UTalk Report

増田 直紀

情報理工学系研究科・准教授

ネットワークの恩恵

人と人のつながりの科学

概要

私たちを取りまくネットワークや「つながり」を科学的に解き明かすと、どのようなパターンが見えてくるのでしょうか。ブログやSNSの普及とともに目や耳にするようになったクラスターやベキ分布の意味するところとは? 2月のUTalkでは、複雑ネットワークの科学を多彩な分野で展開されている増田直紀さん(情報理工学系研究科・准教授)をゲストにお迎えします。

 2011年2月12日のUTalkは、複雑ネットワークの科学を多彩な分野で展開されている増田直紀さん(情報理工学系研究科・准教授)にお越しいただきました。そして、「ネットワークの恩恵-人と人のつながりの科学-」をテーマに、ネットワークという概念を社会の分析に用いていくという視点からお話いただきました。

 まず、ネットワーク分析の有効性と具体的な事例の紹介がなされました。ネットワークという言葉はよく使われていますが、人と人のつながりをネットワークとして捉えると非常に様々なことが分かってきます。例えば、どのようなつながりがビジネスや就職活動について有効なのかを検討した研究が紹介されました。増田さんによると、知りあいと知り合いが互いに知り合いとなっていて、ネットワークの構造が三角形になっている強い紐帯よりも、あまりこの三角形の構造がない弱い紐帯(親友などではなく知り合いなど)の方が新たな情報を得るのに有効で、就職活動などの場合には役立ちがちだということが分かっているのだそうです。

 さらに、この関係を大きく見てみると実際の人間関係は、非常に多くのつながりを持つ一部のハブのような人と、それ以外の人に分かれるという構造になっているということが紹介されました。そして、このようなつながりは均等に分布しているのではなく、一部のつながりをたくさん持っている人と多数のつながりをあまり持たない人に分かれる"べき乗分布"になり、この分布は収入の分布などにも当てはまり、一般的に80:20の法則やロングテールの法則というような形で用いられているのだそうです。

 質疑応答の時間では無縁社会など社会問題に踏み込んだ質問や、オンラインとオフラインのネットワークの性質の違いなどの質問が出ました。オンラインのネットワークの方が研究する上でデータを集めやすいが、オフラインのネットワークの方がより重要であり、オンラインのネットワークに偏ることなくきちんと研究する必要があるという意見が提起されました。また、学生へのアドバイスとして基礎をしっかり身につけること、大学の外にも眼を向けること、年上の人と話す機会をきちんと持つことというアドバイスがでました。

 寒い中にもかかわらず非常に多くの参加者に恵まれたこと、会が終わってからも増田さんへの質問が続く白熱した時間になったことが印象的でした。ゲストの増田さん、参加者の皆様、ありがとうございました。

[アシスタント:平川裕也]

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