UTalk Report

岩瀬 哲

医学部附属病院

どう答える? "なぜ私が死ななきゃいけないの"

概要

 9月のゲストは、緩和ケアの専門 医師として千の死と向き合ってきた岩瀬哲さん(医学部附属病院)。  不治の病に侵されている患者さんが、満足して死と向き合うことができるための答えを、進化論をたよりに探ります。

 9月のUTalkは、岩瀬哲さん(東京大学医学部附属病院)をお迎えしました。
 今回のテーマは「どう答える?"なぜ私が死ななきゃいけないの"」でした。東京大学医学部附属病院の緩和ケア診療部で、末期癌の患者さんと向き合ってこられた経験をもとに、生きる意味や死、そうしたことを考えることの重要性についてお話しいただきました。
 
 都心や森林、サバンナの写真から「懐かしさを感じる風景はどれですか」と参加者の方に質問することから始まりました。この質問の意図は、「ミーム」 という概念を理解することでした。人は遺伝子によって、遠い昔から未来へと情報を伝えています。その一方で、遺伝子を用いないで情報を伝えるシステムも存 在しており、これを担う自己複製子をミームと呼びます。死と向き合う人が生きる意味について考える際、神や宗教がその答えを提示できない現代においては、 「ミームの伝達」が答えのひとつになりえると、岩瀬さんは考えているそうです。
 
 人をばらばらの「個人」として捉え、単なる延命を目的とする医療への疑問や、死について考える機会がそもそも少ない現代についてもお話がありまし た。岩瀬さん自身が、ご家族の闘病生活に寄り添った経験をお持ちで、参加者の方にも何かの悩みや思いを持って来られている方が多く、真剣な議論が行われま した。「頭では分かるけど、若くして死ななければならないことが本人も、家族も納得できない」「死について考えると言っても、どう考えて良いのかさえ分か らない」といった意見が出てきました。

 「死生観はどれが正しいという訳ではなく、自分で考え、悩まなければならない。そうして悩む姿も、人に影響を与えている。」という話がとても心に残りました。貴重な時間を作っていただいた岩瀬さん、参加者の皆さま、ありがとうございました。

[アシスタント:岡本絵莉]

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