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Beating 第19号
「5分でわかる学習理論講座」
第8回:あなたの心をひきとめる。それは「アンカードインストラクション」。

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  東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」   
  メールマガジン「Beating」第19号     2005年12月27日発行    
                        現在登録者828名   
  「5分でわかる学習理論講座」第8回:
  あなたの心をひきとめる。それは「アンカードインストラクション」。 
           http://www.beatiii.jp/
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今年もBEATへの多大なるご支援をいただき、ならびにBeatingをご愛読いただ
きましてありがとうございました。BEAT関係者一同深くお礼申し上げます。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さてBEATの新年は、1/7の公開研究会で幕を開けます。
「使える英語を身につけたい!:
  語学学習を支援するデジタル教材のこれから」
というテーマで開催いたします。

「来年こそは、英語ペラペラになるんだもんね。」という目標を掲げている方、
ぜひご参加ください。もちろん既に英語ペラペラの方もお待ちしております。

では、Beating第19号のスタートです!

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┃★CONTENTS★
┃■1. 特集:2005年度Beating特集「5分でわかる学習理論講座」
┃  第8回:あなたの心をひきとめる。
┃       それは「アンカードインストラクション」。
┃
┃■2. 【お知らせ】公開研究会「BEAT Seminar」2005年度第10回:
┃                        1/7(土)開催!
┃
┃■3. 「BEAT研究 Who's Who」
┃       〜BEAT研究者の素顔と、オススメWebサイトのご紹介
┃
┃■4. 編集後記
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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■1. 特集:2005年度Beating特集「5分でわかる学習理論講座」
   第8回:あなたの心をひきとめる。
        それは「アンカードインストラクション」。
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今年度のBeatingでは、BEATの研究をより理解していただくために、背景と
なっているさまざまな学習に関する理論を、1年間でみなさんとともに学ぶ
ことを目的とした「5分でわかる学習理論講座」を開講しています。

1カ月にひとつずつすぐに応用可能な理論・方法を中心に、情報技術を用い
た学習環境に関する注目理論・キーワードについて解説していきます。
「なにそれ?ハツミミ?」という方も、「なんか聞いたことはあるけど…」
という方も、「すでに知ってるゾ!」という方も、それぞれにきっと新し
い発見があるはずです。

さて、本講座も今回で8回目。前半5回は理論の解説を中心に行ってきました。
今回は、前々回の「相互教授法」、前回の「ジグソーメソッド」に続き3つ
めの具体的な方法論です。

前半に解説した理論をしっかり踏まえた上で、具体的な方法論を見ていくと、
有用な方法論は理論の蓄積により導びかれていることがご理解いただけるん
じゃないかと思います。

本講座のバックナンバーは、以下から参照できます。
http://www.beatiii.jp/beating/
毎回の新しい記事を見ながら、少し気になるものがありましたら、随時バッ
クナンバーに戻ってみてください。そうすると、また違った見方で、理論と
接することができるかもしれません。

さて、今回は「アンカードインストラクション」を紹介します。どんな方法
論でしょうか。

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あなたの心をひきとめる。それは「アンカードインストラクション」。

今回もはじまりました。今回扱う用語は「アンカードインストラクション」
です。前回の「ジグソーメソッド」に引き続き、またカタカナ用語ですね。

前回は最初に「ジグソーパズル」を想像していただきましたが、今回は
「アンカー(anchor)」つまり錨(いかり)ですね。これを思い浮かべてくだ
さい。

この理論のイメージは、「学習した知識」と「それを学習した状況」を
「錨(いかり)でつないでおく」という感じです。アンカードインストラク
ションでは特に、「学習した状況」を「現実世界」に近づけることを目的と
します。これによって、「学習した知識」と「現実世界に近い状況」が結び
つき、知識を頭の中からひっぱりだしやすくするということを狙っています。

つまり、誤解を恐れずヒトコトで言うと、アンカードインストラクションと
は、学習の状況をより現実世界に近づけることで、学んだ知識をさまざまな
状況で使えるようにするということを目的とした方法論と言えます。

ここまで読んで、

「なぜ現実世界に近い状況で学ぶんだろう?」
「知識と状況が結びつくってどういうことだろう?」

などなど、いきなりさまざまな疑問がわいてきたと思いますが、順を追って
説明していきたいと思います。

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●学んだ知識が使えない

アンカードインストラクションは認知心理学者であるブランスフォードらに
よって考案されました。

これを考案したブランスフォードは、元々「不活性な知識」を「いかに活性
化させるか」という問題意識を持っていました。「不活性な知識」について
はBeating第16号「認知的徒弟制」の回で少し説明しましたが、「ある知識、
ある公式」を知識として知っているのだけれど、使うことができないという
状態を表しています。

みなさんもだれかになにか教える立場だとして、

「こういう公式を教えたんだから、これについても当然出来るだろう」

と思ったのに、教えた相手が全然出来なかったという体験はないでしょうか。
こういうときは、教える側としたら、

「さっき教えたんだから、これを使えばいいんだヨ!公式を知っているのに、
なんでこの問題で使えないんだ!」

と言いたくなるでしょうし、教えられた側としたら、

「あっ、これを使えばいいのネ。この公式自体は知っているんだけどなあ。」

と言いたくなるような状況であると思います。この状況を見てみると、おそ
らく学習者は「ある公式自体」については知識として知っていますが、実際
に問題を解くときに使えないという状態になっています。これを活性化され
ていない知識、つまり「不活性な知識」と呼ぶのです。

こういった不活性な知識を活性化した知識にするために、ブランスフォード
は、知識を学ぶときの状況に注目します。さきほどの例で言えば、「ある公
式」をどのような状況で学んだのかということです。

そこでブランスフォードはある実験を行いました。ここで出てくるのは、
「事実中心学習」と「問題中心学習」というものです。

この実験では、ある理科の教科書を子どもたちに読んでもらう際に、
「事実中心学習」をするグループには、
「出来るだけ多く教科書の内容を覚えてくれ」と言い、
「問題中心学習」をするグループには、
「自分がアマゾン川を下るときに何が必要かということを想像して読んでく
れ」と言いました。

そして、その2つの群の子どもたちに教科書に書かれていることを説明して
もらったのですが、このときに問題中心群、つまり、知識を使う場面を想像
して読んだ群のほうが教科書の内容を非常によく覚えていたのです。

ここでポイントとなるのは、「同じ教科書」つまり「同じ知識」を学習する
としても、それを「事実として学ぶ」より「知識を使う場面に結びつけたよ
うな形」で学んだ方が、知識をちゃんと使うことができたということです。

つまり、出来るだけ実際の問題解決に近いような文脈で学習をしたほうが、
その知識を柔軟に適用できるのではないかという結果が出たのです。

アンカードインストラクションは、こういった背景から登場してきます。
問題解決の状況(ここで言うと、アマゾン川を下る)が錨となることで、
学習者の意欲を刺激し、学んだ知識を活性化させるという方法論なのです。

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●ジャスパープロジェクト

ここでもう一度アンカードインストラクションについて振り返ると、ポイン
トとなるのは、「学習を、より現実の問題解決場面に近い状況ですることに
より、知識をさまざまな場面で使えるようになる」ということでした。

ということは「じゃあアンカードインストラクションを使おう」となった場
合、「より現実の問題解決場面に近い状況や文脈を作る」ということになり
ます。

こういった状況の中で作られた教材が「ジャスパープロジェクト」です。

ジャスパープロジェクトとは、ビデオ教材で、全体が12話の構成となってい
ます。このビデオは、主人公ジャスパーが日常生活で起こりそうな様々な問
題に直面するというストーリーになっています。こういった問題状況にある
ビデオを子どもたちが見て、そこで起こった問題を一緒に解決し、その中で
学習をするというのがこのプロジェクトのねらいです。

それでは具体的にひとつの話を見てみましょう。
今回扱う話の題名は「ブーン牧場でワシを救う」というものです。ここでは
「距離、速度、時間」というテーマを扱っています。

この回のビデオの内容をざっと説明すると、

主人公であるジャスパーとその友人たちが、銃で撃たれたワシを発見します。
そこで一刻も早くワシを獣医のもとにつれていきたいのですが、ワシがいる
場所は車ではいけません。そこで、主人公たちのもっている飛行体「ウルト
ラライト」というものを使ってワシを救出しようするのですが、そこで具体
的にどういった方略を使えば一番早くワシを獣医のもとに運べるかをジャス
パーたちは考えなければならないのです。

子どもたちはそのビデオを見た後に、グループごとで「ワシの救出計画」を
たてます。問題の中にはさまざまな情報すなわち条件が埋め込まれているた
め、子どもたちはさまざまな計画を立てなければなりません。

このように子どもたちはより現実的な問題解決の場面を通して、計算方法や
数学についての知識を獲得していくことになります。

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●ジャスパープロジェクトの効果

ジャスパープロジェクトでは、以下のような観点で、従来型のやり方で学習
した子どもと効果の比較を行っています。

・基礎概念の手続きの知識について
数学の基礎概念の手続き的知識である、時間の単位の計算、距離の出し方、
面積、体積などの項目についてテストを使って、比較を行なっています。
結果は、どちらの子どもたちも差がありませんでした。ジャスパープロジェ
クトを使った子どもたちは、単元ごとの学習はせず、全てストーリーの中か
ら学習したのですが、基礎概念の知識獲得について差は見られませんでした。

・文章題を解く力について
よくある文章問題を解いてもらい、正答率を比較しています。結果は、ジャ
スパープロジェクトを使用した子どもたちのほうが、どの問題についても高
い正答率を示しました。

このように、ジャスパープロジェクトでは、基本となる知識を従来型の学習
同様に獲得することができ、さらにその知識を、それを使う場面で適切に用
いることができる、ということが明らかにされているのです。

こういったこと以外にも、ジャスパープロジェクトを使った効果として、
「問題解決に向けて計画を立てる力」や「算数に対する態度」という点にお
いて、従来型の方法を用いたときよりも、よい結果がでています。

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●まとめ

今回はアンカードインストラクションについて説明してきました。アンカー
ドインストラクションとは、学習の状況をより現実の問題解決場面に近づけ
ることで、学習者の動機を喚起し、知識を現実的な場面で応用可能にするこ
とをめざした方法論です。

そして、この方法論をもとに作られた教材がジャスパープロジェクトです。
ジャスパープロジェクトでは、ストーリーに埋め込まれた様々な問題を解き
ながら、知識を学び、さらに自分の学びそのもののスキルを高めていきます。

知識を現実的な状況に結びつける学習活動を通して、子どもたちはさまざま
な場面で使える「活性化した知識」を獲得して、自分の学習スキルそのもの
を鍛えながら、自立した学習者へと成長していくのです。

ここまで読んでいただいた人の中で、

「それはさっそくアンカードインストラクションをつかって、教材を作り
たい」

と思われた方がいらっしゃるかもしれません。もしくは、

「とはいっても、具体的な文脈を作るなんてそう簡単じゃないんじゃないよ
なあ」

という方もいるかと思います。たしかにジャスパープロジェクト級の教材を
作るには時間もコストもかかるのではないかと思います。

しかし、アンカードインストラクションのポイントである、
「知識をどのように学ぶか」などの考え方は、教材や学習活動をデザインす
るうえでのキーとなり得ます。

大きな手間は要りません。また、算数や理科だけでなく、社会や国語、英語
でも同様です。みなさんも日常生活の中で、「この状況って学校で習うとこ
ろでいうと、あの内容と関係しそうだ」などということを折に触れて考えて
みてはいかがでしょうか。

こうした「日常生活」と「知識」のツナガリこそが「活性化する知識」を作
るタネとなるのです。

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●参考文献・URL

『人が学ぶということ—認知学習論からの視点』
今井むつみ・野島久雄(著) 北樹出版
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4893849042/

『授業が変わる—認知心理学と教育実践が手を結ぶとき』
ブルーアー(著)松田文子・森敏昭(訳) 北大路書房
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4762820881/

『授業を変える—認知心理学のさらなる挑戦』
米国学術研究推進会議(著)
森敏昭・秋田喜代美・21世紀の認知心理学を創る会(訳)
北大路書房
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4762822752/

『学習科学とテクノロジ』
三宅なほみ・白水始(著) 放送大学教育振興会
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4595236182/

(特集記事協力:
 松河秀哉/大阪大学大学教育実践センター教育交流部門 助手
 舘野泰一/青山学院大学文学部教育学科 4年)
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さて、次回は「ゴールベースドシナリオ」を取り上げます。
ゴール、ベースド、シナリオ、また何やらカタカナばかり並んでいます
が・・・。どんな方法論でしょうか?

お楽しみにどうぞ。

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ここで、この講座をよりよく理解するための、課題図書ともいうべき一冊
をご紹介しておきます。
———————————————————————————————————
『「未来の学び」をデザインする』
美馬のゆり・山内祐平(著) 東京大学出版会
http://www.utp.or.jp/shelf/200504/053078.html
———————————————————————————————————
特に、巻末の参考文献リストは、これからこの講座で紹介していくさまざ
まな学習理論の参考図書がよくまとまっています。

では、「5分でわかる学習理論講座」次号もどうぞお楽しみに!
ご感想・ご意見もお待ちしております。


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■2.【お知らせ】公開研究会「BEAT Seminar」第10回:
                      1/7(土)開催のご案内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2006年1月7日(土)、「BEAT」では、2005年度第10回目の公開研究会を
開催します!

「BEAT」の研究内容や、教育に関するIT技術利用に関する最新動向などを
テーマにした公開研究会です。開催情報は、今後も公式Webサイト、メール
マガジン「Beating」でご案内を差し上げます。

2005年度の公開研究会は、「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロ
ジー」と題し、古今東西のデジタル教材をレビューすることによって、みな
さまと一緒に教育を支える新しい人工物の姿を考えていきます。

この公開研究会でレビューした教材を中心に、来年次のような本の出版を予
定しています。
———————————————————————————————————
「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー」(仮称)
2006年春出版予定
ベネッセ先端教育技術学講座(編著)
———————————————————————————————————

第10回となる1月のBEAT公開研究会は、

「使える英語を身につけたい!:
  語学学習を支援するデジタル教材のこれから」

というテーマで開催します。

—————————【第9回 公開研究会 概要】————————————
●テーマ
  「使える英語を身につけたい!:
    語学学習を支援するデジタル教材のこれから」

●日時
  2006年1月7日(土曜日) 午後2時〜午後5時

●場所
  東京大学 本郷キャンパス 情報学環暫定ANNEX 2F教室
http://www.beatiii.jp/images/sem18-map.gif

  ※なお場所は変更になる場合がございます。
   いずれも本郷キャンパスです

●定員
  50名(お早めにお申し込みください)

●参加方法
  参加希望の方は、BEAT Webサイト
http://www.beatiii.jp/seminar/
  にて、ご登録をお願いいたします。

●参加費
  無料

●内容:
 ◇「使える英語を身につけたい!:
    語学学習を支援するデジタル教材のこれから」
  現在実際にユーザに提供されている先進的な語学学習教材を紹介し、
  語学学習を支援するシステム・教材開発についての理解を深め、
  今後の展望を探ります。

 ◇「『思わず話したくなる』ゲームで
   『使って通じる楽しさ』を育てる…『BE-GO』」
  子ども向け・在宅学習・音声認識CD-ROM教材
  ベネッセコーポレーション/BEATコーディネータ 中野 真依

 ◇「新旧メディアを連動させて、
   教室に楽しい英語活動を実現する…『えいごリアン』」
  初等教育向け・学校放送とWebの連動
  NHKエデュケーショナル 箕輪 貴氏

 ◇「徹底した集中訓練で、伸び悩みの壁を突破する…『ぎゅっとe』」
  高等教育・一般向け・短期特訓e-learning教材
  広島市立大学 青木 信之教授

 ◇ディスカッション

 ◇懇親会(公開研究会終了後)

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■3. 「BEAT研究 Who's Who」
   〜BEAT研究者の素顔と、オススメWebサイトのご紹介
  今回は・・・BEATアソシエイツ・
  特定非営利活動法人 ガリレオ工房 副理事長 古田豊先生
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このコーナーでは、みなさんにぜひ、個性あふれるBEATメンバーたちをよ
く知ってもらいたいと考え、BEATメンバーたちがそれぞれ自己紹介をして
いきます。

BEATメンバーって誰のこと?という方はコチラ:
BEAT Webサイトメンバーページ
http://www.beatiii.jp/members.html

さらに、自己紹介だけでは物足りないぞ、という欲張りなみなさんのために、
普段の研究・興味・関心をベースに、研究を行う際や資料を検索するときに
役立つサイト、または必ず毎日目を通すサイト、情報ネタとして利用してい
るサイトなど、オススメWebサイトを紹介していただきます。

第6回目となる今回は、BEATアソシエイツで、特定非営利活動法人 ガリレオ
工房 副理事長 古田豊先生に、自己紹介とオススメWebサイトをご紹介し
ていただきました。

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●自己紹介

初めまして。古田豊と申します。科学と科学教育の夢を形にする場として、
NPO法人ガリレオ工房で活動をしており、立教新座中学校・高等学校で理科
(物理)の教員をしています。

研究テーマは「理科実験を工夫するときの気づきの発展を促す環境とは?」
で、NPO法人としての科学活動をより啓発的にするための系の仕組みづくり
に関心があります。

1986年に「物理教育実践検討サークル」として高校物理教員が授業実践等
を紹介し、意見交換をし合う活動として始まったサークルが、「ガリレオ
工房」です。その後「NPO法人ガリレオ工房」と続き、2006年で20年間継
続した活動になります。「科学」と「学び」に関心を寄せ、気づきを大切
にしています。

BEATでは、「おやこ de サイエンス」プロジェクトのカリキュラムづくり
と、ワークショップを担当しています。どちらも中身のユニークさと新し
い認識の切り口、制作過程で参画者の気づきが繋がるためのツボを意識し
ながら、集う人の能力がうまく発揮されるような連携手法を紡いでいます。

カリキュラムづくりでは現職教員の経験が、ワークショップでは学生のプ
ロジェクト力がよく発揮される傾向があります。こうした創造の現場に参
画することで人から人へ伝えられ、呼応し合う発想や啓発が、実践のどの
ような系として発展可能かについて取り組んでいます。

自然観賞と観察と観照。特に山のある景観のもとでの散策。冒険と教育を
伴う科学技術、宇宙開発、脳科学プロジェクトへの教育現場からの参画。
サイエンス・レンジャー。どうぞよろしくお願いいたします。

------------------------------------------------------------
■「オススメWebサイト」の紹介
———————————————————————————————————
・独立行政法人 科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/

・科学の扉、日本IBM科学賞
http://www-06.ibm.com/jp/company/society/science/

・NASA
http://www.nasa.gov/home/

———————————————————————————————————
独立行政法人 科学技術振興機構のWebサイトでは、国が取り組む理科教育教
材、科学技術系の研究開発の進捗を調べることができます。

科学の扉、日本IBM科学賞のWebサイトでは、受賞した科学者の人間性と研究
成果を科学者本人の言葉で伝えており、啓発的です。

NASAのWebサイトでは、米国の宇宙航空に関する冒険と教育の取り組みの数々
に啓発を受けています。

------------------------------------------------------------
●次回の担当者をご紹介いただきました。

次回の担当は、大房潤一先生@映像ディレクター、多摩美術大学造形表現学
部非常勤講師です。

「おやこdeサイエンス」プロジェクトの制作を担当された大房先生は、制作
のマジシャンという印象です。ちょっとしたヒントをすばやくシナリオや画
像映像等にしていきます。いつも平常心に見える親しみのある風貌で、ユー
モアを感じさせます。構想力と個々の問題解決案と、その粘り強さに接する
と、奥深く幅広いご経験に裏打ちされていると感じさせられます。

------------------------------------------------------------
古田先生ありがとうございました。次回もどうぞお楽しみに!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4. 編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
Beating第19号はいかがでしたでしょうか。

2005年もあと残すところ数日。
今年はみなさんにとってどのような年だったでしょうか?楽しいこと、ツラ
イこと、きっとたくさんのドラマがあったはずです。

大晦日の歌番組などで、今年流行ったあの歌を聴きながら、いろんなことを
思い出すんでしょうか。あの歌が流れてたとき、そういえばこんなことが
あったなー、ってちょっと切なくなったり。

これも記憶と状況が結びついた例ですよね。すでにおなじみのように、
2005年度Beating特集企画「5分でわかる学習理論講座」では、「学習」が
その「状況」や「文脈」に依存するものであることに焦点をあてています。
今回の「アンカードインストラクション」も、「日常生活」と「知識」の
ツナガリが「活性化する知識」を作るきっかけとなる、というものでした。

2005年のBEATでも、みなさんと共にいろいろな活動をしてきました。そこで
得られたさまざまな「知識」が、その時の「状況」とともに思い出されます。

BEATのこれまでの活動はWebサイトにまとめておりますので、どうぞご覧いた
だき、「知識」と「状況」のツナガリを確認してみてください。
http://www.beatiii.jp/

そして来年、再来年、またその先のいつかに、2005年のBEATで扱ったこと
がみなさんのお役に立っているととってもうれしいです。

来年のBEATの活動、またBeatingもどうぞお楽しみに。
良いお年をお迎えください。


                        「Beating」編集担当
                             八重樫 文
                         kazaru@beatiii.jp


-------次回発行は1月第4週頃の予定です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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端教育技術学講座にて、「Beating」からのお知らせのためだけに使用いた
します。また、ご本人の同意なく、第三者に提供することはございません。

「Beating」はお申し込みをいただいた方々に配信しています。
無断転載をご遠慮いただいておりますので、転載を希望される場合はご連絡
ください。

□登録アドレスの変更、登録解除などはコチラ
http://www.beatiii.jp/beating/

□ご意見ご感想はコチラ
「Beating」編集担当
八重樫 文
(福山大学 人間文化学部 人間文化学科
 メディアコミュニケーションコース 専任講師)
kazaru@beatiii.jp

□「BEAT」公式Webサイト
http://www.beatiii.jp/

□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」

Copyright(c) 2005. Interfaculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo. All Rights Reserved.
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