プロジェクト
東京大学大学院情報学環 反転学習社会連携講座(FLIT)は、
株式会社NTTドコモと2013年10月から2018年9月にかけて
主にMOOCと反転学習に関する共同研究を行ってきました。
ここでは実施した主な研究プロジェクトを紹介いたします。
MOOCを用いた反転学習
MOOCプラットフォームを活用した一般向け反転学習のモデルを開発し、反転学習をとりいれた際の教育効果の検証を行いました。
具体的には、gacco「日本中世の自由と平等」における反転学習モデルの開発と効果検証、edX「Visualizing Postwar Tokyo」における反転授業の効果検証を行い、反転学習を取り入れることで高次能力がより育成されることを明らかにしました。
国際学会発表
- Fushikida, W., Oura, H., Yamamoto, R., & Yamauchi, Y. (2018). Role of Video Lectures in A Flipped Classroom: How Is Knowledge Applied in Collaborative Learning?. Proceedings of EdMedia: World Conference on Educational Media and Technology (pp. 985-997). Amsterdam, Netherlands: Association for the Advancement of Computing in Education (AACE).
- Oura, H., Ikejiri, R., Fushikida, W., Anzai, Y., & Yamauchi, Y. (2016). Developing Historical Reasoning with Blended MOOC Model: A Comparative Analysis Between Online and Blended Courses, Paper presented at the American Educational Research Association (AERA) 2016 Annual Meeting, Washington, D.C, USA.
- Oura, H., Anzai, Y., Fushikida, W., & Yamauchi, Y. (2015). “What Would Experts Say About This?” An Analysis of Student Interactions outside MOOC Platform, In Proceedings of the 11th International Conference of Computer Supported Collaborative Learning (CSCL), Vol. 2, pp. 711–712, Göteborg, Sweden.
- Oura, H., Ikejiri, R., Fushikida, W., Anzai, Y., & Yamauchi, Y. (2015). Blended Design in a Regional MOOC: the Impact of Face-to-Face Group Discussion on the Pass Rate in a History Course, Paper presented at the American Educational Research Association (AERA) 2015 Annual Meeting, Chicago, USA.
国内学会発表
- 池尻良平, 大浦弘樹, 安斎勇樹,伏木田稚子, 山内祐平 (2017) MOOC を用いたブレンド型ジグソーのデザインと評価. 日本教育工学会第33回全国大会講演論文集, pp.153-154.
- 伏木田稚子, 吉見俊哉, 山内祐平 (2017) 反転授業を活用した批判的思考の育成に関する研究-Attack Me!の実践を通じて-. 日本教育工学会第33回全国大会講演論文集, pp.371-372.
- 山内祐平, 大浦弘樹, 池尻良平, 伏木田稚子, 安斎勇樹 (2015) MOOC と連動した反転学習における歴史的思考力の評価. 日本教育工学会第31回全国大会論文集, pp.323-324.
- 伏木田稚子, 大浦弘樹, 山内祐平 (2015) 高次能力学習型の反転授業における知識活用に関する研究. 日本教育工学会第31回全国大会講演論文集, pp.325-326.
- 大浦弘樹, 伏木田稚子, 池尻良平, 安斎勇樹, 山内祐平 (2014) MOOC講座の修了率に対する対面学習の効果. 日本教育工学会第30回全国大会講演論文集, pp.743-744.
- 伏木田稚子, 大浦弘樹, 安斎勇樹, 池尻良平, 山内祐平 (2014) 地域MOOCの受講動機に関する探索的分析. 日本教育工学会第30回全国大会講演論文集, pp.745-746.
論文
- 大浦弘樹, 池尻良平, 伏木田稚子, 安斎勇樹, 山内祐平(2018)歴史をテーマにしたMOOCにおける反転学習モデルの評価. 日本教育工学会論文誌 41(4), pp.385-402.
- 池尻良平, 大浦弘樹, 伏木田稚子, 安斎勇樹, 山内祐平 (2017) MOOCにおける歴史学講座の学習評価. 日本教育工学会論文誌 41(1), pp.53-64.
書籍
- 伏木田稚子 (2017) 大学1・2 年生を対象とした高次能力学習型の反転授業の実践:東京大学 集中講義「Visualizing Tokyo」を事例として. 森朋子, 溝上慎一(編) アクティブラーニング型授業としての反転授業[実践編]. ナカニシヤ出版, 京都.
受賞
- 日本教育工学会 2018年 論文賞受賞(2018.9)
(大浦弘樹, 池尻良平, 伏木田稚子, 安斎勇樹, 山内祐平(2018)歴史をテーマにしたMOOCにおける反転学習モデルの評価. 日本教育工学会論文誌 41(4), pp.385-402.)
多層型オンラインワークショップ
MOOCを補完する反転学習以外の形式として、数百名程度がオンラインで反転学習に準ずるインタラクティブな学習ができる多層型オンラインワークショップのシステム”gaccatz”を開発しました。
また、gaccatzを用いて、古文書読解やデザイン思考を題材にした実践を行い、その効果について実証しました。
国際学会発表
- Anzai, Y., Oura, H., Ikejiri, R., Fushikida, W., & Yamauchi, Y. (2016). Multi-Layered Online Workshop: Promoting Both Collaborative and Instructional Interactions at Medium Scale, Proceedings of the 12th International Conference of the Learning Sciences (ICLS), Vol. 2, pp.1207-1208, Singapore.
国内学会発表
- 安斎勇樹, 仲谷佳恵, 池尻良平, 大浦弘樹, 伏木田稚子, 山内祐平 (2016) アイデア発想を課題とした多層型オンラインワークショップの実践. 日本教育工学会第32回全国大会講演論文集, pp.523-524.
- 安斎勇樹, 大浦弘樹, 池尻良平, 伏木田稚子, 山内祐平 (2015) MOOC講座における多層型オンラインワークショップの提案. 日本教育工学会第31回全国大会講演論文集, pp.95-96.
成績中位層向けのブレンド型学習
歴史的思考力や興味が中レベルの高校生を対象に、各自の興味に合わせて動画を選べ、それらを対面で組み合わせることで歴史の高次能力を獲得させられるアラカルト型反転授業を開発しました。また、都立高校の日本史の授業で実践を行い、その効果を実証しました。
また、統計の知識やスキルが低~中レベルの大学生を対象に、事前に講義動画の内容理解を助けるゲームをプレイしてから、オンラインで講義視聴を含めた学習を行うPFL(Preparation for Future Learning)形式のブレンド型学習も開発しました。こちらは、都内の大学生を対象に本プログラムを実施し、その効果を実証しました。
国際学会発表
- Oura, H., Ikejiri, R., Nakaya, K., Yamamoto, R., & Yamauchi, Y. (2018). Preparing Students for Learning Statistics with Adventure Game: Learning Cycle Model of Gaming, Watching, and Practicing. Proceedings of the 13th International Conference of the Learning Sciences (ICLS), Vol. 3, pp.1507-1508, London, UK.
国内学会発表
- 大浦弘樹, 池尻良平, 仲谷佳恵,山本良太, 山内祐平(2017)統計学習におけるPFL型学習サイクルの形成的評価. 第33回全国大会講演論文集, pp.151-152.
- 池尻良平, 大浦弘樹, 安斎勇樹, 伏木田稚子, 山内祐平(2017)MOOC を用いたブレンド型ジグソーのデザインと評価. 日本教育工学会第33回全国大会講演論文集, pp.153-154.
受賞
- 日本教育工学会 2018年 研究奨励賞受賞(2018.9)
(池尻良平, 大浦弘樹, 安斎勇樹, 伏木田稚子, 山内祐平(2017)MOOC を用いたブレンド型ジグソーのデザインと評価. 日本教育工学会第33回全国大会講演論文集, pp.153-154.)
動物園学習デジタル教材
「動物と自然とわたしをつなぐ どうぶつ大冒険」は、動物園を訪れた小学生と保護者が動物の生態について学び、動物と私たちを取り巻く自然との関係について考えてもらうために開発されたモバイル教材です。
本教材は、動物に関わるシナリオのクイズをクリアしていくことで学習が進行します。また、各シナリオは動物園で動物を観察しながら取り組むミッション(前半)と、自宅に帰ってから動物や自然との関係について調べながら取り組むミッション(後半)の2つのパートに分かれており、スマートフォンのブラウザから教材URL(www.d-bouken.jp)にアクセスすることによって無料で利用できます。
詳細はこちら
https://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/archives/flit/sp/d-bouken/index.html
どうぶつ大冒険はこちら
http://www.d-bouken.jp
反転学習に関する文献の執筆・翻訳
- ジョナサン・バーグマン, アーロン・サムズ, 山内祐平(監修), 大浦弘樹(監修), 上原裕美子(翻訳) (2014). 反転授業, オデッセイコミュニケーションズ.
- ジョナサン・バーグマン, アーロン・サムズ, 東京大学大学院情報学環 反転学習社会連携講座(監修), 上原裕美子(翻訳) (2015). 反転学習 - 生徒の主体的参加への入り口, オデッセイコミュニケーションズ.
- 森朋子, 溝上慎一 (編) (2017). アクティブラーニング型授業としての反転授業[理論編], ナカニシヤ出版.
- 森朋子, 溝上慎一 (編) (2017). アクティブラーニング型授業としての反転授業[実践編], ナカニシヤ出版.