2014. 9.24 開催
山梨大学大学教育センター
反転授業公開研究会(FLIT共催)

反転授業公開研究会

森朋子 田丸恵理子 FLIT Seminar

招待講演
学生は反転学習をどう評価しているのか

森朋子 FLIT Seminar

森朋子
関西大学/准教授

本日は「学生は反転授業を実際、どう評価しているか?」というテーマで二つの実践事例の調査報告を申し上げます。まず、ALを遂行する立場として課題があり、それらの課題を反転授業なら解決し得ると思ったのが反転授業を調査しはじめた動機です。

今回は特にポストアンケートの自由記述で学生がどのように答えているか、を分析してみました。調査では、ダブルティーチングを取り入れたALを含まないような反転授業は対象に入れておりません。ここでは完全習得型の事例をお話します。学生は事前学習で15分ほどの動画を見て該当箇所のノートを作成し、授業ではALによる対面授業を行います。この先生は4回の授業後に行う小テスト3回の合算で成績を評価するとともに、小テストの結果でよく理解が進んでいる学生と進んでいない学生とで4人1組のグルーピングをします。その間、教員はデスクを周りながらノート作成の具合をチェックしたり質問に答えます。この先生の授業デザインの特徴は、授業の最後15分に解説を入れることです。普段の講義では学生がどんどん寝ていくのですが、この場合ですと自分が課題に取り組んだ後なので、学生がもっと教えてくれ、ここはどうなんだ、と前を向いて話を聴きます。成績分布も、平均点が10点以上上がっています。そういった意味で効果も高い、大変特徴のある授業だと思います。

森朋子 FLIT Seminar また、この授業を含む全体の授業後アンケートでの有効回答217を分析した結果、ポジティブな記述が100、改善点に関する記述が56ありました。反転授業のメリットとして完全習得型も高次能力育成型も、「勉強する習慣ができた」、「予習の習慣もつきやすかった」、「勉強量が増えた」など、ほとんど並んでいる項目は同じでした。ただ、改善記述に関しては様々なラベリングが出てきました。特に反転授業に限らず、アクティブラーニング全般に入れることなのですが、「正しい答えを教える」に関する学生の要望は強いようです。

まとめに入りますと、実は日本型の反転授業のデザインがあってもいいのかな、と思っています。タイムフォーテリングという有名な学習科学系の論文がありますが、その中で一番効果のある学習方法は「学んでから教える」だそうです。つまり、先ほど指摘したように、学んでから教えるとみんな聴くわけです。ただし反転授業の場合は、いつ教えるか、いつ学ぶ環境を整えるか、ということをもっと考えると今の二つ以上のデザインの可能性が出てくるのではと考えています。

招待講演
反転授業の取組と効果(山梨大学のケース)

田丸恵理子 FLIT Seminar

田丸恵理子
山梨大学/客員教授 富士ゼロックス

山梨大学では2012年の後期から反転授業やALなどを試験的に導入してきましたが、本日はその取り組みと効果についてお話できればと思います。まず、本学で取り組んだ代表的なALのスタイルを3つ紹介します。

1つ目は「演習と疑問払拭型のスタイル」です。徹底的に疑問点を出させて、事前学習で疑問がない状態にし、その上で演習問題を解くというスタイルになります。2つ目は、「グループによる問題解決・ステップアップ型のスタイル」です。まず、事前学習の時に演習問題を出して提出させます。そして、授業中は以下の3つのステップで進めていきます。ステップ①では、事前学習で行った課題に対してグループで一緒になって結論を導き出します。ステップ②では、基礎的な新しい問題をグループで解かせます。ステップ③では、応用課題をグループで解かせます。つまり、レベルを少しずつ上げていき、達成感を感じさせながら最終的に「応用課題」まで到達させます。それから、3つ目は「グループ討議型スタイル」です。まず、事前学習の時にあらかじめ議論のテーマになるような視点を学生に与えておいて、その視点を頭に置きながらビデオを見なさい、と指示します。対面では、その時のグループワークを教師が歩いて見てまわり、発表の時には必ず複数のチームの異なる答えを発表させ、議論を通じて多角的な視点を身につけさせます。

次に、取り組みの効果についてです。まず、成績については一つの科目を除き、ほとんどの科目で大きな向上・効果の維持が見られました。さらに、成績以外の学生が主体的に学べる、というところに関しては、観察調査とアンケートの結果からみていきます。まず、反転授業導入によってほとんどの学生が応用レベルの課題を解けるという状況になりましたそれから、授業中の質問数が増加しました。AL教室でホワイトボードを使ったこともあってか、学生のアウトプットに対する意識が向上して、チームの議論が活性化するようになったと思います。

最後に事前学習の時間と学習方法についてですが、全ての学生の事前学習時間が増加しました。事前学習、ALの効果に関しては高得点層で高評価でした。授業中の態度については、「グループワークの重要性を意識した」と「先生の解説を非常に熱心に聴くようになった」という声が多く見られています。試験に対する意識では、半数以上の学生が「試験の準備が短くなった」と回答しました。これは日常的な達成感があるため、準備の学習時間が減ったと考えられます。学習に対する自己効力感については、半分近くの学生が高くなったと答えています。これは、この授業を取ったことによって自分で学習をしていけるんだという意識が身についたことを表しており、非常に意味のある結果だと思います。

田丸恵理子 FLIT Seminar