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Beating 第100号
2012年度Beating特集「いまどきのミレニアムキッズ」
第6回:アメリカの10代の若者は、モバイル端末をどのように利用しているのか?

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東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
メールマガジン「Beating」第100号     2012年9月25日発行
現在登録数 3,061名

2012年度Beating特集「いまどきのミレニアムキッズ」
第6回:アメリカの10代の若者は、モバイル端末をどのように利用しているのか?
http://www.beatiii.jp/?rf=bt_m100

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みなさま、こんにちは!

9月1日(土)に実施したBEATセミナー「安心して学べるソーシャルメディア
環境」は、記念すべき第50回目の公開研究会だったのですが、このBeatingも
今号で100号となりました。みなさまのご愛読を心から感謝申し上げます。

さて、Beating特集「いまどきのミレニアムキッズ」第6回では、
アメリカの10代の若者のモバイル端末の利用状況について取り上げます。
また、前回のBEATセミナーのご報告、次回のBEATセミナーご案内と、
盛りだくさんの内容でお届けいたします。

では、Beating第100号のスタートです!

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★CONTENTS★

【特集】2012年度Beating特集「いまどきのミレニアムキッズ」
第6回:アメリカの10代の若者は、モバイル端末をどのように利用しているのか?

1. お知らせ・BEAT Seminar(1) 2012年度第2回 BEAT公開研究会
「安心して学べるソーシャルメディア環境」開催報告

2. お知らせ・BEAT Seminar(2) 2012年度第3回 BEAT公開研究会
「スマートテレビが変える家庭学習」開催予告

3. お知らせ・UTalk
「書きたくなる文脈づくり」のご案内

4. 編集後記


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特集─────────────────────────────────
━━ 2012年度Beating特集「いまどきのミレニアムキッズ」
第6回:アメリカの10代の若者は、モバイル端末をどのように利用しているのか?
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インターネットが一般家庭に普及するようになり、子どもの頃からあたりまえ
のようにインターネットやコンピュータを使いこなすデジタルネイティブと
呼ばれる世代が登場してきました。「いまどきのミレニアムキッズ」では、
そんな子ども達のメディア利用の現状と、これからの教育に何が求められて
いるのかを、研究者へのインタビューや最新の研究を取り上げながら探索して
いきます。
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アメリカに住む10代の若者は、携帯電話やスマートフォンに代表されるモバイル
端末をどのくらい使っているのでしょうか?メールや会話、チャットの使用頻度、
インターネットへの接続、位置情報サービスなど、モバイル端末の利用目的は
多岐にわたります。第6回は、Pew Research Centerが調査した、10代の若者の
モバイル端末利用に関する報告書を紹介します。
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Lenhart A. (2012) Teens, Smartphones & Texting.
http://bit.ly/QkIEah
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解説
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■背景
Pew Research Centerは、アメリカ国内や世界についての情報を提供している
無党派・非営利の団体です。アメリカ国内に住む10代の若者に焦点を当て、
彼らのモバイル端末利用の実態を調査したThe Pew Research Center’s
Internet & American Life Projectは、このPew Research Centerにおける
7つのプロジェクトのうちのひとつです。家族やコミュニティ、仕事、日常生活、
教育、健康、市民社会、政治など多岐にわたって、インターネットがそれらに
与える影響を調べ、レポートにまとめています。
なお、このプロジェクトは、教育財団Cable in the Classroom(CIC)と国際的
非営利団体the Family Online Safety Institute(FOSI)の協力のもとに進め
られました。CICは、教育や学習の領域におけるテクノロジー、ブロードバンド
サービス、コンテンツなどの実用的で有効な活用を支持しています。またFOSI
は、子どもたちとその家族が安心してインターネットを利用できる世界の実現を
目指しています。


■目的
このプロジェクトでは、「熱心なコミュニケーター」と表現される10代の若者
が調査の対象となっています。そして、調査の根底には、「10代の若者は日々の
生活の中で、人々とどのようにコミュニケーションをとっているのか」という
問題意識があります。
10代の若者は、携帯電話やスマートフォンをどのくらい所有しているのでしょ
うか。また、それらのモバイル端末を使ったメールや会話(チャットを含む)、
インターネットへの接続、位置情報サービスの利用などは、どのくらいの頻度
で行われているのでしょうか。これらの疑問に答えること、そして、モバイル
端末の所有率や利用頻度の実態を明らかにすることが、このプロジェクトの
目標となっています。

■方法
調査では、アメリカに住む12歳から17歳までの若者799人と、その保護者が
対象となりました。2011年の4月19日から7月14日までのおよそ3か月間に
わたって、英語またはスペイン語での電話調査が行われました。調査の項目は
主に、モバイル端末の所有率や利用目的、そして、目的に応じた利用頻度など
でした。

■結果
ここからは、調査の結果を項目ごとに列挙していきたいと思います。はじめに、
「1.モバイル端末の所有率」について、続いて「2.モバイル端末の利用目的」
について、最後に「3.モバイル端末とコミュニケーション」の結果をまとめます。

【1】モバイル端末の所有率
〈1-1.携帯電話〉
・12歳~17歳の77%が、携帯電話を所有している
・そのうち、14歳~17歳は12~13歳に比べて、携帯電話の所有率が高い
・年齢と性別でみると、12~13歳の男子は、最も携帯電話の所有率が低い
〈1-2.スマートフォン〉
・12~17歳の携帯電話の所有率(77%)は、スマートフォンが23%、従来の
携帯電話が54%である
・14歳~15歳では、スマートフォンよりも従来の携帯電話の所有率が高い
・16歳~17歳では、スマートフォンと従来の携帯電話の所有率にあまり差がない

【2】モバイル端末の利用目的
〈2-1.インターネットへの接続〉
・12歳~17歳までの約半数が、過去30日以内に携帯電話でインターネットに
接続していた
・そのうち、スマートフォン所有者は、従来の携帯電話所有者よりも接続率が
高かった
・モバイル端末別にみると、デスクトップ型またはノート型PCの所有者の接続
率が最も高かった
〈2-2.メールの送受信〉
・12~17歳の63%が、毎日誰かと携帯電話でメールを送受信していた
・メールの相手を友達に限定した場合、12~17歳の49%が毎日メールを送受信
していた
・2009年の調査結果と比べると、10代の若者が送受信するメールの数は増加
している
・1日のメールの送受信数を基準にすると、利用頻度によってメール利用者は
3つに分かれる
(a)低頻度:1日に0~20通程度、(b)中頻度:1日に21~100通、(c)高頻度
:1日に100通以上
〈2-3.会話・チャット〉
・メールの利用頻度が高い若者の69%は、携帯電話で誰かしらと日常的に会話を
していた
・また、メールの利用頻度が高い若者の30%は、固定電話で友達と毎日会話を
していた
・同様に、メールの利用頻度が高い若者の52%は、携帯電話で友達と頻繁に
会話をしていた
・けれども全体的にみると、友達との音声会話の頻度は2009年に比べて低下
している
〈2-4.位置情報サービス〉
・10代の若者の6%が、携帯電話で何らかの位置情報サービスを利用していた
・位置情報サービスとは、利用者が特定の場所でチェック・インすると、その
場所の情報を友人と共有できる仕組みになっている
・例えばFoursquareは、位置情報に基づいたアプリとしてアメリカで注目され
ている
・日本でも利用者が増加しているFacebookやTwitterも、位置情報サービスに
含まれる
・年齢別にみると、12歳~13歳に比べて、14歳~17歳、特に17歳の利用率が
高かった

【3】モバイル端末とコミュニケーション
・10代の若者の63%は、毎日、携帯電話でメールを送受信している
・10代の若者の39%は、毎日、携帯電話で会話をしている
・10代の若者の35%は、日常的に、学校外の人々と交流している
・10代の若者の29%は、日常的に、SNSでメッセージを交換している
・10代の若者の22%は、日常的に、他人とインスタント・メッセージのやりとり
をしている
・10代の若者の19%は、日常的に、固定電話で会話をしている
・10代の若者の6%は、日常的に、パソコンでeメールを送受信している

インスタント・メッセージとは、インターネットに接続している特定の利用者間で
短い電子メールをリアルタイムでやりとりできる機能のことです。
パソコンでのeメールの送受信とともに、最近の10代の若者の利用率は低下傾向
にあります。また、固定電話での会話についても、10代の若者の20%が経験した
ことがないと答えるなど、コミュニケーションの王道ではなくなっているようです。

■考察
最近の10代の若者は、携帯電話でのメールや会話を中心に、友達とコミュニケー
ションをしていることが明らかになりました。固定電話での会話やインスタント・
メッセージの利用率が減少する中で、唯一増加傾向にあるのが、SNSを通じた
メッセージの交換です。2006年から2011年までの6年間で、その利用率は21%
から29%へと緩やかに増えています。
さまざまなモバイル端末によるコミュニケーションに押されて、学校外での
対面でのやりとりはやや減少傾向にあります。けれども、友達との対面コミュ
ニケーションは未だに、10代の若者にとって重要な役割を果たしているようです。


◎特集記事協力◎
伏木田稚子/東京大学 大学院 学際情報学府 博士2年


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おしらせ・BEAT Seminar(1) ────────────────────
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2012年度・第2回BEAT公開研究会
「安心して学べるソーシャルメディア環境」開催報告
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2012年9月1日(土)に2012年度・第2回 BEAT公開研究会
「安心して学べるソーシャルメディア環境」を開催しました。

当日の内容をセミナーレポートにまとめました。会場にお越しになった方も、
残念ながらお越しになれなかった方も、ぜひご覧ください。
http://www.beatiii.jp/seminar/050.html

セミナーでは、前回に引き続きTwitterでハッシュタグ #beat2012を
設定し、Twitter上でも多くのコメントをいただきました。皆様から集まった
TweetをTogetterでまとめましたので、こちらも、レポートと併せてご覧ください。

▼Togetter - まとめ「安心して学べるソーシャルメディア環境」
(2012年度第2回BEATセミナー)
http://togetter.com/li/366694



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おしらせ・BEAT Seminar(2) ────────────────────
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2012年度第3回BEAT公開研究会
「スマートテレビが変える家庭学習」開催予告
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BEAT(東京大学情報学環ベネッセ先端教育技術学講座)では、
2012年度第3回 BEAT Seminar「スマートテレビが変える家庭学習」を
12月1日(土)に開催致します。

放送とインターネットを連携させた新たなサービスである「スマートテレビ
(Smart TV)」が、注目されてきています。これまでのテレビは、放送局から
視聴者への一方向的なコンテンツの提供が主流でしたが、スマートテレビの
登場により、ユーザー参加型の利用が加速されると思われます。家庭用のテレビが
インタラクティブになってインターネットにつながることで、家庭での学習は
どのように変化していくのでしょうか。

今回のBEATセミナーでは、神部恭久氏((株)NHKエンタープライズ・事業本部
企画開発センター・事業開発/エグゼクティブ・プロデューサー)に、スマート
テレビに対応したコンテンツのあり方についてお話いただきます。
また、講演2(登壇者調整中)では、スマートテレビのプラットフォームの概要や
今後の展開についてお話しいただき、スマートテレビが変える家庭学習環境に
ついて議論を深めたいと思います。

日時:2012年12月1日(土)14:00~17:00

場所:東京大学 本郷キャンパス 情報学環・福武ホール(赤門横)
福武ラーニングシアター(B2F)
アクセスマップ>> http://www.beatiii.jp/seminar/seminar-map51.pdf

内容:
14:00-14:10
0. 趣旨説明
山内祐平(東京大学・大学院情報学環/准教授)

14:10-14:50
1.講演1「新しいメディア経験としての『スマートテレビ』(仮)」
神部恭久((株)NHKエンタープライズ・事業本部・企画開発センター・事業開発/
エグゼクティブ・プロデューサー)

14:50-15:30
2.講演2(登壇者調整中)

15:40-16:00
3.参加者によるグループディスカッション

16:00-17:00
4.パネルディスカッション「スマートテレビが変える家庭学習」
司会:
山内祐平
パネリスト:
中谷友紀((株)ベネッセコーポレーション・グローバル教育事業部・事業開発
セクション/課長)
神部恭久
*講演2の登壇者(調整中)

定員:180名(定員になり次第締切りますので、お早めにお申し込みください)
参加費:無料
懇親会:セミナー終了後1F UT Cafeにて 参加希望者(3,000円)

お申込みはこちら
↓↓↓↓↓↓↓↓
http://www.beatiii.jp/seminar/index.html


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お知らせ UTalk ──────────────────────
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「書きたくなる文脈づくり」のご案内
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UTalkは、様々な領域で活躍している東京大学の研究者をゲストとして招き、
毎月開催するイベントです。カフェならではの雰囲気、空気感を大切にし、
気軽にお茶をする感覚のまま、ゲストとの会話をお楽しみいただける場と
なっています。

書き手がほんとうに書きたいと思える状況をどう設定するか。
今回のUTalkでは、ライティングの教育支援の研究をされている高橋薫さん
(情報学環・特任助教)にお越しいただきます。「総合的な学習の時間」における
中学生向けアントレプレナーシップ教育の実践を中心にお話をお聞きします。
ご参加をお待ちしております。

みなさまのご参加をお待ちしています。

日時:10月13日(土)14:30~15:30

場所:UT Cafe BERTHOLLET Rouge(東京大学 情報学環・福武ホール併設・
赤門側)
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html

参加費:500円(ドリンク付き/要予約)

定員:15名

申し込み方法:UTalkホームページ
https://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/utalk/
の参加申込フォームに必要事項をご記入の上、お申し込みください。

※申し込みの締め切りは10月5日(金)までとします。
なお、申し込み者多数の場合は抽選とさせていただく場合がございます。
ご了承ください。


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 編 集 後 記 ──────────────────────
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Beating第100号は、お楽しみいただけたでしょうか。

つっこまれる前に書いておきますが、10月のUTalkのゲストはなぜか私が担当する
ことになりました。「この人、自分に『さんづけ』しちゃって、アホちゃう?」と
言われそうですが、UTalk告知文は私ではなく、UTalkの企画者でありこの
カフェイベントのホスト役でもあるMさんが書いてくださっています。
先日、MさんとUTalkの打ち合わせを行ったのですが、私の脈絡のない話から、
ポイントを的確に読み取って、サクサクっと告知文を書いてくれました。
(さすが洞察力の鋭いMさん!)はじめての経験でどきどきですが、カフェ
イベントらしく楽しいひとときにしたいと思っています。


ご意見・ご感想をお待ちしております。

「Beating」編集担当 高橋 薫 (たかはし かおる) kaorutkh@beatiii.jp

-------次回発行は10月30日の予定です。

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情報を発信しています。Beatingで紹介している情報以外にも多くの情報を
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「Beating」編集担当 高橋 薫 kaorutkh@beatiii.jp
(東京大学大学院情報学環ベネッセ先端教育技術学講座 特任助教)

□「BEAT」公式Webサイト http://www.beatiii.jp/?rf=bt_m100

□発行:東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
Copyright(c) 2012. Interfaculty Initiative in information Studies,
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