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小貫 元治

新領域創成科学研究科・特任准教授

科学技術とその使い方

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概要

環境と人間活動が調和し、かつ人間と人間が調和した「持続可能」な社会をつくっていくためには、我々は科学技術はどのように使っていけばいいのでしょうか。都市工学を修め、サステイナビリティ教育や環境リーダー育成プログラム開発にたずさわっておられる小貫元治さん(大学院新領域創成科学研究科)と共に考えます。

 2011年11月12日のUTalkは、サステイナビリティ教育や環境リーダー育成プログラムの開発に携わっておられる小貫元治さん (大学院新領域創成科学研究科・特任准教授)にお越しいただきました。そして、「科学技術とその使い方」をテーマに、不確定要素の高い科学技術をどういうふうに使っていけばよいのかという視点からお話いただきました。

 お話は、「サステイナビリティ」という馴染みがあるようでなかなかイメージのつきにくい言葉の定義についての説明からはじまりました。そもそも「サステイナビリティ(邦訳:持続可能性)」は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連地球サミットで用いられてから、広く知られるようになりました。はじめは、「持続可能な開発」と用いられたように、「開発」との関係性が強調されましたが、アメリカや日本のような先進国からの提案で、開発とは切り離されて考えられるようになりました。

 小貫さんが主に取り組んでいらっしゃるのは、「サステイナビリティ」をキーワードに、(主に工学系の)研究者や学生が分野横断的に技術の運用について研究・実践していく場のコーディネイトです。ヨーロッパやアジアなど様々な国の研究者や大学院生が参加し、フィールドワークやグループワーク、ディスカッションなど行い、サステイナビリティについて考えるワークショップなどを企画なさっています。議論は、「水」や「エネルギー」などの大きなテーマで行うこともあれば、訪問地の具体的な取り組みを掘り下げて考えることもあるそうです。タイの小学校に設置された下水処理施設やカンボジアの首都にある排水路、中国のダムなどで行ったフィールドワークの様子について、写真を提示しながらご紹介くださいました。

 サステイナビリティをふまえ、科学技術を社会の中で使っていくには、タコツボ化された学問では解決しきれないと感じ、科学技術の開発に携わる学生がこうした教育機会を得ることの必要性を深く感じておられるとのこと。また、多国籍な構成で、ある対象地域のフィールドワークを行うことにより、国家間の技術に対する需要の違いを知ることになり、それも重要だということでした。

 現代社会においては、わからなくても決断しなければならないことが大いにあり、そうした中で、その決断を専門家だけに委ねていいのか、社会の中で誰もが科学について考える土壌が必要ではないのか、という思いを持ちながら、プロジェクトに携わっておられます。

 質疑応答の際には、国境をまたぐこうしたワークショップの運営の支援元はどこであるかという運用面の話から、科学との科学技術の違いは何であるかといった根本的な話まで多岐にわたり、予定時間を超えて議論が白熱していました。小貫先生によれば、こうした取組みには、各大学だけでなく国際NGOや各国からの援助が必要になってくるとのことでした。サステイナビリティ学自体、まだまだ歴史としては浅いですが、その分、今後の可能性が大いにあると感じたお話でした。

 会が終わってからも小貫さんへの質問が続く白熱した時間になったことが印象的でした。ゲストの小貫さん、参加者の皆様、ありがとうございました。

[アシスタント:穴山宏司]

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