UTalk Report

武長龍樹

先端科学技術研究センター 特任研究員

コミュニケーションをうたがう

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概要

9月のUTalkは、重度・重複障害の子どもとのコミュニケーションを研究されている武長龍樹さん(先端科学技術研究センター特任研究員)をお迎えします。ほんの少しでも身体を動かすことが難しく、言葉を通して会話することも難しい子どもと出会ったとき、どのようにして好きな飲み物を聞き出しますか?このような場面から、私たちの身近なコミュニケーションに隠された言葉や身振りの役割が見えてくるそうです。特別支援学校での実践のお話を伺いながら、私たちが普段何気なく行うコミュニケーションをもう一度考えてみませんか。 みなさまのご参加をお待ちしております。

2016年9月10日のUTalkは、武長龍樹さん(ご所属:先端科学技術研究センター特任研究員)をお迎えして行われました。

武長さんがご研究なさっているのは、重度・重複障害のある子どもとのコミュニケーションです。重度・重複障害とは、重い身体障害と重い知的障害の両方を持っている状態のことです。このような障害を持つ子どもには、自らの意志ではほとんど動けない子もいれば、常に自分の身体を動かして遊んでいる子もいるそうです。このような子どもたちは、言語によるコミュニケーションができず困難なだけでなく、身体もあまり動かない(あるいは常に動かしている)ために反応が分かりにくく、このような子どもたちとコミュニケーションをとることはとても難しいそうです。子ども達とより良いコミュニケーションをするにはどうすればいいか、武長さんは研究をしてきました。

そもそもコミュニケーションにはどのような種類があるのでしょうか。例えば、クーラーがききすぎている部屋の中で「寒い」と感じていることを、相手に伝えたいとします。どのように伝えますか。まず一つ目の手段は、言語で伝える方法があるでしょう。二つ目には、「エアコンの方を向く」、「エアコンを指でさす」、など社会的に共有されているシグナルを発する方法があります。しかし伝える側が上の二つを行うことができない場合はどうすればいいでしょう。この場合、人が寒がっている状態を見て、信号の受け手側が送り手の思いを推測する、というコミュニケーションの方法があります。これは一般的にはコミュニケーションだとは言いにくい考えられていないかもしれませんが、生まれたばかりの赤ちゃんと接する時にはこのようなにしてコミュニケーションが普通にをとられていまるはずです。重度・重複障害のある子どもと接する時、この第三のコミュニケーションが重要となります。

うまい多様なコミュニケーションの方法があることを考える実際に体験するために、トークの中で子ども役を一人設定し、その子どもとどう意思疎通をするか実際に動いて考える時間が設けられました。言葉が話せず身体をほとんど動かせない子どもからに、「2つの飲み物のうち飲みたいのはどっちなのか方を選ばせるを聞き取るシチュエーションを考えましたです。用意した飲み物を使い、子ども役の方を前に数人が実際に挑戦をしたところ、、、二つの飲み物を少しずつ飲ませると、飲みたい方の飲料飲み物を見るに視線を向ける、という子どもの行動に参加者が段々と気づいていきました(これは最初に子ども役の方だけに告げられていた設定でした)。二2つの飲み物を交互に飲ませ、その反応を何度も確認することで、その子どもにできる意思表示の仕方が分かったのです。もちろん、子どもにとって可能な意思表示のやり方は千差万別であり、一人一人の反応をきっちり見ていくことが大切なのだそうです。

重度・重複障害を持つ子どもは限られた時間の中でと接する時、栄養や水分を補給してもらおうと、どうしても量を「食べさせなきゃ」「飲ませきゃ」という介護・福祉的な関わり方をしてしまう場合が多いそうです。しかしその子どもたちだって本当はその時によって食べたいもの・飲みたいものがあるはずです。水分補給のため、といつもお茶を飲ませるのではなく、沢山いろんなの種類の飲み物を飲ませてんでみたら、好みも生まれるかもしれません。介護として生命維持のため、といつも同じ物をあげる提供するのではなく、子どもたちに色々な経験をさせ、その反応や意思をいちいちちゃんと確認する時間をもうけることが大切だと武長さんはおっしゃっていました。

武長さんのお話を受け、参加者の方から「2つの飲み物から選ばせるにしても、両方の飲み物を全部飲みたい場合、両方の飲み物をちょっとずつ飲みたい場合もあるかもしれない。」「子どもの意思を汲み取ることがほとんど不可能に思える場合もあるが、どうすればいいか。」という質問が出ました。この問いに対し、確かに子どもたちと接すると何もできず終わってしまうような時もあるが、子どもとの接する側がめいめいに勝手な関わり方がめいめいに勝手をするになるよりも、子どもの反応をていねいに観察することを通じて、一貫して関わってあげることをまず目指せばいいのではないか、と武長さんはおっしゃっていました。そしてやはり「普段はやらないこと」を繰り返し体験させて何を好むのか探ることが重要だとおっしゃっていました。

武長さんのお話を伺い、言語やジェスチャーを使えない方と意思疎通をすることはこれほど困難なのかと気付かされました。言語・ジェスチャーでないコミュニケーションについて考えることは、人間の可能性を探っていくことだとも思います。武長さん、参加者のみなさま、どうもありがとうございました。

[アシスタント:東秋帆]

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