Beating 第3号
「モバイルメディアの“新しい教育利用”とその“つきあい方”」
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東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
メールマガジン「beating」 第3号 2004年8月27日発行
現在登録者138名
「モバイルメディアの“新しい教育利用”とその“つきあい方”」
http://www.beatiii.jp
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アテネ・オリンピック観戦で寝不足の日々をお過ごしの方も多いかと存じま
すがいかがお過ごしでしょうか?
今回は、「BEAT」のプロジェクトとは、少し違った観点から携帯メディアを
捉えてみよう!ということで、特集を組んでみました。
また、9/4に東京大学大学院情報学環とジョイントで開催されるbeat semi
nar「ケータイと教育の未来」の詳細を掲載致しました。是非、ご参加くだ
さい!!
それでは、夏の終わりの打ち上げ花火、「beating」第3号のスタートです!
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┃★CONTENTS★
┃
┃■1.特集:静岡大学情報学部 堀田龍也助教授インタビュー
┃「“新しいメディアの教育利用”と“つきあい方学習”のバランス」
┃
┃■2.お知らせ:「beat seminar」第2回 9/4(土)開催!!
┃
┃■3.「紹介したいこの人この1冊。 オススメお蔵出し!」
┃
┃■4.編集後記
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■1.特集:静岡大学情報学部 堀田龍也助教授インタビュー
「“新しいメディアの教育利用”と“つきあい方学習”のバランス」
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「BEAT」は、携帯メディアの新しい教育利用を考えるプロジェクト。
その一方で、携帯メディアの利用では、「出会い系サイト」の問題など、そ
の陰の部分への対応がマスメディアで取りざたされる機会が多く、皆さんの
関心も高いと思われます。
携帯メディアのワクワク・ドキドキするような「光の部分」と思わず戸惑い
を感じてしまう「陰の部分」。私たちは、どのようなバランス感覚を持ちな
がら、携帯メディアの教育利用を考えていけばよいのでしょうか。
情報教育の第一人者で今年の6月に「メディアとのつきあい方学習」を出版
されたばかりの、静岡大学情報学部情報社会学科助教授の堀田龍也先生にお
話を伺いました。
■堀田 龍也(ほりた たつや)
静岡大学情報学部情報社会学科助教授
小学校・中学校の現場の先生や教育産業と幅広く連携し、無数のプロジェク
トを展開する。研究の射程は、PDAを用いた学習から、「メディアとのつき
あい方学習」までと幅広い。
中でも、「情報教育実践サイト FATHeRS(ファーザーズ)」は、インパクで、
最終表彰での「アイデア賞」等、数々受賞。
主著に「メディアとのつきあい方学習」(ジャストシステム)、「プレゼン
指導虎の巻—プレゼン能力をぐんぐん伸ばす!」(スズキ教育ソフト)、
「学校のLAN学事始—校内ネットワークでひらくこれからの学校」(高陵社
書店)ほか
http://horitan.net/
…………………………………………………………………………………………
□1.「メディアとのつきあい方学習」とは
…………………………………………………………………………………………
まず、「メディアとのつきあい方学習」とはどのようなものでしょうか?
「メディアとのつきあい方学習」では、情報化社会の中で、メディアの操作
方法の習得や仕組みを理解する学習に留まらず、メディアを道具として使い
こなし、生活や仕事を便利に豊かにしていくための「つきあい方」を身につ
けることを提案しています。
「メディアとのつきあい方学習」のポイントは大きく3点です。
●1.メディアの特性と適切なメディアの選択の仕方について学ぶこと
メディアの特性を知り、目的に応じてメディアを選べるようになることを目
指します。
メディアにはそれぞれ特性があります。新聞には新聞の、雑誌には雑誌のそ
れぞれ目的に応じた特性があり、その結果、違う表現の形式を持っています。
情報発信をするメディアならば、FAX、電子メール、電子掲示板は同じよう
に電子的にメッセージを綴っていくものですが、読者の範囲が異なります。
どんな時に電子メールが便利か。その時守らなければいけないマナーは何か。
それぞれのメディアの特性について一定の知識を持ち、生活の中で使い分け
ていくことが大きなポイントです。
●2.メディアが生活に与える影響について学ぶこと
メディアが私たちの生活や社会に影響を与えていることを自覚することがも
うひとつの大切なポイントです。
私たちは、毎日、様々なメディアから情報を得ています。例えば、私たちは、
北朝鮮について色々なことを知っています。
しかし、私たちが持っているイメージはメディア経由でもたらされたもので
す。ほとんどの人は、実際に北朝鮮を訪問した経験がないですね。
私たちのイメージは、記者が知り得た情報を元に構成された新聞やテレビに
よってもたらされたものです。情報の重要度が判断され、整理され、必要な
部分に編集した結果です。おそらくそれは事実ではあるが、事実の全てでは
ない。
メディアは、私たちの考え方をいつの間にか規定しています。特にマスメデ
ィアは、私たちにすぐれた情報を与えてくれる反面、所詮は誰かが構成した
結果の情報を提供しているに過ぎないことを自覚すること。このようなメデ
ィアの及ぼしている影響を理解した上で、私たちは、「自分の」意思で、物
事を判断していかなければならないということを強く認識することが大切で
す。
●3.メディアが取り巻く社会での安全な行動の仕方について学ぶこと
最後のポイントは、メディア社会で暮らしていく私たちが、安全で安心な生
活のために知っておかねばならない知識や、備えておかねばならない態度で
す。
これは、ネットワーク犯罪のように社会で話題になる大きな犯罪だけを相手
にしている訳ではないのです。情報社会で生きていく上で、普通に遭遇する、
様々な問題について知り、自分自身を守る技術を身につけておくということ
なんですね。
例えば、インターネット上のウイルス対策では、「ウイルスに関する細かい
知識をいかに知っているか」、というよりも、「自分のパソコンがウィルス
に感染しないようにするにはどうすればいいのか」を知っておく方が大切で
す。
こうしたことは、実際にインターネットを使ってみないと分からないことで
すが、一定の知識を持っていて初めて理解できることもここには含まれてい
ます。経験の中で学びつつ、情報社会に関する一定の知識を与えることも必
要だと思います。
メディアが移り変わっても、それが私たちに「情報」を提供し、判断を要求
し、コミュニケーションを促すものであるということは変わりません。「情
報」と共に生きていくことも変わらないですよね。しかも、その「情報」は
爆発的に増加し、コミュニケーションはますます多様化しています。
これからの時代を生き抜く子どもたちに育成されなければならない資質だと
思います。
…………………………………………………………………………………………
□2.僕が「メディアとのつきあい方学習」を書いたワケ
…………………………………………………………………………………………
「メディアとのつきあい方学習」を書かれたきっかけはなんですか?
最近ね、この本を書いてから、僕の所に色んなインタビューが来るんだけど、
それは昔から来るんだけど、最近、インタビューのネタが変わってきたと思
うんですね。「「出会い系サイト」にはどう対応すれば良いんでしょうか」
とか。僕は別に「出会い系サイト」の研究者ではないので、実はちょっと困
ってるんです。(苦笑)
そもそも僕がこの本を書いたのは、情報モラルをちゃんとやりましょうと言
いたかった訳ではなく、メディア・リテラシー(※註1)をちゃんとやりま
しょう、と、どちらかというとそっちを言いたかったんですね。それを僕な
りに解釈を加えて抽象化していくと、割と「メディアとどう付き合うか」と
いうことなのだろうと考えたんです。
何故、そのようなことを思ったかというと、2つの理由があるんです。
ひとつは、一般的に情報化のマイナス面ですね。情報教育(※註2)でもそ
うですが、子どもたちがメディアの機器操作がどんどんできるようになって、
かえって余計なことに出くわしてしまうような状況を目の当たりにしたから
ですね。
もう一つは、喜ぶべきことなのかもしれませんが、主に小学校の子どもたち
を見ていて、メディアや情報についての学習が伸び悩んでいるな、と感じた
からなんです。これは、知識のフォローができていないための伸び悩みだと
思います。
情報活用能力を身につけさせようと思って、先生が様々な授業実践をやられ
ているんですけれども、「この先のことを学ぶには、的確な知識がないと難
しい」とか、「ここから先はちゃんとコミュニケーションの仕方を教えてい
かないと学びが広がらない」というシーンをしばしば見るようになったんで
す。
つまり、情報やメディアを体験的に学ぶだけでは、学習しきれない限界まで
子どもたちの学習が高まっていて、的確な知識をフォローする授業や仕組み
が必要だと思ったんです。
そうしないと、情報教育がかえって子どもを伸び切らなくさせたり、あるい
は、メディアの操作を教えるだけで、危険な側面なども教えていないものだ
から、かえって危ないことになったりするんじゃないか、と。
だから、僕自身は、「出会い系をどうするか」とか「モラルをどうするか」
っていうことは各論だと思っているんです。
もっと大きいスキームで考えたときに、メディアは移り変わる、どんどん性
能が良くなって、アクセシビリティが高くなる。人々がそれに慣れていく。
メディア・コミュニケーション空間は、どんどん広がっていく。そこで僕ら
はそういうものを使って豊かに暮らしていきたいわけです。
そうすると、それを実現するためには体験的に学んでいるだけでは、多分、
限界があるんじゃないかな、と。むしろ知識として同時並行で教えていかな
ければ、いけないこともあるんじゃないかなと思ったんです。その両方をフ
ォローしたいと思って「メディアとのつきあい方学習」を書いたんですね。
【註1 メディア・リテラシー】
メディア・リテラシーについての定義は様々である。最も包括的な例として
は、水越(2003)の定義があげられる。「メディア・リテラシーとは、人間が
メディアに媒介された情報を、送り手によって構成されたものとして批判的
に受容し、解釈すると同時に、自らの思想や意見、感じていることなどをメ
ディアによって構成的に表現し、コミュニケーションの回路を生み出してい
くという、複合的な能力のことである。」
また、一般的に、メディア・リテラシーは、モラルを教えることに慎重なア
プローチをとることが多い。
水越伸(2002)新版 デジタル・メディア社会 岩波書店
【註2 情報教育】
情報に関する幅広い教育を示す総称。文部科学省によれば、その目標は3つ
に整理される。
1)情報活用の実践力
課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を
主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発
信・伝達できる能力
2)情報の科学的な理解
情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自
らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解
3)情報社会に参画する態度
社会生活の中で、情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を
理解し、情報モラルの必要や情報に対する責任について考え、望ましい情報
社会の創造に参画しようとする態度
日本教育工学会編(2000)教育工学事典 実教出版
堀田龍也(2004)メディアとのつきあい方学習 ジャストシステム
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□3.「携帯忘れたら授業で困るでしょ」
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PDAなど新しい教育メディアの研究にも積極的に取り組まれていますね。
僕は、そもそもモバイル学習メディアというか、ハンディ学習メディアに強
い興味を持っています。2年前には、PDAを使った3種類の実践の研究をやり
ました。(※註3)
ひとつは、水族館で無線LANを張って、子どもたちがPDAを持って歩くと、そ
の子がその場所に来たことを認識して、PDAにその子の興味に応じた情報を
提示するシステムの開発を行いました。環境側が、学習者の状況を認識して、
子どもたちの学習をプッシュしてくれるという仕組みです。
もうひとつは、水族館のような社会教育施設ではなく、学校の教室の中でPD
Aを使いました。例えば、算数の授業の最後の5分間、子どもたちにPDAを使
ってドリル問題を解いてもらう。その情報は全てサーバーに溜まっていく。
その情報をメタに分析しておいて、その情報をもとに先生が「この問題はで
きが悪いから、明日はここの復習から入ろう」というように意思決定するの
を支援するシステムですね。
最後は、屋外に子どもを連れて行って、デジカメで写真を撮ったり、PDAで
メモをすると、子どもたちの学習情報が学校のサーバーに全部溜まって、後
でホームページ作りなどに役立てるというものでした。
僕は、これら3つのことをシームレスにやりたかったんです。でも、2年前の
携帯電話では、できなかったんですね。だからPDAを使ったんですけど、僕
のイメージはこういったことが携帯電話でできることだったんですね。
また、モバイルの研究ではないんですが、子ども向け教育ソフト会社と共同
研究で「キーボー島アドベンチャー」というサイトを開発しました。(※註
4)ここでは、キーボードのスキルを身につけると同時に、それを発揮する
場としての掲示板が搭載されています。キーボードのスキルを身につけると
コミュニケーションができる。
しかし、「入力するためのスキルがあるだけではダメだよ」ということを教
えるための掲示板でもあるんです。
そこには、常に毎日350件の書き込みがありますが、事務局がモニタリング
していて、行き過ぎな行為があったら、担任の先生にメールを送ったり、エ
スカレートするようだったら、本人のアカウントを停止することもあります。
ある意味、「失敗させながら学ばせる環境」としてデザインされているんで
す。
こういう風に新しいメディアで体験的に学ぶことと、危険なことに対処する
ような事柄は、僕の中で繋がっているんです。
教育における携帯電話の捉えられ方についてどのようにお考えですか?
今、携帯電話の技術は、もの凄く進歩してきているけど、社会での活用のさ
れ方がちょっとズレている状態だと思うんです。
非常にエンターテイメントに寄っていますよね。技術的には教育で利用でき
そうなことがたくさん開発されているけれど、学習の道具として携帯電話が
捉えられていない。だから、みんな「携帯電話と言えば、出会い系サイト」
と思っているに過ぎないのではないでしょうか。
みんな携帯電話というとモラルのことばかり心配して、体験したり学習に便
利に使うということをさせていないですよね。かたや、情報教育の側では、
コンピュータを使いこなすことに重点が置かれていて、それによって起こり
うる危険なことを教えて来なかった。
これは裏表の関係にあるんじゃないかと思っているんです。
僕は情報教育の側の立場に立っている人間として、メディアの機器操作や、
仕組みの理解の学習も射程に入れつつ、やはり、知識的なフォローが必要
だと思うので、「メディアとのつきあい方学習」を書きました。
一方で、携帯電話、携帯メディアの発達としては、もっと学習の道具として
役に立つような学習メディアになって欲しいんです。「ダメじゃないか、携
帯忘れてきたら授業に困るでしょ」って言われるような、ね。
【註3】PDAを使った3種類の実践
経済産業省主導の全国の学校がITを活用した教育を実践するための支援プロ
ジェクト「Eスクウェア・アドバンス」内での取り組み。PDAを使った実践を
開発・運営するプロジェクトで、実践報告が以下のサイトから参照できる。
http://www.cec.or.jp/e2a/
【註4】キーボー島アドベンチャー
子どもたちにキーボード入力を身につけさせるための無料サイト。参加した
い場合は、担任が申し込んだ上で、子どもたちを登録する。堀田先生が統括
責任を務める。現在、全国の小学生の約7%で活用されている。ユーザーの
児童数は10万人に達する。
http://kb-kentei.net/
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□4.ベネッセのノウハウと教育メディアの出会い
…………………………………………………………………………………………
堀田先生ご自身も、民間の教育企業と密接に連携されていますが、産学連
携プロジェクトとしての「BEAT」をどのように見ていらっしゃいますか?
実は、僕はとってもベネッセさんのノウハウに憧れているんです。自分の子
どもがずっとベネッセの教材をやっていたというのもあるんですけれども
(笑)
僕は、自分が教員をやっていたからよくわかるんですが、ベネッセの教材は
非常に良質だと思います。それはすなわち、教師無しの教材、自学自習教材
としてですね。
学校の先生が作る教材というのは、学校の先生が説明することを前提に作っ
ています。だからワークシート形式になるんですが、ベネッセさんの教材
は、自学していくことを前提にしているので、指示とか、モチベーションを
高めたり、維持したりする仕掛けが上手い具合に埋め込まれているんですね。
そういうノウハウがあるっていうことは、e-learningに向いているっていう
ことだと思うんです。その時に、先生に言われたからやる、というのではな
くて、やっぱり、子どもたちが自主的に学習できるノウハウが必要だと思う
んです。
例えば、「しまじろう」がでてきて「今日の確認だー!」というようなナビ
ゲーションの仕掛けのノウハウはすごく大切なことだと思う。
僕は、子供用の電子掲示板にはキャラクターがいた方が効果的であると考え
て、そういう研究もしてきたんだけど、その時に一番参考にして分析したの
は、「こどもチャレンジ」だったんですよね。
その意味で、ベネッセさんの持っているノウハウと、大学と組んで手に入る
教育メディア研究のデジタルなノウハウが繋がるときが、まもなく来ると思
うし、携帯電話のメーカーがやろうとしても困りそうな所のノウハウをみん
なベネッセさんが持っている。それが「BEAT」のひとつの強みだと思います。
ベネッセさんのノウハウを十分に活かして、携帯電話がモラルとか、出会い
系とかに振り回される単なるイベント装置ではなくて、学習の日常化の装置
になってくれればいいと思います。
それが僕が「BEAT」のプロジェクトに一番期待することですね。
そして、僕も何か協力できればと思っています。
携帯メディアのような新しいメディアと教育を考える場合に大切なのは、
過度に楽観したり、悲観したりすることのないバランス感覚なのだと痛感し
ました。
ありがとうございました。
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★2.【お知らせ】公開研究会「beat seminar」第2回9/4(土)開催のご案内
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来たる9/4(土)、「BEAT」では、第2回目の公開研究会を開催いたします!
「BEAT」の研究内容や、教育に関するIT技術利用に関する最新動向などをテ
ーマにした公開研究会です。開催情報は、公式Webサイト、もしくは、この
メールマガジン「beating」でご案内を差し上げます。
第2回目となる今回のテーマは、「ケータイと教育の未来」です。
———————————【公開研究会 概要】—————————————
●テーマ
「ケータイと教育の未来」
●日時
2004年9月4日(土曜日) 午後2時〜午後5時
●場所
東京大学 山上会館
東京都文京区本郷7-3-1
◇アクセス
http://www.u-tokyo.ac.jp/jpn/campus/map/map01/e11-j.html
◇東京大学への最寄り駅
東京メトロ 丸ノ内線 本郷三丁目駅(徒歩5分)
都営大江戸線 本郷三丁目駅(徒歩5分)
●内容
第3世代・高機能化により電話から新しいメディアに進化しはじめたケ
ータイ。その近未来像と教育における新しい利用形態を3人のゲストス
ピーカーをお招きして考えていきます。今回は、情報学環と共催の形を
とり、情報学環ワークショップとしても開催します。
●定員
100名
●参加費
無料
●講演
◇「ケータイとコミュニケーションの近未来」
NTTドコモ モバイル社会研究所 副所長 山川 隆
−今後のケータイのあり方とモバイル社会のビジョン
モバイル社会におけるケータイの学習利用の位置づけについて
◇「モバイルメディアの学習利用・研究の最前線」
徳島大学 工学部 助教授 緒方 広明
−ケータイをはじめとするモバイルメディアの教育利用の世界的動
向
◇「ケータイの学校現場での活用」
千葉県柏市立旭東小学校 佐和 伸明
−ケータイを利用した授業実践
ケータイの普段の授業での利用とつきあい方学習について
★参加方法:セミナに参加希望の方は、sato@beatiii.jp あてに、お名前と
ご所属、懇親会への参加希望の有無をお知らせください。
*このお知らせは自由に転送いただいて結構です。
*寄附講座の概要は、http://www.beatiii.jp/ よりご覧いただけます。
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★3.紹介したいこの人この1冊。 オススメお蔵出し!
今回は・・・独立行政法人 メディア教育開発センター 助手 中原淳先生
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広く教育やメディアの研究に携わる研究者から、「オススメ本」を、お友達
紹介形式でお伝えする「紹介したいこの人この1冊。オススメお蔵出し!」
のコーナーです。
第2回目となる今回は、「BEAT」のフェローでもある文部科学省メディア教
育開発センターの中原淳先生にオススメの本を紹介していただきました。
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はじめまして、「beating」を購読いただいている皆様
中原@独立行政法人メディア教育開発センターと申します!
僕の専攻は教育工学、学習科学です。特に「情報メディアを活用し、複数の
学習者が協力しながら問題解決や学習を行ったりできる環境を創造すること
(CSCL)」を研究テーマにしています。対象とする教育現場は選びませんが、
特に最近では企業内教育、高等教育に力を入れています。
研究の詳細は、下記をご覧いただければ幸いです。
NAKAHARA-LAB.NET
http://www.nakahara-lab.net/
このたびは、オススメの本を紹介するという大役をおおせつかりました。
下記、3冊を選ばせていただきました。どうぞご高覧ください。
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1)学習科学とテクノロジ 放送大学テキスト
三宅なほみ・白水始(著)
出版社: 放送大学教育振興会
日本語で読める学習科学(Learning Science)入門書の決定版です。
テクノロジーを活用し、「人が賢くなることのできる学習環境」をどのよ
うに創造すればよいのか、について深く考察することができます。また、北
米の最先端の事例についても豊富に取り扱われています。
この本は、放送大学のテキストとして編集されたものです。放送大学の授業
は、無料で視聴することができますので、是非、そちらの方もご覧ください。
(中原)
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4595236182/
qid=1092699723/sr=1-8/ref=sr_1_10_8/250-2103304-2829869
2)組織行動の考え方
金井壽宏・高橋潔 (著)
出版社:東洋経済新報社
近年の学習理論と経営学は非常に近接した研究領域になりつつあります。
「どのように人が学び続ける組織を作るのか」という関心において、学習論
は経営論に接近しています。また、「組織構成員の知識創造や学習によって、
どのようにして競争優位を生み出すか」という点において、経営学は学習の
問題に近接することになります。
この本は、経営学の一分野である組織行動学(Organizational Behavior)
の教科書として編まれた本です。しかし、その文体は教科書っぽくはありま
せん。むしろ、金井氏・高橋氏の哲学とユーモアが随所に盛り込まれてあり
ます。著者らの揺らぐことのない信念が見て取れるようです。非常に、楽し
く読むことができます。(中原)
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521461/
qid=1092699667/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-2103304-2829869
3)Blue's Clues for Success
Diane Tracy (著)
出版社: Dearborn Trade
Blue's Cluesは、セサミストリートと同じ学齢を対象にした、米国で非常に
人気のある幼児番組です。しかし、その背後に流れる開発思想は、セサミの
それと全く異なっています。
「子どもの注意力は3分が限度である。よって番組はセグメントに分けて構
成するべきだ」という開発思想を持っているのがセサミならば、Blue's Clu
esは全く逆です。
Blue's Cluesの場合、お兄さん役のアクターが、テレビの前の子どもに語り
かけるようにして番組は続きます。お兄さんの発話の間には、1秒程度の間
があり、その間に子どもが思考し、テレビのお兄さんにむかって発話できる
ように構成されています。番組にセグメントはなく、お兄さんと子どもの<
仮想の対話>が続きます。
こうしたBlue's Cluesの番組コンセプトは、教育学研究から生まれました。
番組予算の中に、キチンとしたリサーチの予算が組まれ、研究者が関与しな
がら、番組が作られていきました。
この本は、Blue's Cluesがどのような背景から生まれたのかを解説する本で
す。学術書ではなくビジネス書に近いです。が、そこから学ぶものは非常に
多いと思います。(中原)
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/079315376X/
qid%3D1092699617/250-2103304-2829869
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次回は、今月の特集インタビューにご登場くださいました、静岡大学情報学
部の堀田龍也先生にオススメの書籍をご紹介いただきます。
中原先生から堀田先生の紹介メッセージです。
堀田先生は、小学校、中学校の現場の先生、民間教育会社と密接に連携しな
がら、教育現場で役に立つ教育システム、教育法の改善に取り組んでおられ
ます。特に、『情報教育』の研究領域では、NHKや文部科学省などの各種
委員を経験され、現場の教育改革に邁進しておられます。PDAを活用したモ
バイル学習環境の開発にも取り組んでおられます。お楽しみに。
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■4.編集後記
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今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
「beating」第3号はいかがでしたでしょうか。
さて、「beating」では、再来月号、つまり第5号の特集企画を皆様からのご
意見で決定したいと思います!!
以下、2つの企画のどちらを読みたいか、お手数ですが、編集担当までメー
ルをいただければと思います。
メールはコチラ→shun@beatiii.jp
1.「こんな授業やってます!〜BEATの思想的ルーツを訪ねて」
携帯メディアの新しい教育利用を考える「BEAT」のその根底に流れる
「学習環境デザイン」という考え方。
東京大学大学院 学際情報学府で行われている、「BEAT」フェローの山
内祐平助教授の「学習環境デザイン論」の授業を、実際に、授業に参加
した学生さんの声を交えてご紹介します。
2.「トピック紹介! 知っているようで知らない○○が知りたいッ!!」
beatingも第3号を迎えましたが、特集のインタビューやその他のコーナ
ーの中で、教育やメディアを考える上で、色々なキーワードが出てきて
います。
「今まで、知っているようで知らなかった、「インストラクショナルデ
ザイン」ってなんだろう?」など、皆さんの知っているようでなかなか
知る機会の無かったテーマについて取り上げます。
その他、こんな企画を読んでみたい、など、ご意見・ご要望をどしどし、お
寄せください!!お待ちしております!!
「beating」編集担当
酒井俊典
shun@beatiii.jp
-------次回発行は9月第3週頃の予定です。
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ご登録先は、ベネッセ先端教育技術学講座になります。登録にあたって、お
知らせいただいたお名前・メールアドレスなどの個人情報は、ベネッセ先端
教育技術学講座にて、「beating」からのお知らせのためだけに使用いたし
ます。また、ご本人の同意なく、第三者に提供することはございません。
「beating」はお申し込みをいただいた方々に配信しています。
無断転載をご遠慮いただいておりますので、転載を希望される
場合はご連絡ください。
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beating_admin@beatiii.jp
□ご意見ご感想はコチラ
「beating」編集担当
酒井俊典(東京大学大学院 学際情報学府 山内祐平研究室 博士課程1年)
shun@beatiii.jp
□「BEAT」公式Webサイト
http://www.beatiii.jp/
□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
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The University of Tokyo.All Rights Reserved.
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