UTalk Report

岩崎 渉

新領域創成科学研究科・助教

バイオインフォマティクスって何?

生命とコンピ ュータの出会い

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概要

 インフォマティクス、つまり情報学というと、みなさまはどんな連想をされるでしょうか? コンピュータとか、携帯電話とか、いわゆるITで生み出された機械を想像される方が多いかもしれません。  ところが、今回のお話はバイオインフォマティクス、翻訳すれば生物情報学の研究がテーマです。ITを駆使して生物に近いロボットを作る、わけでもないようなのですが、では、「生物」と「情報」はどのように結びつくのでしょうか? 2月のUTalkでは、「情報」をキーワードに「生物」とは何か、「生命」とは何かを考えておられる、岩崎渉さん(新領域創成科学研究科・助教)にお話を伺います。

 2月のUTalkは、東京大学大学院新領域創成科学研究科の岩崎渉さんにお越しいただきました。岩崎さんはバイオインフォマティクス、翻訳す れば生物情報学という分野で研究をされています。今回は「バイオインフォマティクスって何?」をテーマに、「情報」をキーワードに「生物」とは何かを研究す るこの新しい領域についてお話いただきました。

 では、バイオインフォマティクスでは、どういった研究がされるのでしょうか。
 生物学の分野では、年間75万本もの論文が出てくるそうです。また、 遺伝子情報をはじめ、膨大なデータを扱う必要も出てきています。そうした膨大な情報を人間の手で分析するのは非常に難しい。そこで、コンピュータを使うこ とでローラー作戦的に研究することができます。また、これまでは仮説を立てるような段階については、人間の手を使わなくてはなりませんでしたが、現在では コンピュータにより、その段階から研究を行うことができる可能性が出てきているとのことでした。このように、コンピュータという分析の技術を用いること で、情報の観点から生物について探求していくのが「バイオインフォマティクス」ということです。しかし、生物学とコンピュータ両分野についての知識が必要 となってくるため、まだまだこの分野に参入できる人材は少ないということでした。

 遺伝子治療や生物の合成など様々に応用が期待される新しい分野と言うこともあって参加者からの質問が相次ぎました。「元々は遺伝子治療などへの応 用が考えられていたと思うが、今後扱える範囲の方向性はどのように捉えられているのか」という質問には、どういった方面にも行きうるというお答え。これか らを担っていくような学生のモチベーション次第で様々なことに挑戦できる可能性があるそうです。
 岩崎さんご自身のバイオインフォマティクスへのモチベーションは、「生命とは何か」という問いに答えられる可能性があること、つまり、生命についての理 解を深めることにあるとのこと。遺伝子情報の差異などを捉えていくことで、生命のたどってきた道を理解することができ、それはひいては生命そのものがどの ようにできているのかを理解する近道だということです。
 生命に関わることということで倫理的な問題への質問も出されました。「技術的な可能性を開いただけで、あとは関係ないという態度ではいけないと思う」という岩崎さん。一つ一つの問題に丁寧に答えていた姿が印象的でした。

 いつも見慣れたものを違った視点から見ることでより深く知ることができる、ということに改めて気づけるひとときになったように思います。貴重なお話をしてくださった岩崎さん、参加してくださった方々、ありがとうございました。

[アシスタント:神足祐太郎]

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