野誼余夫(2006)『教授・学習過程論』
前回「学習科学とテクノロジ」について紹介がありましたが、今回はそれと関連して「教授・学習過程論」という本を紹介したいと思います。
本書も、前回同様、「学習科学」に関連するトピックを概観できる教科書的な本といえると思います。目次を見ていただくと、扱うトピックの概観、さらに「学習科学とテクノロジ」では紹介されていないトピックがあることがわかると思います。
1.学習研究と学習科学
2.比較認知科学から見たヒトの学習
3.言語獲得の諸相
4.素朴理論獲得における生得的制約と経験
5.熟達化
6.日常的認知と非公式の教育
7.文化の中の学習
8.帰納推論と学習メカニズム
9.学習の認知神経科学
10.学びにおける協調の意味
11.学習環境のデザインと原則
12.授業研究と教師教育
13.情報テクノロジの教育への導入
14.教育評価-新しい学びの視点-
15.学習科学の展開
「学習科学とテクノロジ」では、実際に行われた様々なプロジェクトを紹介するという形で進められていましたが、本書では、より基礎的な学習プロセスに関して、前半部分で説明しています。
具体的には、2章から9章あたりがそれに当たります。学習を考える上で大切な「熟達化」などといった概念についても、コンパクトながらもその概観をつかめるようになっています。
また、後半部分を見ても、12章に「教師教育」というキーワードがでており、これに関する部分も「学習科学とテクノロジ」よりも詳しく記述されています。
本書と「学習科学とテクノロジ」は重なる部分が多くありながらも、力のいれてある部分が少しずつずれており、両方を読む事で、より学習科学の概観というのをつかむことができると思います。
入門書としておすすめの1冊です。
[舘野泰一]