2007.07.26
『 学習科学とテクノロジ 』 三宅 なほみ, 白水 始 (著) 放送大学教育振興会 (2003/04)
今、このブログをご覧になっている方の中には、試験の準備をしている過程で、「勉強って孤独だなぁ・・・」と感じている方がいらっしゃるかもしれません。けれど、例えば今行っている勉強は、いずれ私たち研究室のメンバーと熱く議論を交わしていくための素材集め等その準備だと考え、研究室とのつながりを想定してみると、その学習はもはや一人のものではないと感じてきませんか? 実は学習は社会的なものであり、さらに、一人より、複数で協調しながら学習すると互いの理解を深め合い、効果が上がるということも言われています。
本書では、学習科学(Learning sciences)という研究分野での”学び”についての考え方の紹介から始まり、協調的な学習をICTがどのように支援することが可能か!?について、事例を交えて紹介しています。先進的な研究・開発に取り組んでいる研究者たちの考え方や実例、実践的なカリキュラム構成、CSILE、Jasper、WISE、LBD、LeTUSなどのプロジェクトを現場からの声を含めて多数とりあげ、検討しています。
構成は15章、下記の通りです。
1.学びを見直す
2.協調学習という考え方
3.掲示板による協調学習
4.マイクロワールドの利用
5.デザイン研究
6.科学的な考え方を日常化する
7.パートナーシップという考え方
8.科学する技術を身につける
9.協調学習への足場掛け
10.科学的な問いを問う
11.世界のモデルを作る
12.学習コミュニティの形成へ
13.共有、再吟味のためのテクノロジ
14.学習の評価
15.これからの課題
私は入学後にこの書を手にしたのですが、最新のテクノロジを用いてどんな学習環境がデザインできるだろう、という入学前に淡く抱いていた想像をはるかに超える数々の偉業にただただ脱帽するばかりでした。
この書は、研究室が主催する研究会などで教科書的な存在としてよく紹介されています。科学とかテクノロジとか書いてありますが、理論と実践を組みあわせて分かりやすく書かれているため、開発研究を希望する方はもちろん、しない方も是非お読み下さい。
[佐藤朝美]