UTalk Report

青木 浩介

経済学部・准教授

資産バブルとお金

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概要

バブル経済とは、どのような仕組みのできごとなのでしょうか。どのようなときに引き起こされるのでしょうか。マクロ経済学や金融政策を専門とし、経済現象を理論的に分析している青木浩介さん(東京大学経済学部准教授)をゲストにおむかえし、資産バブルと貨幣について考えます。

2014年2月8日のUTalkは、青木浩介さん(ご所属:経済学研究科)をお迎えして行われました。


青木さんはまず、バブルとは何かということについてお話になりました。青木さんが見せたのは、皇居とアメリカ・カリフォルニア州の上空写真。この写真を結んでいる「=」はいったい何を意味しているのか青木さんは問います。実は1990年頃、皇居とカリフォルニア州の地価はほぼ等しかったそうです。でも皇居の面積の土地とカリフォルニア州の面積の土地が元々同じ価値を持っているとは、考えづらいです。それゆえ、青木さんはバブルとは「元々の価値(ファンダメンタルズ)を離れて、価値が取引される現象」なのだと言います。「元々の価値」とはその土地を使って稼ぐことができる金額のことだそうです。


バブルの特徴は、価格は急上昇し、急降下することです。17世紀にはオランダで「チューリップバブル」が発生しました。バブル最盛期にはチューリップの球根の1つを買うために、数トンの小麦や大麦、10頭程度の羊、1トンのチーズなどを出した例もあったそうで、それを聞いた参加者は皆どよめきました。


では、なぜこのように価格が急上昇するバブルが発生するのでしょうか。それを考えるヒントとして青木さんは無限の客室があるホテルの例を出されました。無限の客室がある満室のホテルに新しいお客さんを泊めることができるのか。答えはイエスです。なぜなら、今いるお客さんに隣の部屋に移ってもらうことで、最初の部屋が空き部屋になるからです。このように、無限の部屋があれば満室でもあって、何人新しいお客さんがきても泊まることが可能なのです。


青木さんによれば、バブルの仕組みもこの構造に似ているそうです。先ほどのチューリップの例で言えば、チューリップを買う人は花を咲かせるためにその球根を買うのではありません。その球根を次の人により高く売って利益を得るために買うのです。そして、球根を売られた人は次の人に高く売り、売られた次の人はその次の人に高く売ることになります。これによって元々の価値以上に球根の金額は急上昇していくのです。


しかし、ここで重要な点は球根はホテルの例とは異なり、高く売ることのできる次の人が無限にいるわけではないことです。青木さんによれば、バブルはこれ以上の転売が難しいのではないかと人々が感じ始め、買い手がいなくなったときに終わるのだそうです。


実は私達の身近な存在にチューリップと似た、「元々の価値」がそれほどないものがあります。それは通貨です。突如、青木さんは100スイス・フラン札を片手にカフェで買い物をしようとします。ですが、当店では日本円しか使えませんと店員さんに言われてしまいます。当たり前ではありますが、使えない紙幣にはほとんど価値はありません。逆に1000円札紙幣の原価は15円ですが、紙幣が使える場所では1000円の価値があるものとして使うことができます。日本政府が1000円札紙幣に1000円の価値を保証して、法定通貨として使用しているからこそ「元々の価値」を離れて通貨は利用されているのです。この点でバブルと通貨はとても似た性質を持っているのだと青木さんは言います。


青木さんの話が一段落すると、参加者の方からは次々と質問が飛び出しました。バブル現象というのは人々の心理が重要な要因なのではないかという質問に対し、青木さんはたしかにそのような面もあると言います。経済学の分野では値上がりするから買っても大丈夫という心理に人々がなりやすいのは、金利が低いときや、貯金をしたくてもその手段がないときであるとわかっているそうです。


今回のUTalkでは最終的には財政と物価の話にまで話題が及ぶなど、参加者の方々が普段疑問に思っている経済現象について質問し、わかりやすく青木さんが説明するという場面も多く見られました。丁寧な語り口で難しい経済現象を平易に説明して下さった青木さん、雪の舞う中足を運んで下さった参加者の皆様、ありがとうございました。


[アシスタント:中野啓太]

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