本部広報室・特任研究員
第37回
4月のUTalkでは、南崎梓さん(本部広報室・特任研究員)をお招きします。 大学広報室で特任研究員として働いている南崎さん。どうして広報室に「研究員」がいるのかな?大学の学問を魅せるお仕事についてご紹介します。
4月のUTalkでは、東京大学本部の広報室で特任研究員として研究室の成果発表に努めていらっしゃる南崎梓さんをお迎えしました。
博物館が好きで学部時代に学芸員資格の勉強をしていたことに加え、科学館での実習や、子供向け科学教室のアルバイトをしていた南崎さんは、それらの中でサイエンス・コミュニケーターという言葉にはじめて触れ、子供とふれあいながら企画を考えたり、解説を行ったりしたそうです。そのような場所で「科学 の重要性を説明できるのは科学者だけだ」「子供って、科学がわからないけれど、これって面白いとは思ってくれる。それを活かせないだろうか」そう考えるようになったとのことです。そして博士課程三年の時、科学について噛み砕いて説明するのもいいけれど、「意味がわらからないけれど面白いと思ってもらえることはできないか」と思っていたころ、ちょうど今の広報の仕事の募集にめぐり合ったそうです。広報の仕事は手に職がつくわけではないけれど、色々なことが面 白く見えてしまう自分の性格に合っているし、やりたいことがなんでもできる自由さはあると語る南崎さんの笑顔は素敵でした。
南崎さんのお仕事は、名前は知れ渡っていてもどのような研究がされているかの認知が足りていない東京大学の現状に対し、研究について認知してもらうために何を発信していくかを考えるものです。
南崎さんは、東大の公式webサイトの「学術情報」の更新に加え、実験的広報誌ACADEMIC GROOVEのシリーズの企画編集や効果測定にも関わっていらっしゃいます。またフリーペーパー「ミニ・アカデミックグルーヴ」として、 Academic Park、理系向けのSYNAPSE、大型の新聞をイメージして表紙の女性の顔の絵や蛍光ペンのような配色で派手な LIFE-Chew It Over、クジャクが羽を広げたCHOICEの4種類が発行されています。(詳細はこちら)
これらのフリーペーパー4つのうちどれが一番手に取りたいですかとの質問では、Academic ParkとCHOICEに多くの手が挙がりました。柔らかな表紙写真とアカデミックな内容のギャップや、4種類あって読み応えもありそうで、どういうこと が書いてあるのか気になるなどと、来場者も興味津々でした。また、南崎さんは、新たな広報企画として「研究所研究所」をはじめようと考えているそうです。 東京大学には11の研究所があり、どこも歴史がありますが、それを一括で広報する企画を考えているそうです。
質疑応答では、部局間を横断する連携の仕組みについての質問が出ました。各部局の広報担当者が個人的にメーリングリストなどで横のつながりのベース 作りを始めているところとのことです。部局に専任の広報担当者がいない場合は、2年程度で配置転換する一般の職員が広報業務を担当しており、長期のプロジェクトは実行しづらいそうで、専任の担当者が重要になってくると話されていました。
またアカデミックグルーヴについて聞かれた際には、話しはデザイナーとの付き合い方にまで及び、CHOICEを作るときにデザイナーも仲間だから一緒につくるという考え方を編集長に教えられたとのことです。例えばCHOICEでは「音楽を聴くように」JAZZ感を演出したかったそうなのですが、デザ イナーがクジャクのモチーフを推した結果今のような形になったそうです。
誰に仕事の成果を見せたいかという問いには、常に母を意識しているとはっきり答えられていました。文系一辺倒な母にも伝わるものを、良いと思ってもらえるものを、と思いながら仕事をしているとのことです。実際に成果を見せて、「面白いじゃん」といってもらえたと言った南崎さんは嬉しそうでした。
今回は学生から出版業界の方や研究者まで、いろいろな方が集まり興味深いお話を伺いました。八重桜を背景に語ってくださった南崎さん、お集まりいただいたみなさま、ありがとうございました。
[アシスタント:藤田展彰]