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情報学環・福武ホールは、福武總一郎氏による寄附に基づき、安藤忠雄氏の設計によって建築され、2008年3月26日に竣工しました。

学びと創造の交差路

21世紀の大学は、社会的課題に果敢に立ち向かい、
時代の先頭に立って新しい価値を生み出していくことが求められています。
情報学環・福武ホールは、社会との対話から学び、新しい研究を創造していく場として誕生しました。
情報学環で展開されている学際的な情報研究と、情報化社会における様々な課題を接続し、
文化の多様性を基盤とした新しい情報社会像を提示していきます。
随所に埋め込まれた最先端の情報技術が、対話の中の学びと創造のプロセスを支えます。
長さ100mの「考える壁」の向こう側にあるもの--それは「学びと創造の交差路」です。

世界とつながる学環を

僕は、情報学環が、学際的だということに注目しています。直島と越後妻有でアート関係のプロジェクトをやっているのですが、これは、日本の原風景の空間と最先端のアートとをぶつけることによって新しいものを生み出そうという斬新な試みです。

僕はいかに人間が幸せに生きるかというのがすべての学問のテーマだと思っているんだけれども、今の研究は、研究そのものが目的化している。しかし、その点、学際性のある情報学環というところには、いろいろな違う価値観が集まっていて、そこで本当は何が正しいんだという問いを発しながら研究が進められていく可能性があると思う。

情報学環のホールにくれば、他の学部の人たちも世界とつながるような最先端としての情報学環を目指してもらいたいんです。

破壊ではなく創造

個々の持っている個性なり特色を一緒にして何か新しい次の価値をつくる。そういう意味で、僕は情報学環ができたと思うんですね。今まで、日本はあるものを壊してないものを作ってきた。僕はやっぱり日本を再生する文明史観は、「あるものを生かして、ないものを創る」という方向へ返さないといけないと思う。その考え方を東京では情報学環がやる。大いに期待しているね。
(2006年11月24日 吉見学環長との対談より)

福武総一郎

福武総一郎
株式会社ベネッセコーポレーション
代表取締役会長 兼 CEO

1945年岡山県出身。1969年早稲田大学理工学部卒業。1973年株式会社福武書店(現株式会社ベネッセコーポレーション)入社。1986年同社代表取締役社長などを経て、2007年より現職。
1987年より直島プロジェクトを開始。香川県の直島を、自然とアートで活性化する取り組みを実行。1998年「メセナ国際賞」受賞、2000年「第13回岩切章太郎賞」受賞、2004年ベネッセアートサイト直島に地中美術館オープン、2006年直島での継続的なアート活動に対して「メセナ大賞」受賞、同年香川県文化功労者表彰、2008年芸術選奨文部科学大臣賞など受賞。
これらの取り組みの結果、直島でのベネッセハウス、家プロジェクト、地中美術館を訪れる来島者は年々増加。2007年の直島への来訪者は28.5万人にのぼる。地域を巻き込み、交流を深め、直島の人々と一緒に元気になっている。

設計者 安藤忠雄氏の言葉

東京大学創立130周年を記念して計画された、200人収容のホールを含む校舎施設の計画である。奥行き15メートル、長さ100メートルの細長い敷地形状で、本郷通り側には樹齢100年以上、高さ30メートル余りの見事な楠の鬱蒼とした緑があり、キャンパス内外を緩やかに隔てている。

ここでは敷地の緩衝地帯としての性格を継承すること、並びに線形の敷地形状を活かした新たなパブリック・スペースをつくりだすことを目標とした。

楠の緑の景観を遮らない高さまでに抑えた結果生まれた地上部分のファサードについては同様に長い間口を持つ京都の三十三間堂を参照し、全体のプロポーションを決定した。キャンパス内ストリートとの境界には、建物と並行してコンクリートの壁を立てている。これは結界としてではなく、壁背後に広がる地下空間と、既存の大学空間をつなぐ<間>の創出を意図したものだ。

キャンパス内に空白の場を創りだす、この「考える壁」の向こうで、学生たちの活発な知的活動が展開する風景を期待して計画に臨んだ。

安藤忠雄

安藤忠雄
建築家

1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所を設立。

代表作に、「光の教会」、「大阪府立近つ飛鳥博物館」、「淡路夢舞台」、「フォートワース現代美術館」、「地中美術館」、「同潤会青山アパート建替計画(表参道ヒルズ)」「パラッツォ・グラッシ」など。

イエール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授歴任。
97年より東京大学教授、03年より名誉教授、05年より特別栄誉教授。
著書に「建築を語る」「連戦連敗」「建築手法」など。