UTalk Report

菅 豊

東洋文化研究所・教授

人と動物のおつきあい

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概要

 11月のUTalkは、中国や日本で、人と自然環境の関わりについてフィールドワークを重ねている菅豊さん(東洋文化研究所・教授)に、調査の様子やそこから見えてくる社会についてお話いただきます。

 11月8日のUTalkには、中国や日本で人と自然環境の関わりについてフィールドワークを重ねている菅豊さん(東洋文化研究所・教授)にお越しいただき、新潟県小千谷市での「闘牛」と「錦鯉」に関するお話をしていただきました。

 菅さんは2004年の新潟県中越地震で住民がバラバラになってしまった小千谷市を復興させようとしていた時に積極的に関わりはじめ、その時に小谷市の伝統である闘牛の文化を中心にして再び人々が戻ってきたそうです。その経験から、文化とはそれ自体に価値があるのではなく、人との関わりの中でこそ価値を持つのだと気づいたそうです。
 
 また、小千谷市では5月~11月にかけて毎月闘牛が行われるのですが、菅さんは研究のために実際に小千谷市で闘牛を飼うことにしたそうです。実際に 飼っている牛を闘わせたこともあるらしく、初めての闘いでは涙が出たそうです。菅さん曰く、「文化を学ぶにはメモを取っていればいいってことではない。牛 との関わりの中で、やっちゃいけないこと、牛が喜ぶこと、牛の好む引き方とかは、実際にやってみないとわからない」のだそうです。動物と人の関係から世界 を見るという研究の仕方にもポリシーがあるようでした。

 さらに、小千谷市は錦鯉の原産地でもあり、毎年数千人の外国人が錦鯉を小千谷市に買いにやってくるのだそうです。そこでは様々な国の人々が、英語や 中国語が使って楽しそうに錦鯉の話をするそうです。また、それをきっかけに菅さんはオランダの調査にも行くようになったようで、錦鯉という地域の動物がトランスナショナルな存在になっていると分析していました。
 
 今回も菅さんのお話が終わった後に、参加者から質問を聞いて気軽に話をしあうことになり、闘牛や錦鯉を飼うことが文化になった起源等、興味深い話が 繰り広げられました。今回初めて参加された学生の方は、「最初は大学の授業みたいに思って身構えていたけども、だんだん先生というよりはお友達のお兄さん の話を聞いているようになって楽しかったです」とか、「自分のペットと違って、闘牛は飼い主との愛だけではなくて、もっと大きい文化にも支えられているのだなと気づきました」といった感想を挙げていただき、UTalkならではのメリットを存分に味わってもらえたようでした。

 地震からの復興で闘牛が人々と地域を結びつけた話など、現場に入って真剣に関わっている菅さんならではのお話を聞けて、動物と人の文化の持つ重要さ を知ると共に、菅さんの一途な研究態度に心打たれました。今回はお忙しい中お話しいただいたゲストの菅さんはじめ、雨の中お越し下さった参加者の方々、本当にありがとうございました。

[アシスタント:池尻良平(協力:帯刀菜奈)]

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