さる7月3日、東京大学大学院情報学環において第1回 beat seminar が開催されました。大変ご好評をいただき、50名強の参加者で会場は満席となりました。
記念すべき第1回となる今回は、「地上デジタル放送の教育展開」というテーマにて、2003年12月1日にスタートした、地上デジタル放送の教育利用について、放送事業者、メーカー、学校現場、それぞれの立場から論じていただきました。
放送事業者(=コンテンツ制作者)の立場からは、NHK学校教育番組チーフプロデューサー菊江賢治氏が「地上デジタル放送と学校教育番組」というテーマでご講演いただきました。教室メディアの変遷をふまえ、次の地上デジタル放送として提案する活用形態は、”いつでもTV”を実現するサーバー型放送であり、この技術を活用することで、先生方は授業にいっそうさまざまなメディアとコンテンツを活用することができるようになります。
メーカーの立場からは、松下電器産業株式会社eネット事業本部 若林裕幸氏より「地上デジタル放送 メーカーの取り組み」というテーマにてご講演いただきました。主にデジタルテレビの技術的なトピックに焦点を当て、情報端末としてのテレビとパソコンの特性の違いを検証した上で、テレビならではの強みはどこにあるのかということを、デジタル放送を活用した蓄積型行政提供情報サービスの実証実験を通して明らかにされました。また、地上デジタル放送の携帯端末での受信についても、携帯電話事業者と放送事業者の取り組み状況について、ご説明いただきました。
最後に教育現場の声として、札幌市立平岸高台小学校 羽川希世志氏より「地上デジタル放送 学校現場の期待」と題してご講演いただきました。現在学校においてはメディアがどのように配置されているのかといった話から、現在の放送メディアを学校で活用する際の問題点を指摘されました。そうした問題点の解決策としてのサーバ型放送への期待と、またデジタル放送ならではの高画質・高音質コンテンツを利用した質の高い学習への期待を述べられました。また、今後実際運用に当たってさまざまな問題がまだ残っていることを指摘し、実際に活用する実例を示していくことの必要性を強調されました。
それぞれの講演が終了した後、参加者の間で白熱したディスカッションが行われ、それぞれの参加者にとって有意義な研究会とすることができました。
次回の開催は9月4日(土)が予定されています。皆様の参加をお待ちしております。