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関根康人

新領域創成科学研究科 講師

冷たい地球?土星の月タイタン

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概要

9月のUTalkでは、生命を宿す天体について研究している関根康人さん(新領域創成科学研究科 講師)をゲストにお招きし、「冷たい第2の地球」と言われる土星の月タイタンの姿と、タイタンに生命はいるのかについてお聞きしました。

2014年9月13日のUTalkは関根康人さん(ご所属:新領域創成科学研究科)をお迎えして行われました。

関根さんは土星の衛星であるタイタンについての研究をされています。現在は柏キャンパスで研究されていますが、学生時代は本郷キャンパスで惑星の成り立ちについて研究をされていたそうです。

最初に関根さんは参加者の方に、地球上で生命が誕生するために必要なものは何かを問いかけました。会場から挙がった答えは水と大気。水はミネラルなど生命にとっての様々な栄養分を溶かすことができ、大気中の酸素は我々が呼吸によってエネルギーを得るために必要なものです。地表面に海と大気が存在するということが、地球を生命を育む星にしている重要な要素なのです。実は、関根さんが研究をされているタイタンは地球を除く太陽系の星で唯一、大気と液体の海の両方が存在している星なのです。ただし、大気と海の化学成分は、地球と大きく異なります。タイタンの大気は主に窒素95%・メタン数%から構成されており、地上では地球と同じ1気圧ほどで重力は地球よりも小さいそうです。また、地表は約-180度で、液体のメタンが存在しています。

タイタンの地表に最初に降り立ったのは欧州宇宙機関の探査機ホイヘンスでした。会では関根さんが実際にホイヘンスの撮影した映像を紹介されました。映像では地表の高地や低地がみてとれ、高地は氷の大地からなり、低地は有機物の堆積物で覆われているそうです。低地には以前、液体メタンの川が流れていたとか。

関根さんによれば、タイタンにおいて液体のメタンの存在と季節には大きな関わりがあるそうです。NASAの探査機ホイヘンスによる周回探査によって、タイタンの北極付近にたくさんのメタンの湖があることがわかっています。反対にこのような湖は南半球には少なく、多くの雲が発生しているそうです。このような湖の局在化はなぜ起きるのでしょうか。それは、タイタンには季節があるからです。地球の季節は自転軸が公転面に対して23.5度傾いていることで、地球の位置によって北半球と南半球で日射が異なるために存在しています。タイタンも同様に自転軸が傾いていることで約30年周期の季節が発生しています。探査機ホイヘンスがタイタンに到着した2005年ごろは、タイタンの北半球が冬、南半球が夏でした。このことから、冷たい北半球では液体メタンの湖が安定に存在し、暖かい南半球ではメタンが盛んに蒸発して雲になり、湖の液体の量も減少したと考えられています。

季節によって降雨量に差があるということは、タイタンにおいて地球と同じような水の循環メカニズムが存在することを示しています。最初に述べた通り、太陽系で地表面に大気と液体が存在する星は地球とタイタンのみです。これからの調査ではタイタンに生命が存在するかどうかを確認することが目的の1つとなるそうです。関根さんからはこうした将来の探査予定についてもお話しいただきました。将来的にタイタンの物質を地球に持ち帰ることによって生命の有無が確認できるのではないかと関根さんは期待しているそうです。

生命の存在ということについて参加者の方からは、どのように生命であると確認できるのかという質問が出ました。関根さんによれば、生命であることには3つの要素が必要だそうです。それは、外と自己を隔てているかどうか、自己を複製できるかどうか、自分自身を維持・再構成できるかどうかです。この3つの要素を満たすときに生命といえると考えるそうです。ただ、タイタンから地球に試料を持ち帰ることができるとしても、タイタンから地球まで持ち帰るのに5年以上の時間がかかるため、実際に生命の存在を確認するには様々な技術上の問題があるそうです。また、太陽以外のエネルギー源で生きている生命は想定できませんかという質問も出されました。関根さんはタイタン以外に木星の衛星の探査計画にも関わっており、この探査計画では天体内部からの発熱(地熱)をエネルギー源として生きる生命が存在可能かどうかを調べる予定だそうです。

実はタイタンは市販されている望遠鏡でも見える星だそうです。土星のそばにあるオレンジ色の天体です。太陽系という身近なところに季節がある星があり、生命が存在するかもしれないと思うと探査の結果が今から待ち遠しくなりました。地球との比較を交えながらわかりやすく話して下さった関根さん、鋭い質問で会をより実りあるものにして下さった参加者の皆様、ありがとうございました。

[アシスタント:中野啓太]

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