2007.05.10

【受験生にお勧めの一冊】ネット社会の未来像―神保・宮台マル激トーク・オン・デマンド3

この本は、教育・教育工学の専門書では、ありません。
教育とは一見、関連性のないように見える対談集です。

また、一方で、私たちの生活と密接に関係している事柄を扱っています。
教育や学習の視点からではなく、社会やテクノロジーに関して語られている
ものです。

教育とテクノロジーは、現在、どのような歴史的、社会的文脈、政治的文脈、
経済的文脈に位置づけられているのか。
教育はどこから来て、どこへ行こうとしているのか。

それを必ずしも教育に一見、親和性のないように見える、他の領域の知見と
照らし合わせたり、比較して、眺めてみせることが出来るのが、
学際情報学府で学習や教育を研究する「醍醐味」のひとつだと言えます。

あえて異なる分野の視点から教育を冷静に見つめ、自分なりの世界観を思い描くことは、
学際情報学府において教育や学習を語る上で、また、実践やシステムを開発して
いく上で、実は非常に大切な営みなのではないか、と個人的には、思っています。

非常に難しいことですが。

また、これらの対談の論者の学問的背景と、例えば山内研究室で読まれる、
社会文化歴史的アプローチの心理学研究などのルーツと思いがけないところで
接点を感じられるという意味でも少しお得です。

様々な分野の知見は、色んな所でひっそり繋がっているのです。

「受験生にお勧めの一冊」という実用的な意味では、以下の3点を意識しました。
情報学環からは西垣通先生や水越伸先生がゲストとして参加されています。

1)対談集ですので、人文社会的なフレーバーのする本に馴染みのない方に
  とっては、「入門書を手に取る前の」良い切っ掛けとなるのではないでしょうか。

  例えば、ここから西垣通先生の『こころの情報学』や水越伸先生の『メディア
  ・ビオトープ』、『コミュナルなケータイ』などを読む。
  更に、教育・学習ではない、情報学環の先生方の本を読んでみる。

  ※情報学環の先生方のパンフレットを携えていると良いかも知れません。

2)学際情報学府では、入学後に色んな領域の、様々なバックグラウンドを持つ
  方々と出会います。その際に教育・学習に閉じずにディスカッションできるための
  レッスンの一つ。

3)自分の研究(教育)と社会、また他領域との距離をはかるための、
  複数の補助線うちの一つ。

学際といっても色んなアプローチがありますので、他にも色んな領域の視点が
あるはずです。

さて、あなたはどこから来て、どこへ行こうとしているのですか?
あなたの研究はどんな未来に繋がっているのですか?

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