iii Main Building

情報学環本館

情報学環本館は、総合図書館を中心とする「図書館団地」と呼ばれる建物群の一角に位置する。もともとここは、東京大学社会情報研究所のあった場所である。2004年4月1日、大学附置研究所から大学院組織へと移行し、大学院情報学環学際情報学府と合併するという、新たな一歩を踏み出した。
東京大学社会情報研究所の歴史は、1929年10月1日、東京帝国大学文学部に設置された新聞研究室にまでさかのぼる。
新聞研究室は、新聞に関する学術研究施設として設置された研究組織である。当時、帝国大学の法学部、文学部、経済学部からそれぞれ1名の指導教授が横断的に参加し、1名の指導補助、および3名の研究員が置かれるという、小規模ながら、今日の情報学環のさきがけをなすような帝国大学を横断的につなぐ学際的な研究組織であった。またその運営も、渋沢栄一や阪谷芳郎、本山彦一、徳富蘇峰、杉村廣太郎といった、当時の財界、新聞界の名士たちが協力して募られた寄附金によってまかなわれるという、今日の産学連携のさきがけとなる形態をとっていた。
その後、新聞研究所は、1949年5月31日東京大学新聞研究所として正式に発足する。では、新聞研究所は、「新聞及び時事についての出版、放送又は映画に関する研究、並びにこれらの事業に従事し、又は従事しようとする者の指導及び養成」(国立学校設置法<49年5月31日公布>)と規定され、雑誌、放送、映画などを含むマス・メディア全般を研究対象とする学際的な研究組織として出発した。その後1992年4月1日、新聞研究所は「社会情報研究所」へと改組される。
現在、情報学環本館には、「社会情報研究資料センター」が置かれ、新聞研究室発足以来、約75年間にわたる継続的な研究の成果を見ることができる。とりわけ膨大な量の古新聞は、情報学環の貴重なコレクションとしてデジタル・アーカイブ化され、一般にも公開されている。