UTalk / 「水」と「農業」から世界が見える

田中 幸夫

新領域創成科学研究科・助教

第5回

「水」と「農業」から世界が見える

 今回のゲストは、皆さんの日常に欠かせない資源である「水」の利用に関して国際的な研究を続けている田中幸夫さん(新領域創成科学研究科国際協力学専攻・助教)。  海外の現場でのご経験や、ご自身が研究を続けていく上での動機などにも触れつつ、楽しい会にしていきたいと思います。

U-Talk Report

 6月14日のゲストには、新領域創成科学研究科国際協力学専攻・助教の田中幸夫さんにお越しいただき、「水」と「農業」から見る世界についてお話していただきました。

 今回は初めに、「灌漑を行うと雨水だけより農作物が何倍育つか」、「国際河川に面する地域は全大陸の何%か」、といった水に関するクイズが出題され、「へ~」という和やかな空気でカフェが始まりました。(ちなみに答えは、「3倍」と「45%」です。)
 その後、イラクなどの乾燥した地域の畑に河川が引かれると、ミネラルや塩分が畑に残り、土地が使えなくなるという問題を指摘してもらいました。今回 特に面白かったのは、その塩分の濃い水を体験してもらうために、塩分が0.05%の水を紙コップで参加者に配り、飲んでいただいたシーンです。みなさん 「うえー」という顔をしていて、この問題を舌で感じ取ってもらえたようでした。
 
 また、研究者としてだけではなく、実践者として水と農業にまつわる政治の世界を知っているからこそできる、田中さんならではの具体的なエピソードに、みなさん興味津々で聞いていたのも印象的でした。

 質問コーナーではどんどん手が挙がって、「CO2の排出権の代わりとして日本で余っている水を海外に売れないか」などの面白い政策案が出てきたり、「水や 電気をコマメに使おう」という上からの指示を聞くよりも、それがどれくらい地球に影響するのかを調べた方が環境のためになる、というアドバイスが聞けたり と、とても示唆に富む議論が行われました。

 普段身近にある「水」からこんな発想や世界観が出てくるとは思いもよらず、私自身非常に楽しい時間を過ごさせていただきました。お暑い中、貴重なお話をしていただいた田中さんをはじめ、参加者の皆様、ありがとうございました。

[アシスタント:池尻良平]