2014. 2.12 開催
島根大学教育開発センター
反転授業公開研究会(FLIT共催)

授業の常識をひっくりかえす! 『反転授業』を考える

肥後功一 森朋子 FLIT Seminar

開会挨拶

肥後功一 FLIT Seminar

肥後功一
島根大学教育/学生担当副学長

本日は、たくさんのみなさまにお集まりいただいて、大変ありがたく思っております。反転授業そのものについての本学の実践やその分析は、まだまだ始まったばかりです。大学の授業改善の必要性が叫ばれて久しい今日ですが、学生の学習者としての多様な特性に応じた教育をどう展開していくのかということについては、議論が不足しているように思います。学生の学びの特性や志向性に応じて、教育内容や学習方法のバリエーションを広げていく試みの一つとして、反転授業を捉えています。

反転授業やアクティブラーニングについて、本邦を代表するお二人の先生に基調講演をしていただいた後、本学での取り組みを含めて、反転授業の実践について理解を深めていただければ幸いです。大学教育について立場や状況を異にする諸大学が共に考える機会がたいへん重要だと思っておりますので、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

趣旨説明

森朋子 FLIT Seminar

森朋子
島根大学教育開発センター長

反転授業を本学で初めて導入したのは小俣先生で、その授業を拝見しました。学生の活発な学習活動の様子を伺い、本学の学生にいいんじゃないか、面白いんじゃないかと思いました。そして、本当に効果があるのかどうか試していただける授業を全学に募集しました。他の先生の実践を共有するために始まったのが「反転授業研究会」で、それを公開で行おうというのが今日の目的になります。

さて、「なぜ反転か」ということについて、森的な考えを述べさせていただきますね。そもそも、学生の知識の蓄えが十分ではないのに、活動だけ能動的なアクティブ・ラーニングという取り組みも多く出現し、授業の中で学生同士の相互作用が十分に起こっていないケースがあるように感じています。また、最近の学生は、教えてもらってから学ぶ、という小・中・高の経験がベースになっていて、その弊害が大学に影響していると思っています。知識は深い・浅いという深度で表現することもありますが,知識基盤社会では得た知識を何回も何回も自分なりにほぐしては編み直すアンラーン(Unlearn)を行っていかなければならない、と考えました。

次に、「反転授業の構成モデル」についてですが、授業の中だけではなくて、授業の前後もデザインできるというのが、反転授業の大きな枠組みをつくっていると思います。今回、この反転授業に関する研究会を公開で行う理由ですが、これにはFD(ファカルティ・ディベロップメント)が関係しています。本学では、学部と大教センターが学部の課題に取り組む協働型FDを実施していますが、実はその発展版として、プロジェクトクト型FDというのがあるということに気づきました。教員の方々は、目の前にいる学生の学びを向上させたいという共通目的を持っています。それらをEvidence baseで検証していくことには多くの先生方が共感してくださいます。そして、試行錯誤しているプロセスを共有し、pay forwardというのですが、向社会的な活動をしていくことがこれから求められていくと思っています。

これらの経緯で、山梨大学共同研究グループと、島根大学FDプロジェクトが連携する形にしました。今後は2年程度の時限付きで反転授業研究会を行ってまいります。この研究会に、今後は、他の大学で実践をされている教員や研究者の方々がどんどん参加してくださることを願っています。

森朋子 FLIT Seminar