Beating 第6号
「モバイルする科学教育プロジェクトの胎動」
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東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
メールマガジン「beating」 第6号 2004年11月30日発行
現在登録者306名
「モバイルする科学教育プロジェクトの胎動」
http://www.beatiii.jp/
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早いもので今年もあと一月を残すところとなりました。いかがお過ごしでし
ょうか。
さて7月から配信して参りましたbeatingも登録者が"300名"を突破しました
!!みなさまご愛読ありがとうございます。
今月のbeatingは、いよいよ公開となる「科学の学びを支援する携帯メディ
ア教材」プロジェクト「Project Fish(フィッシュ)」についての特集です。
12月11日(土)開催の公開研究会では、プロジェクトに連動したワークショ
ップも催されます!ワークショップを通じて、アナタも未来の科学教育とモ
バイルメディアについて一緒に考えてみませんか?
速報!「Project Fish」 !!beating第6号の始まりです。
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┃★CONTENTS★
┃
┃■1.特集:独立行政法人メディア教育開発センター・東京大学情報学環客
┃ 員助手 中原淳氏インタビュー
┃「モバイルする科学教育プロジェクトの胎動」
┃
┃■2.お知らせ:「beat seminar」第5回 12/11(土)開催!!
┃
┃■3.「紹介したいこの人この1冊。 オススメお蔵出し!」
┃
┃■4.編集後記
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■1.特集:独立行政法人メディア教育開発センター助手
中原淳氏(東京大学大学院 情報学環 BEAT講座 客員助手) インタビュー
「モバイルする科学教育プロジェクトの胎動」
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2004年4月に始まった、東京大学情報学環とベネッセコーポレーションによ
る協同プロジェクト「BEAT」。これまでbeat seminarやこのbeatingを通じ
て、様々な視点から携帯メディアの教育利用をみなさんと考えてきました。
モバイルメディアの教育利用の可能性、社会の状況、海外の研究動向、そし
て学習環境を開発するためのデザイン原則など。
このbeating第6号と来月開催のbeat seminarでは、いよいよBEAT発のプロジ
ェクトを通じて、「モバイルメディアを利用してどのような学びを創りだし
ていくか」について議論していきたいと思います。
BEATの掲げる3つのプロジェクトの1つ「科学の学びを支援する携帯メディア
教材」プロジェクトを担当される、独立行政法人メディア教育開発センター
助手・東京大学情報学環客員助手の中原淳先生に、システム開発研究とモバ
イルメディア、そしてプロジェクトの展開についてお話を伺いました。
■中原 淳(なかはら じゅん)
独立行政法人メディア教育開発センター助手・東京大学情報学環客員助手(兼任)。
情報メディアを活用した学習環境を研究開発している。主著として「eラー
ニング・マネジメント」(オーム社)、「社会人大学院へ行こう」(NHK出
版)、「ここからはじまる人材育成 - ワークプレイスラーニング入門」
(中央経済社)など。2004年、フルブライト奨学金により渡米、米国マサチ
ューセッツ工科大学客員研究員。大阪大学博士(人間科学)。公式ホームペ
ージNAKAHARA-LAB.NETは累計16万ヒットを超える。
NAKAHARA-LAB.NETはコチラ
http://www.nakahara-lab.net/
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□1.動きの中で創りだす! 新しい学びのカタチを求めて
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教育工学や学習科学の観点から、今まで教育や学習の研究対象だと思われ
てこなかったフィールドに、ネットワークテクノロジーを導入し、人間が快
く学べる場所を創りだすことを目的に研究をされてきた訳ですが、これまで
どのような教育システムを研究・開発されてきたのでしょうか?
学部の頃は教育学の理論を研究したり、フィールドワークで調査研究をして
いました。大学院への進学を契機に、今日までずっと開発研究を行っていま
す。開発研究というのは、教育に役立つシステムやソフトウェアなどを開発
して、実際に使ってもらい、その効果を検証する研究スタイルです。当時は
コンピュータを使った協調学習の研究が盛んになり始めた時期でした。僕の
研究はみんな共同研究なんですが、仕様書から書き起こして、みんなで分担
してコードを書いて、評価をする、といったようなプロジェクト研究をずっ
としていました。NIME(独立行政法人メディア教育開発センター)に着任し
てからは、高等教育を支援するためのシステム開発を行っています。
これまで行ってきたプロジェクトには、どのようなものがありますか?
数々のプロジェクトに関与してきましたが、ここでは代表的なものをご紹介
します。
・Project Teacher Episode Tank
インターネットを用いた教員研修の場の創造の研究。
教師が自分の教え方をみんなで振り返る研修の場を開発した。
http://www.nakahara-lab.net/teacher.html
・BASQUIAT Project
チャットによる知識構築支援のソフトウェア。学習者に、「司会者」、「発
表者」、「書記」、「つっこみ役」、「ボケ役」といった役割を与えること
で、チャットでの議論進行を円滑にしつつ、知識の共有と創造を目指した。
http://www.nakahara-lab.net/basquiat.html
・Project XEON - CSCL Design 2001
複数の学習者が、コミュニケーションを行い、相互に学ぶことのできるゲー
ム型のオンライン学習環境。学習者は、世界をまたにかけるバイヤーになっ
て、共同でひとつの会社を経営、ゲームを通じて経済と国際関係の知識を学
ぶ。協力しないとゲームに勝てない仕組みになっているのもポイント。
http://www.nakahara-lab.net/slate/slatemain.html
・Project eX
現在、東京大学大学院学際情報学府で稼働中の東大初のeラーニングサイトi
ii online(※註1)の開発を行った。大学院の講義を配信する高等教育での
eラーニングサイト。ソースコードを無償提供し、eラーニングのノウハウを
公開したオープンソース化プロジェクトexCampus(※註2)に統合・継承さ
れた。
http://www.nakahara-lab.net/ex/exmain.html
【註1】iii online(アイ アイ アイオンライン)はコチラ
http://iiionline.iii.u-tokyo.ac.jp/index.php
【註2】exCampus(エックスキャンパス)はコチラ
http://www.excampus.org/
他にも多数のプロジェクトを展開しています。詳しくはコチラをご覧下さい。
http://www.nakahara-lab.net/research.html
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□2.先駆け「iTree」とモバイルメディアの可能性
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既に、このbeatingでも東大の山内先生、静岡大学の堀田先生が触れられ、
ご自身も先月のbeat seminarで紹介されていますが、携帯電話の教育利用を
考えるプロジェクト「iTree」は、2002年つまり2年前のプロジェクトです。
随分、早い時期に開発されましたね。
iTreeの詳細はコチラ
http://www.nakahara-lab.net/ex/inhand/inhand.htm
そうですね。でも、僕が大阪大学の博士課程に在学していた2001年頃からモ
バイルのプロジェクトを、実は、何度もやろうとしていたんです。けれども、
その頃は開発環境がそれ程無かったんですね。現在ほどポケットPCのプログ
ラムを書く環境などが整っておらず、なかなか着手できなかった。思い描い
ていたのは携帯電話ではなくPDAを用いたもので、ワークショップを支援す
る学習環境を作ろうと思っていました。
「iTree」にはその前身となるプロジェクトがあるんです。Project Sphere
というプロジェクトで山内先生と共同開発をしたもので「mellow(メロウ
):Mell Online Workshop」システムといいます。僕らは電子掲示板やメー
リングリストを使いますよね。その書き込み件数というのは、時にもの凄く
多くなったり、少なくなったりするんですよ。まるで生き物みたいなんです。
その移り変わりの様子を利用者に見せたら、議論を盛り上げる要因になるの
ではないか、というアイデアです。
電子掲示板での議論の件数を「細胞の成長と増殖」に見立てWebで学習者に
提示するシステムでした。議論が活発になると細胞が動いたり、飛び跳ね
たり。活発でないと沈んでしまったり、もう一度議論をしたい場合には細胞
が再生するといった具合です。
Project Sphereの詳細はコチラ
http://www.nakahara-lab.net/sphere.html
これは面白かったんですけれども課題も残りました。それはWebによる支援
が辛いということ。Webって、提示情報を出しても、見に来ない人は見に来
ないんですね。学習者がパソコンを立ち上げて、Webサイトに来て、コチラ
の提示した情報を見てくれる保証は無いんですね。だから、次のバージョン
では携帯電話を使って作ろうと思ってたんです。そこでiTreeが出てきたわ
けです。
やはり、携帯電話には凄いメリットがある訳ですよ。ひとつは「肌身離さ
ず持っていること」。そして、待ち受け画面は、「それ程気にならないなが
らも、必ず見てしまう」という特徴を持っている。だから、待ち受け画面を
使うことは考えていました。けれど、何を表示するかで悩みました。mellow
システムの「細胞」という表現はそれ程キャッチーではない。キャラクター
を使う案も考えました。そんな時思いついたのが、「育てゲー」つまり「育
成シミュレーションゲーム」です。「たまごっち」とかアクアリウムを模し
ゲームがありましたよね。こういうのを見ていると、「育てる」というメ
ンタリティーは、日本人にも受け入れられやすいんじゃないかと思ったんで
す。このヒントを得るためにゲームショウにも足を運びました。
実証実験の結果は凄く良好で、自分の携帯電話の中に「自分の木」を持って
歩く。自分が電子掲示板に熱心に書き込みをすればする程、そのメタファー
である「木」が成長する。自分が注目されればされる程木が成長する。この
2つの仕組みですね。それ提示することで、発言数も2倍に、アクセスログ
も2倍という結果が出ました。インタラクションが活発になった。自分が開
発したものの中で一番エンドユーザーに受け入れてもらったという実感があ
ります。
10月までMITにフルブライト奨学生として渡米されていたわけですが、ア
メリカの動向と比して、教育利用における携帯電話のこれからの可能性につ
いてはどのようにお考えですか?
ひとつ確実に言えることは、こと携帯電話に関する限り、日本にはアメリカ
などと比べても、一日の長があると思います。ただ、PDAについては、その
利用のヴィジョンというか、考え方はアメリカの方が進んでいると思います
ね。MITに「Participatory Simulation」というものがあります。例えばPDA
を持った人が自分が細胞になりきることで細胞分裂の仕組みを理解するとい
うものですが、こういうPDAの活用方法に関しては圧倒的にアメリカが進ん
でいます。ただ、携帯電話については、恐ろしいほど日本が進んでいると感
じます。これまでPCやインターネットの分野などで、もの凄く日本はアメリ
カに遅れてしまった。だから、こんなチャンスは無いと思っています。
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□3.いよいよお目見え!「Project Fish(フィッシュ)」
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BEATで展開される3つのプロジェクトのうち、中原さんが担当される「科
学の学びを支援する携帯メディア教材」は、具体的にどのように展開されて
いくのでしょうか。
このプロジェクトは「Fish(フィッシュ):Fostering Inquiry based Scien
ce learning with Handheld devices」と言います。探求型の科学の学びを
ハンドヘルドデバイスで支援する、というものです。
このプロジェクトには、新進気鋭の若手研究者の方々が参加されています
よね。
そうですね。科学教育の内容については、宮崎大学助教授の山口悦司先生、
システム開発には、独立行政法人メディア教育開発センター助手の西森年寿
先生、教育評価については神戸大学助手の望月俊男先生が担当します。僕は
システム開発とプロジェクトマネジメントを担当します。構成メンバーはこ
の4名です。みなさん、お忙しいのに無理を言って集まって頂いているので、
僕は相当に気合いを入れています(笑)
具体的にはどのような展開をしているのでしょうか?
今年の4月からメンバー間で文献講読をして、先行研究のリサーチを網羅的
に行いました。毎月1回は研究会をしています。これからコンセプトメイキ
ングの段階に入ります。科学教育で、ハンドヘルドデバイスで、何をすれば
研究としても、実践としてもオモシロイものができるかを探るわけです。合
宿も何回か行います。来年の4月からシステムの開発を行い、再来年の4月
から実践開始予定です。今まで、色々なプロジェクトをやってきましたが、
特にこの「Fish」は、コンセプトメイキングに1年以上をかけ、じっくり腰
を据えて取り組んでいます。
今、携帯電話の機能の持つ可能性は、大分解ってきています。例えば、GPS
と組み合わせられます、といった「〜ができます」という部分ですね。とこ
ろが、「何をするか」の有望なあり方がまだ見えていない。アメリカの場合
は、PDAでは、その「何をするか」の部分が見えていると思う。日本では携
帯電話に関しては、徳島大学の緒方先生が先進的な取り組みをされています
が、まだまだ面白いことをやれると思います。僕はPCの代わりに携帯電話を
使うのではなくて、あくまで携帯電話ならではのことを探したいですね。
また、この「Fish」というプロジェクトでは、パッケージ型のコンテンツ開
発に挑戦したいんです。昔、感動した教材に「ミミ号の冒険」や「ジャスパ
ー・プロジェクト」(※註3)というものがあります。
これらのプロジェクトの特徴は、コンテンツ開発をして、更にコンピュータ
の様々なソフトウェアを絡ませながら、授業の中で使って科学の学習を支援
する総合的なパッケージであることにあります。プロジェクト教材を作るの
は昔からの夢ですし、このプロジェクトでもこれらに負けないものを目指し
ていきたいですね。
これまでに取り組まれてきた数々のプロジェクト、そして今回の「Projec
t Fish」。学びに関わる「モノ作り」を行う上で、中原さんが心がけている
ことはどんなことでしょうか。
やっぱり僕は思うんですけれども、モノを作りたいと思ったら、教育学のこ
とだけを見ていてもしょうがない。他の世の中で作られているモノ、ゲーム
とか一見教育とは全然関係ないと思われるようなもの、エンターテイメント
などを見に行くとアイデアが「ひっつく」ことがある。よく「理論を下敷き
にしてモノをつくるべきだ」といいますね。あれは、一面ではホントウです
が、一面ではウソです。そのことは、あなた自身が開発研究をやってみれば
よくわかる。モノをつくるには、理論も必要ですが、ヒラメキ(仮説演繹)
がどうしても必要なのです。そしてヒラメキは、僕らのアタマの上について
いる「アンテナ」の感度のよさに由来します。モノを構成する形状やユー
ザ・インターフェースを決めるのは、理論だけではなく、その人の持ってい
る経験やその人がどれだけ世界に対してアンテナを張っているかが大きいと
思うんです。もし自分が、人に受け入れられなツマラナイものしか創り出せ
ないなら、それは自分がツマラナイものにしかアンテナを張れていないとい
うことなのだと思います。自戒をこめて言いますが(笑)
【註3】「ミミ号の冒険」と「ジャスパー・プロジェクト」
「ミミ号の冒険」は、米国バンクストリート大学によって開発され、1980年
代後半に全米で活用されたマルチメディア教材。ビデオや情報テクノロジー
を用いて、生徒に実生活の問題に取り組ませた初期の試みのひとつである。
このプログラムでは、生徒は航海に旅立ち、鯨やユカタン半島のマヤ文明に
ついて学びながら、様々な問題を解いていく。
「ジャスパー・ウッドベリーの問題解決シリーズ」、通称「ジャスパー・プ
ロジェクト」は、米国のバンダービルト大学によって1990年代前半に開発さ
れたマルチメディア教材である。全12巻のビデオ教材で、生徒とビデオの登
場人物との相互作用が可能であり、主人公ジャスパーの冒険物語の中には、
生徒が数学の重要な概念を理解したり、それを応用しなければならない様々
な課題が組み込まれている。なお、このシリーズに取り組んだ生徒は、数学
の問題解決やコミュニケーション能力および数学の学習態度が向上したとい
う報告が多く成されている。
※参考文献
米国学術研究推進会議(編著)森敏昭 秋田喜代美(監訳)(2002)「授業を
変える−認知心理学のさらなる挑戦」北大路書房
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□4.来月開催!beat seminar「モバイルする!?科学教育」のお得ポイント
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来月、12月11日(土)の第5回beat seminarは、その「Project Fish」の
メンバーによる「モバイルする!?科学教育」ですね。その醍醐味をこっそり
教えてください。
今度のbeat seminarは構成を3つに分けました。コンピュータによる科学教
育の先行事例の紹介、モバイル情報端末と科学教育の紹介、そして、これら
の発表を踏まえて、参加者の皆さんとワークショップを行います。題して、
「クリエイティヴ=コモンズ・ワークショップ」。みんなでシナリオを描い
てみたいんです。「次世代の科学教育、モバイルを使った科学教育にはこん
なことがありうるんじゃないか」、「モバイル端末をこんなところで使った
ら、子どもはこんな科学的な知識を身につけられるんじゃないか」とね。そ
ういった未来像をみんなで考えようという試みです。
お得ポイントは2点あって、まず、先行研究、先行事例について網羅できる
こと。これは僕らが4月から行ってきたリサーチの結果です。もう一つは、
ワークショップで、科学教育に興味がある人々と議論ができるということで
す。30名限定なので、本当に僕らも参加者も真剣に考えるというスタイルで
す。誰も、未来に対する解を持っているわけではないので、みんなで考える
しかないですよね。そういう意味では、貴重な機会だし、なかなか無い機会
です。だから、どうかお早めにご登録をお願い致します(笑)
いよいよBEAT発のプロジェクトが御目見得するのだと感じました。
beat seminarで、モバイルと科学教育の素敵な未来予想図が描けると良いで
すね。ありがとうございました。
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★2.【お知らせ】公開研究会「beat seminar」第5回12/11(土)開催のご案内
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来たる12/11(土)、「BEAT」では、第5回目の公開研究会を開催いたしま
す!
「BEAT」の研究内容や、教育に関するIT技術利用に関する最新動向などをテ
ーマにした公開研究会です。開催情報は、公式Webサイト、もしくは、この
メールマガジン「beating」でご案内を差し上げます。
第5回目となる今回のテーマは、「モバイルする!?科学教育」です。
———————————【公開研究会 概要】—————————————
●テーマ
「モバイルする!?科学教育」
●日時
2004年12月11日(土曜日) 午後2時〜午後5時
●場所
東京大学
〒113-0033
東京都 文京区 本郷 7-3-1
東京大学 大学院 情報学環 暫定建物
2階教室
◇地図
http://beatiii.jp/contact.html#map
◇東京大学への最寄り駅
東京メトロ 丸ノ内線 本郷三丁目駅(徒歩5分)
都営大江戸線 本郷三丁目駅(徒歩5分)
●内容
日本は科学と技術によって発展してきた国です。
今回の公開研究会では、コンピュータやモバイル技術を用いた科学教育の歴
史と現在について紹介致します。
モバイル技術を利用した教育を考える上で一番難しいのは、その利用シーン
を思い浮かべることです。研究会の最後には、「モバイル技術を使って、ど
のような科学教育/コンテンツを実現することができるのか」を、参加者全
員で考えるワークショップがあります。ここでの成果は、クリエィティヴ=
コモンズとして全員で共有します。
●定員
30名(ワークショップを含むため)
●参加費
無料
●講演
1.レクチャー
○プロローグ(中原)(14:00-14:15)
・趣旨説明
・メンバー紹介
・プロジェクト紹介
○モバイル前夜:コンピュータと科学教育1(西森氏)
(14:15-14:35)
・シミュレータとしてのコンピュータ
・データ収集としての
・マルチメディアコンテンツ
・質疑応答(10分)
○モバイル前夜:コンピュータと科学教育2(山口氏)
(14:45-15:05)
・カリフォルニアバークリー校のWISEなど、
カリキュラムに位置づけられたコンピュータの役割。
・協調学習について。
・質疑応答(10分)
○モバイルと科学教育(15:20-15:50)(望月氏)
・なぜ今モバイルなのか?
・HI-CE、Code it!など
・Participatory Simulationの実際
・今使えそうなモバイル技術
・質疑応答(10分)
○休憩(16:00-16:15)
2.クリエィティヴ=コモンズ・ワークショップ(中原)
(16:15-16:45)
・「想像してごらん」
・「もしあなたなら、今のモバイル技術を使って、
どのような科学教育/コンテンツをつくりますか?」
・発表(15分)
3.質疑応答(17:00-17:15)
●参加方法
セミナに参加希望の方は、BEAT Webサイト
http://www.beatiii.jp/seminar/index.html
にて、ご登録お願いいたします。
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★3.紹介したいこの人この1冊。 オススメお蔵出し!
今回は・・・関西大学総合情報学部教授 黒上晴夫先生
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広く教育やメディアの研究に携わる研究者から、「オススメ本」を、お友達
紹介形式でお伝えする「紹介したいこの人この1冊。オススメお蔵出し!」
のコーナーです。
第5回目となる今回は、黒上晴夫先生に「オススメ」本をご紹介して頂きま
した。
黒上晴夫先生ホームページ
http://ks-lab.net/haruo/
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1)『ケータイ学入門—メディア・コミュニケーションから読み解く現代社会
』
岡田朋之・松田美佐(編)
有斐閣選書
電車の中。人の通話はとても気になる。自分がかけたいときには,ルールが
疎ましく感じる。だけど,運転中にかかってきたら,相手を少し恨みたくな
る。我に返ったらおかしく思いません?法律まで作って使い方を規制するま
でしなくてもって思うけど,社会はこんなちっぽけなメディアでもっといろ
いろふりまわされている気配。ケータイに支配される「人間たち」について,
いろいろ知りたい人にお勧めです(黒上)
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2)『場のマネジメント−経営の新パラダイム』
伊丹敬之(著)
NTT出版
子どもがしっかり学習するように環境をデザインするという「学習環境デザ
イン」ということを考えていたときに,浜松町の書店で目に飛び込んできた
のが「場のマネジメント」。それは従来の上下関係の経営術とは異なる「場
の生成者」「流れをみながらかじを取る」「ヒトの間の『空間』の設計」…
深遠なる語句が点在しています。これって,今の教師に求められていること
そのものだと思いません?(黒上)
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3)『学校の社会力』
門脇厚司(著)
朝日新聞社
授業中。一度も集中しない。ずっと机に突っ伏している。一人化粧に耽る。
そんな子どもたちはなぜ学校に通うのか。なぜそうなったのか。なるべくそ
っとしておいて卒業させるのが正しい教育か。今とるべき道は,本当の育ち
を保証することなんじゃないの?という疑問に,「社会力」というキーワー
ドは答えてくれます。総合的な学習の真の意味を理解しなおして,もう一度
向き合う力を与えてくれるように思います。メディア教育もこんなところか
ら見直してみてはいかが?(黒上)
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次号は同志社女子大学現代社会学部現代こども学科 上田信行先生の登場で
す。
黒上先生から上田先生への紹介メッセージです。
課題,ツール,共同作業の場,批判的賞味の場のデザインがワークショップ
のポイントになると,学会発表で話しておられた上田先生と,10月に教育メ
ディア学会でワークショップを企画しました。学会員全員で3時間かけて教
育と番組の関わりを見る視点を探るという前代未聞の試みでしたが,これら
の意味がとてもよくわかり,授業設計にも通じることだと痛感しました。構
想を語る時の熱意は誰にもまねできません,保証します。いつも気になって
いるアーティストです。
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■4.編集後記
今回も最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
「beating」第6号はいかがでしたでしょうか。
今回、インタビューをさせて頂きながら「モノづくり」を通じて新たな学び
を模索してきた中原先生の情熱を感じました。
BEATのプロジェクトからは、果たしてどんなモノが生み出されてくるのでし
ょうか。beat seminarには毎回、様々な属性の人々がやってこられます。普
段は違う場所で働き、違う場所からアンテナを張っている人々。そうした人
々が出会い結びつく場所でもあるわけです。
そんなbeat seminar第5回では、いよいよ皆さんとより深くディスカッショ
ンをする機会が設けられます。是非、皆さんも足を運んで「モノづくり」の
場に携わってみては如何でしょうか。
「beating」編集担当
酒井俊典
shun@beatiii.jp
-------次回発行は12月第3週頃の予定です。
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ご登録先は、ベネッセ先端教育技術学講座になります。登録にあたって、お
知らせいただいたお名前・メールアドレスなどの個人情報は、ベネッセ先端
教育技術学講座にて、「beating」からのお知らせのためだけに使用いたし
ます。また、ご本人の同意なく、第三者に提供することはございません。
「beating」はお申し込みをいただいた方々に配信しています。
無断転載をご遠慮いただいておりますので、転載を希望される
場合はご連絡ください。
□登録アドレスの変更、登録解除などはコチラ
http://www.beatiii.jp/beating/index.html
□ご意見ご感想はコチラ
「beating」編集担当
酒井俊典(東京大学大学院 学際情報学府 山内祐平研究室 博士課程1年)
shun@beatiii.jp
□「BEAT」公式Webサイト
http://www.beatiii.jp/
□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
Copyright(c) 2004.Interfuculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo.All Rights Reserved.
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