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Beating 第35号
2007年度Beating特集「5分で分かる教材評価講座」開講!
第1回:そもそも評価とは?なぜ必要なの?「形成的評価と総括的評価」

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  東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」   
  メールマガジン「Beating」第35号     2007年4月27日発行    
                        現在登録者1348名   
  2007年度Beating特集「5分で分かる教材評価講座」開講!
   第1回:そもそも評価とは?なぜ必要なの?「形成的評価と総括的評価」

           http://www.beatiii.jp/?rf=bt_m001a
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皆さまこんにちは。お元気でお過ごしでしょうか?

新年度が始まり、新たな環境に気分を一新されている方も多くいらっしゃると
思います。BEATもいよいよこの4月より第2期が始まりました。さらにパワー
アップしての再スタート。皆さまとの交流もさらに深めていきたいと思います。

2007年度Beating特集では、皆さまよりテーマを募集します。詳細は特集記事
をご覧下さい!

それでは、2007年度初Beating第35号のスタートです!

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┃★CONTENTS★
┃■1.  特集:2007年度Beating特集「5分で分かる教材評価講座」開講!
┃    第1回:そもそも評価とは?なぜ必要なの?「形成的評価と総括的評価」
┃
┃■2. 【お知らせその1】「2007年度 第1回 BEAT Seminar 」のご案内
┃
┃■3. 【お知らせその2】「2006年度 研究成果報告会」Webサイトのご案内
┃
┃■4. 【お知らせその3】Web サイトリニューアルのご案内
┃
┃■5.  編集後記
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■1. 特集:2007年度Beating特集「5分で分かる教材評価講座」
   第1回:そもそも評価とは?なぜ必要なの?「形成的評価と総括的評価」
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■今年度特集の御案内

今年度のBeatingでは、BEATの研究をより理解していただくため、学習の「評
価」についてさまざまな観点から紹介し、一年間で皆さまと一緒にその秘訣を
探っていく講座を開講いたします。
題して「5分で分かる教材評価講座」です。今年度は、皆さまからの質問・相
談にお答えする「読者相談室」も企画しております。詳しくは、特集の最後を
ご覧下さい。

昨年度までのBeatingでは、さまざまな学習理論を学び、さらにそれらを土壌
にした世界各地のプロジェクトを紹介してきました。

昨年度のBeatingバックナンバー
http://www.beatiii.jp/beating/?rf=bt_m001a

でも、いくら教材やカリキュラムを作ったとしても、それらが学習に効果的だ
と言えなければ意味がないですよね。教材開発者や教師、研究者だけでなく、
例えば企業研修担当者であれば、研修の効果は何かを受講生やその上司、経営
者に説明することが求められるでしょう。

それでは、それらが「うまくいった」と言うにはどうしたらいいのでしょう?
「僕らのプロジェクトは成功でした!」と自信を持って報告するためには、ど
うしたらいいのでしょう?そこで重要なのが「評価」なのです。今年度のBeat
ingでは、この「評価」に着目し、見事に成功しているプロジェクトを紹介し
ながら、そこで行われている評価の仕方を学んでいきます。そこで第1回目は
、評価をする意味とその概要について少しお話ししたいと思います。



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●そもそも評価とは?なぜ必要なの?

○評価の必要性

「評価」というとまず一番はじめに思い浮かぶのは何でしょうか。

先生がつけるテストの点数?上司や研修講師がつける成績?「彼は○○な人だ」
という、周りからの視線?色々思い浮かぶことでしょう。でも、どれも漠然と
していて、結局のところ「評価」ってなんなのか、よくわからないですよね。
「評価」という言葉の持つ意味は実に多様で、ややこしいのです。

「そんなややこしいこと、しなくたっていいじゃない。」

そうお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。でも、評価ってすごく大
切なんです。何がどんなふうに大切なのかを、これからお話します。

まず、適切な評価を行うと、例えば開発したモノやシステムの、「どこがどう
良かった(悪かった)のか」が具体的になります。逆に言うと、評価をしない
と「どこがどう良かった(悪かった)のか」が分からないのです。もっと言う
と「そもそも良かったか悪かったか」すら分かりません。客観的に立証するこ
とができないのです。

例えば成績でいうと、単純に下がったという結果しか出なかった場合、「もっ
と勉強しなくてはいけない」ことは分かりますが、「具体的に何をどう勉強し
たらよいか」までは分かりません。

これが教師であれば、「なぜそのような結果になったのか」まで分かることに
よって、「何をもっと勉強しなければいけないのか」「どのような勉強方法が
考えられるのか」について、生徒に具体的に提案するための情報を得ることが
できるのです。教材開発者や研修担当者では、教材や研修のどこを改善すれば
よいかという情報を得ることができます。


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○形成的評価と総括的評価

では、そんな「評価」には一体どのようなものがあるのでしょうか。

先ほど『「評価」という言葉の持つ意味は実に多様で、ややこしい』と言いま
した。例えば、開発したモノやシステムが「本当によくできたのか」を調べる
のも評価。先生が成績をつけるのも評価。成績だけではなく、生徒の学習状況
に応じてその都度フィードバックを与えるのも評価です。学習者が、自分の学
習状況を把握しながら調整していくのも、自分の学習に対する評価をしている
ことになります。

評価する対象も、モノに対しての評価だったり、人だったり、システム、ある
いは授業やカリキュラムだったり。本当に多種多様です。

しかし、まったく体系立っていないわけでもありません。評価には大きく分けて、
「形成的評価(formative evaluation)」と「総括的評価(summative evaluation)」
とがあります。

思い浮かべやすい評価として、皆さまに馴染みがあるのは、大学の講義の最終
レポートや学校のときにやった学期末テストなどでしょうか。これらのレポー
トやテストは、「総括的評価」という評価に分類されます。

「総括的評価」とは、「総括的」という名前が表すように、「一通りの流れが
終わった後に、全体を通してどこが良かったか(悪かったか)を見るための評
価」です。一つの単元や課程の終わりなど、全体を見通したいときに行います。
学校以外でも、企業研修の最終日に行うアンケートやテストなどがこれにあた
ります。「総括的」なものですので、例えば教材に対する評価の場合だと、そ
の教材が学習者に及ぼした影響を見ることはできますが、学習者自身が途中で
自分の学習進度を判断するような情報は与えることができません。

それでは、学習やプロジェクトを進めていく途中で欲しい情報はどのように得
たらよいのでしょうか。

そこで、「形成的評価」という考え方がでてきます。
「形成的評価」とは、文字通り「形成していくための評価」すなわち、「作り
上げていく・進めていく過程で必要な評価」のことです。
例えば、1回1回の授業の最後に行う小テストや振り返りなど、学習の途中で学
習者が自分の理解状況を把握することを必要に応じて助けるような行為はこれ
にあたります。他にも、教材開発やプロジェクトを進めていく過程で、細かく
チェックを行って改善に役立てるなどといったように、比較的頻繁に行うフィ
ードバックの総称のことを言います。

先にも述べましたが、総括的評価も形成的評価も、評価の対象はさまざまです。
「単元全体を通して授業(あるいは研修)の質がどうだったか」というのは、
カリキュラムに対する総括的評価ですが、大学の講義での最終レポートなどは、
学習者に対する総括的評価となる、といった具合です。

これらの形成的評価や総括的評価を何回も繰り返して行うことで、授業や学習、
教材やカリキュラムをよりよく改善していくことができるのです。


・・・さて、少しざっくりとして抽象的でしたが、「評価」という言葉がどんな
意味をもつのか、イメージをつかんでいただけたでしょうか。

せっかく一生懸命作ったモノを、単なる自己満足で終わらせないためにも、適
切な評価が必要なのですね。

次号からは、もっと具体的に、うまくいっているプロジェクトが行っている評
価のケーススタディをすることで、その秘密に迫っていきます。
どうぞお楽しみに!



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●参考文献

『教授・学習過程論−学習科学の展開』
 大島 純 (編集), 野島 久雄 (編集), 波多野 誼余夫 (編集)
 放送大学教育振興会

『学習科学とテクノロジ』
 三宅なほみ・白水始(著) 放送大学教育振興会

『教室における評価の理論II −学校学習とブルーム理論−』
 梶田叡一(著) 金子書房


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●「5分でわかる教材評価講座」テーマ予定

この講座は、以下のような3部構成でお届けしていきます。

 ・事例から学ぶケーススタディをしていきながら、
 ・皆さまの疑問・質問にお答えする「読者相談室」で理解を深め、
 ・最後に、評価の背景にある理論を知って、評価のスペシャリストへ!

具体的なスケジュールはこちらです。

  4月(本号) 概要:「そもそも評価って何?なぜ必要なの?
                    〜形成的評価と総括的評価〜」
  5月 ケーススタディ1:セサミストリート【教材評価】
  6月 ケーススタディ2:ジャスパー・プロジェクト【教材評価】
  7月 ケーススタディ3:おやこdeサイエンス【教材・教育システム評価】
  8月 読者相談室1
  9月 ケーススタディ4:TEALプロジェクト 【授業・カリキュラム評価】
 10月 ケーススタディ5:ポートフォリオ評価の事例
                     【授業・カリキュラム評価】
 11月 ケーススタディ6:日本企業における研修評価の事例 【研修評価】
 12月 読者相談室2
  1月 理論紹介1:統計基礎知識
  2月 理論紹介2:実験計画法
  3月 総集編


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●「教材評価」に関する疑問・質問大募集!

今年度のBeatingでは、教材評価について日頃皆さまが疑問に思うこと、教材
評価講座を読んで湧き起こった疑問などを募集します。

寄せられた読者の皆さまの疑問・質問には、8月と12月にBeating「読者相談室」
にて、山内祐平(東京大学大学院 情報学環 准教授・BEAT併任)と北村智
(BEAT客員助教)がお答えする予定です。

熱い議論をご期待下さい!

疑問・質問の宛先はこちらのアドレスになります。
 contact@beatiii.jp

件名に『【Beating】「教材評価」に関する疑問・質問』と明記し、お送り下
さい。ご応募お待ちしております。


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(特集記事協力:
 坂本篤郎/東京大学 大学院 学際情報学府 修士1年
 荒木淳子/東京大学 大学院 情報学環 助教
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次号からの「5分で分かる教材評価講座」どうぞお楽しみに!
ご意見・ご感想もお待ちしております。


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■2. 【お知らせその1】「2007年度 第1回 BEAT Seminar 」のご案内
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2007年度 第1回 BEAT Seminar の開催日時と場所が決定いたしました。


—————————【2007年度 第1回 公開研究会 概要】————————
  ■日時:
   2007年6月9日(土) 午後2時より午後5時まで

  ■場所
   東京大学 本郷キャンパス 工学部2号館北館 92-B教室

  ■定員
   80名(参加費無料)

  ■参加方法
   参加費は無料です。
   BEAT Webサイト
   http://www.beatiii.jp/seminar/?rf=bt_m001
   にて、ご登録をお願いいたします。


プログラムの詳細は、追ってお知らせする予定です。今しばらくお待ち下さい。


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■3. 【お知らせその2】「2006年度 研究成果報告会」Webサイトのご案内
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BEATは、この3月をもって、第1期である2004年度〜2006年度を無事終了するこ
とができました。2006年度と共にこの第1期を振り返った3月のBEAT公開研究会
「BEAT 2006年度研究成果報告会」には、沢山の方がご参加して下さいました。
ありがとうございました。

その内容を BEAT Webサイトに本日公開いたしました。当日出席出来なかった
方、内容を振り返りたい方など、どうぞご覧下さい。

2006年度第9回:「BEAT 2006年度研究成果報告会」〜3/24(土)
http://www.beatiii.jp/seminar/029.html?rf=bt_m001

今年度もさまざまなかたちで、進捗状況や成果の報告をしていきますので、
どうぞご期待下さい。


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■4. 【お知らせその3】Web サイトリニューアルのご案内
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皆さま、お気づきになられましたか?この度、BEAT Web サイトをリニューアル
いたしました!多くの方からのアクセスお待ちしております。
http://www.beatiii.jp/?rf=bt_m001b

第2期BEATの情報をより分かりやすく、第1期BEATで蓄積した貴重で膨大な情報
はアクセスしやすく、皆さまにご提供できればと考えております。

また、BEAT助教たちのブログが開始されます。皆さまからのご意見ご感想も
共有していければと思います。どうぞお楽しみに!


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■5. 編集後記
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今年度初号Beating第35号はいかがでしたでしょうか。

第2期BEAT、2007年度も引き続きBeatingをよろしくお願いいたします。

新年度が始まるとメンバーの変更から名簿を作り直すことが多いですよね。
息子もクラス替え。最近ではお母様同士のメールアドレスも情報共有すること
が多くなりました。そして、その殆どが携帯メール!携帯だけでネットも使い
こなす純ケータイ派も多いようです。

短文で気軽なやり取りが出来るものの、素早い反応も要求されます。パソコン
メールとの文化の違いをヒシヒシと感じる今日この頃。このコミュニケーショ
ン文化の差は形成するコミュニティに規模や形態の違いを生むとも聞きました。

学校の緊急連絡、ちょっとした持ち物の確認、さらには先生までもが子どもの
様子をメールで教えてくれたりします。どうやら学校や保護者間では、携帯メ
ール文化が浸透していくようです。が、個人的には学びの場ではどうなるのか
も気になります。

BEATでは「学びの状況に動的に応答する学習環境」の構築を目指した活動が
目標になりました。個人的にも今後の展開が楽しみです。

皆さまもBeatingと共にBEATのご支援のほどよろしくお願いいたします。


                        「Beating」編集担当
                             佐藤 朝美
                         satomo@beatiii.jp


-------次回発行は5月第4週頃の予定です。
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無断転載をご遠慮いただいておりますので、転載を希望される場合はご連絡
下さい。

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□ご意見ご感想はコチラ
「Beating」編集担当
佐藤 朝美(東京大学大学院 学際情報学府 山内祐平研究室 博士課程1年)
satomo@beatiii.jp

□「BEAT」公式Webサイト
http://www.beatiii.jp/?rf=bt_m001c

□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」

Copyright(c) 2007. Interfaculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo. All Rights Reserved.
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