UTalk / 歴史学と歴史小説のはざまで

本郷 和人

史料編纂所・准教授

第3回

歴史学と歴史小説のはざまで

豊臣秀吉と女たち

U-Talk Report

 4月12日のUTalkには東京大学史料編纂所・准教授の本郷和人さんにお越しいただきました。
 ゲストはコーヒーやアイスクリームを片手にテラス席に座り、本郷さんには「歴史学と歴史小説のはざまで―豊臣秀吉と女たち―」というタイトルで、「現場の人」としての秀吉について話していただきました。

 武家出身の織田信長、徳川家康と農民上がりの豊臣秀吉との違いは何か。そのヒントとして今回注目されたのが側室の女性の地位です。信長や家康の側室 が必ずしも武家出身ではないのに対し、秀吉の側室はほぼ全員位の高い武家出身の女性だったことから、本郷さんは女性を選ぶ自由を捨ててでも自分の位を高め ようとする秀吉の現場上がりの性格を見出されていました。

 質問コーナーでは、その見解に対する他の意見を述べる真剣なものから、歴史学の女性人気を上げるべく、本郷さんは最近少女マンガを読んで女性の感性を勉強していると聞いたなど、場が和むものまで出てきて、大変盛り上がっていました。貴重な巻物も持っていただき、みなさん興味津々でそれに触っている姿も印象的で した。
 
 歴史学というと研究室に閉じこもって一人で本を読むというのが一般的ですが、外でたくさんの人と交流しながらみんなで歴史について語り合うという今 回のスタイルは、歴史学に新たな風を吹き込んでくれるのではないかと感じています。お忙しい中お話しいただいた本郷さんはじめ、参加者の皆さん、本当にあり がとうございました。

[アシスタント:池尻良平]