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Beating 第9号
世界に広がるモバイルメディアの教育利用研究

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  東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
  メールマガジン「beating」第9号      2005年2月25日発行
                         現在登録者404名
       世界に広がるモバイルメディアの教育利用研究
           http://www.beatiii.jp/
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まだまだ寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

今号のbeatingでは、3月5日(土)に開催されるbeat seminar:国際シン
ポジウム「姿をあらわしはじめたラーニングテクノロジー」を特集いたしま
す。アメリカとイギリスの先進的な教育事例について実感できるよい機会で
すので、みなさんこのチャンスを逃さずに是非ともご参加ください。

では、beating第9号のスタートです!

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┃★CONTENTS★
┃■1. 特集:「beat seminar」第8回 連動企画
┃  「読めば1000倍楽しめる・
┃   国際シンポジウム『姿をあらわしはじめたラーニングテクノロジー』
┃   の見どころ先どり!」
┃
┃■2. 【お知らせ】公開研究会「beat seminar」第8回 3/5(土)開催!!
┃
┃■3. 「紹介したいこの人この1冊。 オススメお蔵出し!」
┃
┃■4. 編集後記
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■1. 特集:「beat seminar」第8回 連動企画
  「読めば1000倍楽しめる・
   国際シンポジウム『姿をあらわしはじめたラーニングテクノロジー』
   の見どころ先どり!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
来たる3月5日(土)に開催されるbeat seminar第8回の見どころを先取り
して紹介します。本特集を読んでからbeat seminarに足を運んでいただけ
ば、楽しみが100倍、いや1000倍(?)になることをお約束します!

——【物理の基礎を協調学習で教える:MIT TEALプロジェクトの挑戦】——

……………………………………………………………………………………………
□ 新しい物理教育の実践「MIT TEALプロジェクト」
……………………………………………………………………………………………
beatingでもすでにお馴染みの、独立行政法人メディア教育開発センター
助手/東京大学大学院情報学環BEAT客員助手(長い!)の中原淳先生に、
昨年MITに留学されていたご経験から、MITのリャオ博士のプロジェクトに
ついて見どころを伺いました。

シンポジウムでは、イギリスとアメリカから2人の教育研究者をお招きし
ます。そのひとりである、MIT(マサチューセッツ工科大学)のセンベン=
リャオ博士には、MITで行われている物理教育の話をしていただきます。

大学における物理教育と聞くと、大教室での一斉授業を思い浮かべる方も多
いかもしれません。実際に、数年前まで、MITの1年生が受講する初等物理
の必修授業は、数百名を対象にした一斉講義で行われていました。

しかし、数年前、この大教室講義を見直す動きが始まりました。
まずは、初等物理のクラスルームそのものを設計・建築し直しました。
それにかかった費用は、何と数億円を超えています。また、同時に、授業自
体を、学生同士が協同で実験を行いつつ学ぶ形式へと転換するため、新たな
教授法、ファカルティディベロップメント(教員の教育指導能力向上)の機
会をつくりました。

新しい物理の授業では、授業の冒頭10分程度、講師がその日にやることの
ブリーフィング(趣旨説明)を行います。その後、学生たちは、グループに
わかれて実験を行い、結果をまとめます。

それと同時に、あらかじめ準備されたシミュレーション教材を使って、実験
の結果を確認します。授業の要所では、レスポンスアナライザー(質問に対
する回答をその場で集計するシステム)が用いられます。講師の投げかけた
質問に対し、学生たちが答えていきます。

もちろん、こうした変革は、ひとりで達成されたわけではありません。
プロジェクトでは、物理の専門家のほか、教育研究者、評価の専門家など、
様々な専門家がコラボレーションしています。

リャオ博士は、このプロジェクトを推進・運営・研究するチームのひとりで
す。彼らは、新しい物理教室をStudio Physicsとよんでいます。
そして、このStudio physicsを実践、研究するプロジェクトを、
TEAL(Technology Enabled Active Learning)
と名付けています。

・TEALプロジェクト
http://evangelion.mit.edu/802TEAL3D/

……………………………………………………………………………………………
□ マイクロソフト社との産学連携共同研究として
……………………………………………………………………………………………
TEALプロジェクトは、マイクロソフト社とMITの共同研究プロジェクトであ
るiCampus Projectのひとつです。

・iCampus
http://icampus.mit.edu/

マイクロソフト社は、伝統的なクラスルームの授業を革新し、プロジェクト
学習に代表されるActiveで、よりInteractiveな学習のモデル、教授法、テ
クノロジー支援の可能性を模索するため、MIT内に設置されている教育工学
協議会に多額の寄付を行いました。

iCampusプロジェクトには、TEALプロジェクトの他に、「ゲームの教育利
用に関するプロジェクト」、「遠隔共同実験に関するプロジェクト」など、
数十のプロジェクトが含まれています。

3月5日、リャオ博士には、TEALプロジェクトの全貌、使っている学習テク
ノロジー、学習効果などについて詳細に語っていただくことになっています。
この講演は、新しい科学教育、大学教育、学習研究のカタチに興味がある方
におすすめしたい内容です。ふるってご参加ください。お楽しみに。

中原先生ありがとうございました。リャオ博士の詳細報告が楽しみですね!


——————【モバイルする学習環境:moovlとsavannah】———————

英国NESTA Futurelab研究員ベン=ウィリアムソン氏からは、子ども向
けのICTを活用した教育素材・実践の開発研究について、活動の報告をして
いただきます。

NESTA Futurelabの研究は、昨年9月、BEATメンバーが視察で訪れた際、
実際に触ってそのおもしろさを実感してきました。今回のbeat seminarで
は、先進的な技術と学習理論、デザインがうまく組み合わされた教材と実践
事例をみなさんにぜひご紹介したいと思います。

※NESTA Futurelabの報告含む欧州視察の報告はbeat seminar第3回
「ヨーロッパ・m-learningの現在」で詳細をご覧いただけます。
http://www.beatiii.jp/seminar/003.html

……………………………………………………………………………………………
□人々の学ぶ方法を進化させていくNESTA  Futurelab
……………………………………………………………………………………………
NESTA Futurelabは、イギリス政府が資金を投資し、モバイルデバイスな
どを利用した新しい学習環境の構築を行うために作られた組織です。

NESTA Futurelabには、世界トップクラスの科学教材制作力を持つと言われ
るBBC(イギリスの公共放送局)のノウハウやコンテンツが十分に生かされ
ています。

研究スタッフはフルタイム6名、BBCからの出向が2名の計8名で編成されて
おり、活動の目的には、その名の通り、「今のニーズに応えることよりも、
未来の学習を提案すること」と、積極的に学びの進化を提案する姿勢が打ち
出されています。

その活動は、カンファレンスの開催、新しい学習方法やテクノロジーの調査、
そして研究開発の3つを中心に展開されています。

ここまで、NESTA Futurelabの規模や目的、活動内容を見てきて何か気づ
きませんか? そう、私たちBEATの活動ととても親近感がありますよね。
NESTA Futurelabは、「人々の学ぶ方法を進化させていく」という、私た
ちBEATと共通の志をもった、とっても魅力的な組織です。

今回は、その活動の中から以下のふたつのプロジェクトを中心にご報告いた
だきます。

「moovl」
タブレットPCを用いた自然学習の実践事例。「moovl」は、お絵かきソフト
とシミュレーションの機能が合体したイメージ。物理法則をシミュレートで
きることが最大の特徴である。子どもは描いた絵に「重さ」「密度」などの
パラメーターを付与することができる。

「savannah」
PDAを使った実践事例。「savannah」は、子どもたちがPDAを持ち、ヘッド
フォンをつけ屋外(アフリカのサバンナをシミュレート)を歩き回り、ライオ
ンなどの動物にになりきりながら、適切な戦略を使って生存競争を繰り広げる
というもの。

・NESTA Futurelab
http://www.nestafuturelab.org/

イギリスの先進的な事例に触れられる絶好のチャンスをお見逃しなく!

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■2.【お知らせ】公開研究会「beat seminar」第8回 3/5(土)開催のご案内
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2005年3月5日(土)、「BEAT」では、第8回目の公開研究会を開催します!

「BEAT」の研究内容や、教育に関するIT技術利用に関する最新動向などをテ
ーマにした公開研究会です。開催情報は、公式Webサイト、もしくは、この
メールマガジン「beating」でご案内を差し上げます。

第8回目となる今回は、特集でご案内している通り、米国MITと英国NESTA
Futurelabから2名の研究者をお招きし、モバイルメディアの教育活用や、
デジタルメディアを活用した新たな学びのスタイルについて、参加者のみな
さんとともに考えます。

—————————【第8回 公開研究会 概要】——————————
●テーマ
  Emerging learning technology in education
  姿をあらわす新しい学習テクノロジー

●日時
  2005年3月5日(土曜日) 午後2時〜午後5時

●場所
  東京大学 本郷キャンパス 弥生講堂 一条ホール
http://www.beatiii.jp/seminar/map.html

●定員
  300名

●参加費
  無料

●講演(逐語通訳が入ります)
 ◇1:「モバイルする学習環境:moovlとsavannah」
    ベン=ウィリアムソン氏 NESTA Futurelab研究員
 ◇2:「物理の基礎を協調学習で教える:MIT TEAL プロジェクトの挑戦」 
    センベン=リャオ博士 マサチューセッツ工科大学
 ◇参加者と質疑応答
 なお、終了後には懇親会がございます(参加希望者)(18:00〜)

●参加方法
  参加希望の方は、BEAT Webサイト
http://www.beatiii.jp/seminar/
  にて、ご登録をお願いいたします。


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■3. 紹介したいこの人この1冊。 オススメお蔵出し!
  今回は・・・大東文化大学 文学部 教育学科 助教授/
        NPO学習環境デザイン工房代表 苅宿俊文先生
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広く教育やメディアの研究に携わる研究者から、「オススメ本」を、お友達
紹介形式でお伝えする「紹介したいこの人この1冊。オススメお蔵出し!」
のコーナーです。

第7回目となる今回は、苅宿俊文先生に「オススメ」本をご紹介して頂きま
した。

・NPO学習環境デザイン工房Webページ
http://www.heu-le.net/

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1)『学びを問いつづけて』
佐伯胖(著)
小学館
私がメディア教育はもちろん教育ということを考えるときに、何回も読み返
しているのが佐伯胖さんの「学びを問いつづけて」です。読めば、講演の絶
妙な語り口がよみがえります。(苅宿)

【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4098373599/

2)『構成主義パラダイムと学習環境デザイン』
久保田賢一(著)
関西大学出版部
次は、久保田賢一さんの「構成主義パラダイムと学習環境デザイン」です。
メディア教育と密接な関係にある構成主義や学習環境デザインを平易にまと
めてあり、入門的な本としてお勧めです。(苅宿)

【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873543088/

3)『なつかしの小学校図鑑』
奥成達(著)
いそっぷ社 
最後は、「なつかしの小学校図鑑」で、昭和30年前後の学校の風景を丁寧な
挿絵で紹介してあるノスタルジー本ですが、これをメディア教育という視点
で見るととても愉快です。(苅宿)

【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4900963097/

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次号は国立民族学博物館外来研究員 佐藤優香さんの登場です。

苅宿先生から佐藤さんへの紹介メッセージです。

佐藤優香さんは、メディア教育に自分のしっかりした視座を持った若手研究
者です。彼女の仕事はいつも丁寧で、国立民族学博物館で学校教育用の異文
化理解教育キット「みんぱっく」を開発されたり、ユニークで心の残るワー
クショップをさまざまな場面で企画、実践されたりしています。
また、これらのワークショップをまとめられた論文が日本博物館協会棚橋賞
を受賞しています。現在は、国立民族学博物館だけではなく、大阪大学、多
摩美術大学で研究に従事され、神戸大学では教鞭をとられています。
では、優香さん。いつもの調子で楽しく本の紹介をお願いします。


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■4. 編集後記
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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
「beating」第9号はいかがでしたでしょうか。

先日、京都を訪れたときに、ある寺院の庭園でふきのとうを見つけました。
ふきのとうといえば、春の息吹を感じる代名詞。まだまだ寒い日が続いてい
ますが、確実に新しい季節がそこまできているのですね。

BEATもおかげさまでもうすぐ1周年を迎えます。
これから本格的な春が訪れ、木々や花たちの色彩が溢れるように、BEATも
これからますます花開いて展開していきますので、どうぞご期待ください。

                        「beating」編集担当
                              八重樫 文
                         kazaru@beatiii.jp

-------次回発行は3月第4週頃の予定です。
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「beating」編集担当
八重樫 文(東京大学大学院 学際情報学府 山内祐平研究室 修士課程)
kazaru@beatiii.jp

□「BEAT」公式Webサイト
http://www.beatiii.jp/

□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」

Copyright(c) 2005. Interfaculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo. All Rights Reserved.
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