UTalk Report

沼 晃介

先端科学技術研究センター・特任研究員

コミュニティを編む情報システムづくり

概要

7月のUTalkでは、地域社会やオンラインでの人びとのつながりを編みなおすしくみづくりに関わり、ワークショップの企画やそこで使われるウェブ のシステム開発を通して研究をすすめている沼晃介さん(先端科学技術研究センター・特任研究員)。日常生活のなにげないひとこまが表現になるシステム、表現 が人と人をつなぐシステムなど、情報技術が社会で活用されるしくみづくりについて考えます。

 7月のUTalkでは東京大学 先端科学技術研究センター・特任研究員の沼晃介さんをゲストにお迎えし、「コミュニティを編む情報システムづくり」というテーマで、情報学の分野についてのお話をいただきました。

 「わたしは(A)するために(☆)を使っています。また、私は(☆)を(B)にも使っています。」
 今回のUTalkはフリップボートで示された、そんな問いかけからはじまりました。これは、メッセージリレーというもので、この質問をしりとりのよ うにつなげていくことで、今までつながりがなかった人につながりを生みだそうという仕掛けだそうです。参加者の皆さんはそれぞれこの質問に答えていきま す。例えば、「思い出の品物は指輪です。また、私は指輪を肌身離さず持っています。」と答えれば、次の人は「肌身離さず持っているものは、メガネです。ま た、私はそれをアイデンティティを表す象徴としても使っています。」と返すという具合です。この「メッセージリレー」がどんな意味を持つのかは、 UTalkの後半で明らかになっていきます。

 沼さんは、先端科学技術研究センターという、理系の方が非常に多い場所で研究をされていますが、元々は教育人間科学部という学部でマルチメディア系の研究をされていました。
 その中でも、人と人とがつながってものを変えていくネットワークというものについて最も関心を持ち、次第に、web系の研究へシフトしていったのだそうです。
 元々の関心はコミュニティという部分にあり、どうやって情報を集めるのか?やどうやって情報を検索するのか?といったことに関心があったそうです。 その中で、webの中だけで生じた情報のみを組み合わせるのではなく、実際のコミュニティを応用することでよい情報支援ができるのではないか?ということ を考えられたのだそうです。システムの中だけではなく、実際の人間の活動もみて、ワークショップを通じて人と人の関係を深め、編み直す事ができるのではな いか?そう思ったのだそうです。

 ここで、話はいよいよメッセージリレーとつながります。2001年、オーストリアのリンツで開かれたアルスエレクトロニカに沼さんたちの作品が展示 されたという話に移りました。このアルスエレクトロニカというのはメディアアートの世界的なイベントなのですが、メディアアートには関心のないリンツに住 んでいる人をつなげようというのが、沼さんの試みでした。「江戸時代の旅人の格好をして、いきなり話しかけていった。」こう話す、沼さんからは非常に楽し そうでした。このようにして一件一件、メッセージをつなぎ、情報を編みなおしていったのだそうです。
 その後、もうひとつのワークショップとして、「高校生にラジオのメディアリテラシーを教える」という企画について紹介していただきました。2008年に愛媛県で行われたワークショップで、内容は街の人の声を集めて、物語を作る。というものでした。これは、ラジオというのは電波が届く範囲に仮想的なコ ミュニティを作っているという沼さんたちの考えによるものでした。このワークショップでは、インタビューを取った時の位置情報が記録されていて、最終的 に、取材者は情報を取捨選択して物語を作っている。ということや、取材を行なおうとするとどうしても都市に偏りが生じることなどを学ぶことができるのだそうです。

 質疑応答では、コミュニティにつながりを作るということについて踏み込んだ質問が出たり、また、実際に現場でコミュニテイを運営されている方からの質問が出たりしました。
 そうしているうちにあっという間に時間は過ぎてしまいましたが、終わってからも参加者の方と沼さんの熱い議論は途切れることがありませんでした。コミュニティとワークショップについて考えるひと時でした。
 沼さん、参加者の皆様、ありがとうございました。

[アシスタント:平川裕也]

Report

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

Copyright (C) The University of Tokyo. All Rights Reserved.
The University Tokyo