2006.08.17

【Book Review】柴田義松『ヴィゴツキー入門』

<おすすめのポイント>
ヴィゴツキーが大事そうだなあと思いつつも、一歩が踏み出せない方へ。
だいたい知っているけれど、詳しく話せと言われると「ドキッ」とする方へ。
一応全体像をつかんでおきたいと思う方へ。

<書評>
山内研夏合宿シリーズで扱った流れにのせて、ヴィゴツキー本を紹介しておこうと思います。本当はもう少しヘビーな本を紹介して「おっ」と思わせたいのですが、入門本でごめんなさい。しかし、一歩目を踏み出すという意味では全体が網羅されていておいしい本ではないかと思います。

内容はというと、ヴィゴツキーの生涯、発達の最近接領域、彼のアイデアを生み出すことになった時代背景などなど、ほぼ全体を網羅しています。私は彼のアイデア自体は知っていたものの、その時代背景や彼がどんな人物であったのかということを知るという意味でとてもためになりました。

当然この一冊でヴィゴツキーを知ったというのは難しいです。ピアジェとの関連は述べられていますが、彼が批判された点、さらには彼の後にどんな人が育っていったのかという詳しい点はのっていません。しかし、全体像をつかむことはできると思います。インデックスを作るという意味で、一度読んでおくといい本ではないでしょうか。

ヴィゴツキーを勉強したところでただちに自分の研究が進むというようなものではないかもしれませんが、こうした人物について知っておくことは基礎的な体力づけに最適かなと思います。夏にじっくりヴィゴツキーと向き合うというのもなかなかオツな過ごし方と言えるのではないでしょうか。

ちなみに関連する話が、BEATのメルマガで説明されています。
BEAT -Beating Back Number-
http://beatiii.jp/beating/014.html

[舘野泰一]

PAGE TOP