UTalk Report

村山顕人

工学系研究科都市工学専攻 准教授

環境都市ポートランドのまちづくり

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概要

6月のUTalkは、村山顕人さん(工学系研究科都市工学専攻准教授)をお迎えします。自転車やカフェ、ライフスタイルなど、何かと話題にあがるアメリカの都市、ポートランド。アメリカの住みたい都市ランキングでも常に上位にランクインする街の姿は、ここ数年でできあがったわけではありません。今日のポートランドは、1970年代以降、環境と経済の問題に立ち向かうため、行政と市民が協力しあって築き上げた都市計画の賜物なのです。成功した都市計画の根幹はどのようなものだったのか、村山さんにお話を伺います。 皆様のご参加をお待ちしております。

6月のUTalkは、工学系研究科都市工学専攻の村山顕人さんにお越しいただきました。都市工学専攻は大学の中でもとりわけ社会との接点が多い分野で、村山さんも行政の都市計画の立案等に実際に加わりながら計画づくりの方法や技術について研究されているそうです。博士課程ではポートランドの都心部計画についても研究され、当時実際に計画づくりに関わった方々にインタビューをしたそうです。そこで今回のUtalkでは住みたい街、環境にやさしい街として知られるポートランドの都心部計画がどのようにつくられたのかについてお話していただきました。

今では住みたい街としてもてはやされるポートランドも、70年代には環境汚染や経済の停滞といった問題を抱えていました。そこで将来この街をどうしていきたいかという点について行政や事業者、市民が意見を出し合い計画をまとめ、計画を長い時間をかけて地道に実行して来た結果、今のポートランドがあるそうです。その将来像とは環境にやさしく、住みやすい街をつくるために車の利用を控え徒歩と自転車の利用を増やすというものでした。このような将来像を最初に共有することで具体的な施策を検討する際に迷いが生じにくくなったそうです。

こうしてつくられた都市計画には土地の利用方法や建物・公共空間のデザインのルール等が含まれていました。土地の利用方法を変更した例として、川沿いの道路をなくして公園にする計画がありました。道路から公園への転換によって、水辺に人が集まれる状態を作ったそうです。また、道路をなくした分バスや路面電車などの公共交通機関を発達させ、徒歩で回れる範囲に街の機能を集めることで車のいらない生活を可能にしたそうです。デザインのルールに関しては建物の1階を店舗にするという例があります。夜には人がいなくなってしまう商業地区や、静か過ぎる住宅街にするのではなく、夜にも昼にも市民が土地をフル活用できる状態を目指したそうです。

以上のような工夫で街の整備が行われる一方で、ポートランドには夏以外ほとんど雨がふっていると言われるくらい雨が多いという気候の特徴がありました。この気候の中で街の中の洪水等を避けて生活するためにアスファルトやコンクリートを減らして土に覆われた部分を増やし、雨を土に直接浸み込ませたり、小さな貯め池を整備したりしたそうです。同じ問題を解決する目的で、道路下の下水道管を太くするなど他の方法も考えられますが、最初に共有した将来像に照らし合わせて自然を生かす解決策をとったそうです。

参加者の方からは、ポートランドで地下鉄ではなく路面電車を採用した理由についての質問がありました。地下鉄にはたくさんの乗客を乗せられる一方コストが高く、街の規模から採算がとれるのは路面電車であることが大きな理由ですが、その他にも、路面電車の方が都市の風景を楽しむことができ、地下鉄よりも地上の商業を盛り上げることができるというメリットもあるようです。街の特性に合わせて適切な交通網・交通手段も変わってくるということで、日本で路面電車を導入している街にも話が広がりました。

村山さんからポートランドの都市計画のお話を聞いて、市民が街のことを好きで積極的に協力したくなるような都市計画をつくるには、きちんとぶつかって意見をだしあうことが大切なのだなと思い、普段なにげなく過ごしている街にはどんな将来像があったのだろうという新しい疑問が生まれました。

ポートランドの美しい写真や地図などの資料を基に、さまざまな具体例をから都市計画の立て方についてお話してくださった村山さん、会の終了後も熱心に質問、議論してくださった参加者の皆さまありがとうございました。

[アシスタント:加藤郁佳]

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