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ソーシャルラーニングとこれからの人財育成

0. 趣旨説明
山内祐平(東京大学・准教授)

山内祐平 Facebookのユーザー数は8億5千万人を超えている。人とつながることが当たり前になり、感覚が麻痺してしまっているが、この数は今でも増え続けており、将来的にあらゆる人類がつながることが考えられる。
人間の通常のつながりの範囲は、「150名」と言われてきたが、ソーシャルメディアが登場したことで、この「150」という数を超えて人がつながる見込みが生まれている。それにより、今までない学習の可能性が広がるだろう。

このセミナーでは、ソーシャルラーニングを新しい人とのつながりによる学習ととらえて議論を進めていきたい。今までにつながらなかった人、異質な人がつながることにより、社会的な学習を起こすことができる。

ソーシャルメディアの出現により、学習だけが変化しているかといえばそうではない。新たな産業が次々と生まれ、働き方も今後変化していき、求められる人材も変わりつつある。つまり、社会における学習観も変化していくということだ。

「今年小学校に入学する子どもたちの65%が現在存在しない職業につく」という予測がある。こういう状況では、医者や弁護士などの「固い専門職」を除き、安定的・専門的な職業は失われてきており、これまで聞いたことがないような職種が次々と登場している。現在の小中高大の教育システムは、安定した職業に就く、働くことが安定しているというアウトプットの前提に基づきできあがっているが、その前提そのものが崩れてきており、職業と学業の体系的な接続が難しくなってきているのだ。1990年代にインターネットが出現し、人は時間や空間を越えてつながるようになった。これを私は産業革命以来の大きな変化だと考えている。産業や社会構造が大きく変化している中、工業化によって生まれた教育システムにも変革が求められている。

ソーシャルラーニングにおいては、学習の方法を考えることも重要だが、「何のために学ぶ」のか、そのネットワークを利用し「何を学ぶのか」ということを意識しなければならない。そこで、今回は次の三層の学習を対象として取り扱う。

対象となる三層の学習

  • 人材育成:暗黙知を含む経験学習
  • プロジェクト学習:非構造化領域の高度な思考
  • 基礎学習:定式化された知識・スキルの習得

1. 報告1:Socla 数学学習「数学教育のためのゲーム型学習Facebookアプリケーションの開発」
藤本 徹(東京大学・特任助教)

1.1. 研究の背景

藤本 徹 現代の数学教育の課題:数学の学力低下、数学に苦手意識を持つ生徒の増加(芳沢, 2006)や、日常における数学的思考と学校教育における数学スキルとの間の乖離(Devlin, 2007)に対応して、日常生活と関連付けた形で数学スキルを実践できる環境を提供する必要性があると考えた。
数学教育へのゲーム利用は、珍しい話ではなく、コンピュータが登場した当初から存在し、開発も継続的に取り組まれているが、今回の研究では、「ゲームの外の『他者とのつながり』をゲームに組み込む」、「プレイ状況のログを収集してデータとして活用する」といった、学習ゲームのソーシャル化の可能性に着目した。

1.2. 開発の方針

日常の娯楽的活動における数学的な思考の実践機会を増やすことで、間接的に数学的思考への親和性を高める。

対象者 数学に苦手意識を持つ学習者層(主に高校生)
用途 自宅学習の合間などの短い時間で気軽に楽しんで利用する
テーマ 海洋探索、船を座標上で操作して、制限時間内に宝を手に入れる
学習内容 平面座標とベクトルの知識
ベクトルの力の働きのシミュレーション+関連数学知識をクイズ化

1.3. プロトタイプの概要とデモ

海洋探索ゲーム:風向き・強さ・進む方向を考えながら、タイミングよくクリックし、船を目的地まで進める。ゴールではベクトル・平面座標に関連した数学学習の問題が出題される。
プレイ結果はFacebookのウォールに投稿される。それをクリックすると、そのプレイヤーのプレイログと対戦できる。
プロトタイプは、Facebookアプリケーションとして開発し、HTML5 Canvas+JavaScriptによって実装した。メインのゲームの開発とともに、ソーシャル要素(ウォール投稿、ゴースト対戦)、学習要素(クイズ)、ステージエディタの機能を導入した。昨年11月から開発を進めている。今後、Facebook上で形成的評価を実施し、事前・事後テストで数学学習に対する意識、プレイ状況、プレイ後の反応を収集、分析ののち、ユーザーのフィードバックを参考に機能の修正・追加を進めていく。

2. 報告2:Socla 小論文学習
高橋 薫(東京大学・特任助教)

2.1. 実践研究開発の経緯

    高橋 薫
  • 初等中等教育における言語力の育成(文部科学省, 2007など)
  • 21世紀型スキルの育成やPISAのデジタル読解力調査など、リテラシー能力やICT能力育成への関心の高まり
  • 大学入試の形態が多様化(文部科学省, 2010)→小論文実施の広がり
  • 進研ゼミでは小論文講座を実施
    Socla小論文学習
    第1期(2010年度)作文の推敲過程を支援する相互推敲支援システム「Re:」を開発
    第2期(2011年度)作文のプランニングと文章化を支援するFacebookを活用した学習コミュニティを開設

2.2. 活動の概要

ねらい

  • Facebookの非公開グループを学習管理システムとして活用
  • Facebookで仲間と繋がる
  • 学習プロセスを可視化
  • 小論文のプランニングと文章化のプロセスを仲間と共有

対象と教材

  • 対象:進研ゼミ小論文高校2年生会員27名
  • 教材:進研ゼミ「エンカレッジ小論文 2012年3月号」を使用
  • テーマ:少子高齢化
  • テーマに関連する読み物
  • 課題:「資料を参考に少子化の原因をあげ、どのような対策がとられるべきかを600字でのべる」
  • 小論文作成のためのワークシート

Facebookのグループ機能

(1)全体交流スペース
メンバー:参加者全員
  • 全体への事務連絡
  • 息抜きアプリ紹介
  • 雑談
  • グループ内で解決できなかった小論文作成に関する悩みや疑問を取り上げる
(2)小論文活動グループ
メンバー:中心メンバー5~6名
  • 出欠確認:「いいね!」を利用
  • ミッションの伝達
  • ミッションクリアまでの活動
  • グループ内での約束:「愛のあるツッコミをしよう!」

活動期間中の約束

必ず1日1回Facebookにログインしよう!
  1. メッセージをチェック
  2. 全体交流スペースをチェック
  3. 活動グループをチェック

「スケジュール通りに進まなくても雑談でいいから顔を出してね!」と指示

活動の流れ

月日 内容 Facebookでの活動
活動スタート 2/19 説明会…対面+オンライン
*会場に来られない学習者は、オンラインで自宅から参加、もしくは、非同期で参加。
投稿練習
Step0 練習 2/19-26 練習用ミッション グループ名を決める
投稿練習
Step1 課題を理解する 2/27-28 設問を読み取る
資料を読み取る
教材を読み取ってグループで話しあう
Step2 知識を得る 2/29-3/1
3/2-4
構想を練る
(書くための調査)
主張を支えるデータを探し、報告しあう
Step3 知識を整理する 3/5-6
3/7-8
調べた情報を整理する 情報を取捨選択したり、考えを深め合う
Step4 アウトライン作成 3/9-10 構成を考える 文章の構造や論理的つながりをお互いにチェック
Step5 小論文作成 3/11-12 小論文作成 提出前にお互いにチェック
小論文提出
アンケート提出
3/14〆切
3/14-16
清書して郵送

学習者同士のやりとりの例

〈Step3「知識を整理する」におけるやりとり〉

少子化の原因と対策を考える上で重要と思われる項目を取り上げ、なぜ?いつから?どのように?など、複数の観点からツッコミをいれる(問いの絞り込みと深化)。

学習者A「(どうやって複数の観点からツッコミを入れるのか)全然進む事ができないのですが、みなさんはどうやって進めることができたのでしょうか?アドバイスなどお聞かせください!!」

学習者B「私もまだミッションが終えられなくて悩んでいます。だれか助けて!」

学習者C「調べているときは理由も何も考えずに納得していた内容があって、そういえばどういう関連があるんだろう?というものをツッコミにして答えました。例えば、私の場合は、“労働時間短縮
→出生率UP!”という内容があったので、『何で労働時間を短縮すると出生率があがるんだ?』→『仕事と家事育児の両立がしやすくなるから』などとしました。」

学習者B「なるほど!そういう風につっこんでいけばいいんですね。ありがとうございます。」

2.3. 実践の評価

参加した高校生に対し、質問紙調査を実施。
Facebookグループの学習管理システムとしての機能を教育的アフォーダンス、社会的アフォーダンス、技術的アフォーダンスの観点から評価(Wang, 2011)。
→高校生は自らの学びをどのように捉えているか。

Facebookグループの教育的アフォーダンス

Facebookグループの教育的アフォーダンス

Facebookの社会的アフォーダンス

Facebookの社会的アフォーダンス

Facebookの技術的アフォーダンス

Facebookの技術的アフォーダンス

全体的評価

全体的評価

参加者のコメント

    ソーシャルラーニングとこれからの人財育成
  • いいね!が押されてたらすごく嬉しいし、オンライン上だと、なんか実際は離れていても、すごく近く感じて、あぁ、ディスカッションしてるっっとか思いました。(高2女子)
  • 自分が悩んでいるときに他の人の意見を参考にすることで乗りきれました。また、自分では調べられなかったデータを見ることが出来たので考えが深められたと思います!!(高2男子)
  • 元々、文章を書く事に抵抗があったのですが、友達が頑張っている投稿を見ると自分も頑張ろう!という励みになった。(高2女子)

2.4. まとめ

Facebookグループを活用して学習者同士をつなぎ、学習プロセスを可視化する試みは、参加者に好意的に受け止められた。

今後の分析

  • 統制群(従来通りの個人学習)との比較
  • 書くことへの不安感、小論文の質、など

3. 報告3:Soclaプロジェクト学習「ソーシャルメディアを利用したキャリア学習環境」
山内祐平(東京大学・准教授)

3.1. Soclaプロジェクトの概要

概要

    ソーシャルラーニングとこれからの人財育成
  • 目的:高校生と大学生・社会人をFacebookでつなぎ、キャリア学習を支援する
  • 期間:7月30日(土)〜8月13日(土)の2週間(初日と最終日のみ東京大学で対面学習)

参加者

高校生 23名…被災地枠6名+一般枠17名
ボランティアサポーター 32名…Facebook、Twitterで一般公募
(社会人22名、大学生7名、大学院生3名)
ファシリテーター
→グループ学習をモニタリングする
6名…教育を専攻する大学院生

テーマ例

アカデミックプラン
(大学生活)
医療系の大学における留学制度に参加して得られるものは何か?
大学の「ゼミ」とはどんなところだろう?
理系女子はどんな道に進むの?
キャリアプラン
(職業と就職)
文系女子はパイロットになれるのか?
舞台俳優や声優の仕事に就くために大学へ行く意味はあるのか?
諸外国の貧困問題を解決するには、外務省・国連・NGO…どこに進めばいいか?
ライフプラン
(結婚と生活)
文学部哲学科は本当に就職が困難?
情報の先生になるまでに必要な能力は?やっておいたほうがよいことは?
結婚とやりたい事の実現の関係性

プログラム

7月最終週 以下のプロジェクトテーマ(大テーマ)の中から、各自の興味に基づきテーマを選択
アカデミックプラン
キャリアプラン
ライフプラン
7月30日(土) オリエンテーション@東京大学
「問い」「仮説」の設定
学習計画
Facebook講習
  各自「仮説」の証明に向けて調査
8月4日(木) 中間報告@Facebook
・発表アウトライン提出
Facebook上に作られた、各チームのグループページにて報告・共有しあう
  各自、調査の集約
アウトライン修正・レポート作成
ポスター作成
8月13日(土) 最終成果報告会@東京大学
ポスター発表
ポスターで調査成果を報告。

Facebookグループの利用

学習コミュニティのイメージ図

学習コミュニティのイメージ図

Facebookグループでの支援者と学習者間の交流

Facebookグループでの支援者と学習者間の交流

公開質問の実施状況

高校生からの「公開質問」をFacebookページ、Twitterで発信し、一般からの回答を収集

質問テーマ 対象
1. 大学に進学した後で「無駄だった」「後悔している」こと 大学生以上
2. 大学時代の部活・サークルについて 大学生以上
3. 結婚観について 大学生以上
4. 芸術系大学・デザイン系専攻のカリキュラムと卒業後のキャリアについて 芸術系大学の大学生・卒業生
5. 理系と文系の大学生活の違い 経済学部または工学部または薬学部の大学生・卒業生
6. 医療系学部の留学について 医療系学部生・卒業生
7. 国際社会に活躍するために必要なもの 大学生以上
8. 女性の結婚について 大学生以上の女性

3.2. 投稿数の内訳

全体の投稿数の内訳

山内祐平 約6割が高校生からの投稿、約4割が支援者(サポーター、ファシリテーター、スタッフ)からの投稿。

一人あたり投稿数の内訳

  • 高校生は投稿数51〜100件が最も多い。
  • サポーターの多くは50件以内。

投稿内容別のスレッド・返信内訳

  • 学習の報告・相談スレッド:高校生が開始し、支援者が参加する流れ。
  • 雑談スレッド:高校生中心のコミュニケーションの場。

相互作用のネットワーク

  • 核となる高校生とサポーターを中心にしたインタラクション。
  • 投稿数の少ない人は、核となる人への返信からつながる。
  • 返信・「いいね!」によるつながりの比較。
    →「いいね!」のほうが、つながりの幅が広がっている。これがシステム全体を支えている。

3.3. 質問紙調査結果

将来・進路決定に対する意識

  • 将来への希望の増大…私の将来には、希望がもてる(プレ<ポスト P=.005)
  • 進路決定に対する不安の軽減…「進路を決めることに対して不安がある」など5項目(プレ>ポスト P=.026)
  • 進路決定に対する相談希求の増大…「進路の問題は重要なことなので、誰かと相談したい」など5項目(プレ<ポスト P=.088)
  • 進路に対する外的統制感の増大…「進路の決定は、運や偶然によって決まることが多い」など5項目(プレ<ポスト P=.024)

進路に対する外的統制感の増大は、一見すると、他の3項目とは方向性が異なるようにも見える。しかし、これは本プロジェクトでの学びを通して、進路選択や決断には人との出会いが影響を与えるという現実を理解したことによるものと推察できる。

Facebook利用と将来への希望

  • 「Facebookでの他の参加者との交流」
  • 「Facebookで他の人の意見を知ることができた」
  • 「Facebookを使うことは楽しかった」

→Facebookを通じ活発に他者と交流した高校生ほど「将来に希望がもてる」と回答

3.4. まとめ

  • 高校生が大学生・社会人から支援を受けて進路について考える学習活動へのソーシャルメディアの導入は成功した。
  • 学習活動によって、進路や将来に対する態度が変容することが明らかになった。
  • 「半公開型」の学習ネットワークとして運用することがポイント。

4. Soclaプロジェクト高校生参加者
代表黒河賢人くん(高校2年生)による報告

4.1. プロジェクト学習の流れ

(1)仮説をたてる

黒河賢人 祖父や父が歯科医師というのもあって、将来は歯科医師になりたいと考えている。しかし、現在日本はコンビニよりも歯科医院のほうが多いと言われている。そこで僕は将来、周りの人とは違った技術や豊かな人間性を身につけて、より患者さんに必要とされる歯科医師になりたいと思っている。そのために、学生の頃から医療先進国へ留学して、学ぶことが有効な手段なのではないかと考えた。

  • 大テーマの選択…アカデミックプランを選択
  • サブテーマ(自分なりの「問い」)の決定
    オリエンテーションでグループごとにお互いのテーマを確認した。さらに、ファシリテーターやグループ内で相談し、サブテーマを推敲した。
    →「医療系の大学における留学制度に参加して、得られるものは何か?」
  • テーマに対する仮説(自分なりの「仮説(答え)」)を立てる
    医療系の大学における留学制度に参加して、得られるものは
    • 日本の大学では学べない海外の医療技術
    • 語学力強化
    • 精神的成長

(2)仮説をサポートする証拠を集める

  1. インターネットで調べたことを毎日Facebookで報告
    「今日は、各大学のHPを見て、留学制度や留学プログラム参加者の体験談を調べた」
  2. サポーターなどにアドバイスをもらう
    「大学だけでなく、外部の留学あっせん機関を利用して留学する方法があることを教わった」
  3. 更に深く調べる
    「外部留学あっせん機関のHPを見て、制度や体験談を調べた」…留学制度に参加した人の生の声を聞きたい!
  4. Facebookの「友達」にインタビュー
    医療系大学に通う知人が留学中の写真をFacebookで公開しているのを見て、留学していたということを知り、Facebook上でメッセージを送って、インタビューの依頼をした。
    • インターネット:留学してよかったことはたくさん見られたが、参加者の不安や迷いはあまり見られず、古い情報も多かった。
    • インタビュー、アンケート:実際に参加した人に聞くことで、質問が自由にでき、新しい情報を得られる。また、留学をするにあたっての迷いやデメリットなど、率直な意見も聞くことができた。
  5. Facebookで体験談を集める
[例1]ウォールで呼びかける

「~な人に聞きます」という呼びかけで、Facebook上の「友達」(サポーター・ファシリテーター・高校生参加者)にアンケートをとる。
→誰かの発言に別の人が意見を重ねていくので、顔を合わせていなくても、活発な議論が交わされる
→しかし、「友達」の中に医療系大学の出身者が少なく、回答が集まらない

[例2]クエスチョン機能で質問・アンケート

質問と回答の選択肢を自分で作成できる機能を用いて、Facebook上の「友達」にアンケートをとる。
→選択式のアンケートなので、多数派・少数派の意見が何かを知ることができる。

[例3]Googleドキュメントで作成したアンケートを拡散

質問を自由に作成でき、選択式&記述式で、ネット上で多くの人に回答してもらえるアンケートを用いた。
FacebookのSocla交流スペース上で、Googleドキュメントの存在を教えてもらい、アンケートを作成した。
サポーターやファシリテーターなどのメンバーの協力を得て、TwitterやFacebookで、自分が直接知らない人にもアンケートに回答してもらえるように拡散してもらった。
→医学生時代の留学について、賛否両論、多くの回答が集まった。(誰でも自由に回答できるので、留学経験のある医療系学生からの回答だけにとどまらない)

(3)仮説を見直す

調査をしていく中で、Ⅰ〜Ⅲに加えて、Ⅳ、Ⅴを追加した。

  1. 日本の大学では学べない海外の医療技術
    「日本の医師免許も持っていない学生が海外へ行っても、技術を見ることはできても、実践することはできないのでは?」(Googleアンケート結果より)
     =学生のうちは海外の医療技術を学べないのでは!?
    「学生は、海外の医師免許がなくても、海外の医学生と同じ立場で様々な臨床実習ができる」(留学経験者の知人へのインタビューより)
     =学生は、免許がなくても海外の医療技術を学べる!
  2. 語学力強化 「医学英語を含めた英語運用能力を向上させることができた」(留学経験者の体験談より)
    特に、大学の単位取得の対象とならないプログラム(特に低学年)や長期のプログラムでは、語学力強化に特化した内容のものが多い(各大学の留学制度の比較より)。
  3. 精神的成長
    「日本とデンマークの学生同士、医学教育や医療福祉制度に発表と意見交換がある」(留学経験者の体験談より)
    「日本と比べ、学生も『チームの一員』として重要な役割を担っているので、積極性がないと通用しない」(インタビューより)
  4. 日本と海外の医療システムや文化的なバックグランドの違いを知り、その長所・短所を考える
    「オーストラリアのホスピスは、高齢者ケアだけでなく、リハビリ施設もあるという点で日本と大きく違っていた」(留学経験者の体験談より)
    「オーストラリアの学生は、医療チームの一員として責任ある仕事の一部を任されていて、日本の研修医に相当する能力があるように思えた」(留学経験者の体験談より)
  5. 日本に帰ってから、その経験を多くの人と共有し、日本の医療教育の場を活性化させる
    「留学経験を自分自身に活かすのみでなく、勉強会などを通じて他の医学生ともシェアすることができた」(留学経験者の体験談より)
    「留学体験記をレポートにまとめ、大学に報告するとともに、後輩たちに伝えることができた」(インタビューより)

検証まとめ

  • 体験談をただ読むのではなく、留学に行った年次や期間別に読み分けてみたところ、留学のタイミングによって得られるものは違うことがわかった。
  • 大学1,2年生での留学(主にⅡ.Ⅲ.):まだ医療の専門知識が浅い教養課程にあるので、主に語学力を身につけることや日本との文化の違いを学ぶことが中心となる。
  • 大学3~6年生での留学(Ⅰ.~Ⅴ.すべて):特にⅠとⅤにあたる医療技術や医療制度の違いなどを学ぶには、専門知識が身についた5,6年次での留学のほうがより効果的である。

以上の調査結果を踏まえて、レポートとポスターを作成し、最終日の成果発表会でポスター発表を行った。

4.2. 活動を終えて

  • 普段とは違う環境で、同世代の人たちと同じ1つのものに取り組む。
    →Facebookでのつぶやきあい→お互いに励ましあった。
  • 全国から集まった同世代の人たちと交流できた。
    →特に、被災地から来た高校2年生は、予想とは違って、明るい人ばかりで、むしろこちらが元気をもらった。
  • アドバイスをいろいろな年代の方々(大学生・社会人など)からいただけて、自分の近くの将来のビジョン(大学に関すること)が見えた。

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